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指の回復のためにQBウィルソンを休ませる「必要はない」とシーホークスHCキャロル

2021年12月03日(金) 14:18

シアトル・シーホークスのラッセル・ウィルソン【AP Photo/Matt Ludtke】

シアトル・シーホークスのクオーターバック(QB)ラッセル・ウィルソンは予定よりも早く指のケガから回復してチームを救っているものの、3勝8敗という戦績は取り返しのつかない状況だと言えよう。

だからといって、シーホークスのヘッドコーチ(HC)ピート・キャロルはウィルソンを休ませるためにサイドラインに送ろうとはしていない。

『Seattle Times(シアトル・タイムズ)』によれば、キャロルHCはウィルソンについて「そんな必要はない。そんな風にはしない。彼は大丈夫」と述べたという。

実際、キャロルHCは現地1日(水)に報道陣に対し、1週間休息をとらせるのではなく、より多くのレップスを担当させようと考えていると明かしており、次のようにコメントした。

「彼はいい調子だ。過去の手術やその他のことで負担を感じていない。準備万端だ。休む必要なんてない。疲れていないし、消耗しているわけでもない。行動しないといけないのだ。活動を再開してもっとプレーして、できるだけ流れに乗る必要があるのだ」

脱臼と腱の断裂で6週間から8週間の欠場が予想されていたウィルソンは、ケガから5週間後に復帰して周囲を驚かせたが、その勢いには乗れなかったようだ。復帰初戦のグリーンベイ・パッカーズ戦は17対0で敗れ、40回のパスアテンプトでわずか50%しか成功できず、161ヤード、2回のインターセプトを喫した。期待されていたレベルのパフォーマンスを発揮する準備ができていなかったとは言わないまでも、感覚が鈍っているかのように見受けられた。その1週間後もアリゾナ・カーディナルスに23対13で敗れるなど、あまり良い結果は得られていない。

月曜夜に17対15で敗れたワシントン・フットボール・チーム戦はウィルソンが復帰してから3連敗目となった。試合終了間際までシーホークスの総得点はわずか9点。オフェンシブラインが十分に守れなかったためにウィルソンはほとんど投げられず、ランプレーからは何も得られなかった(ウィルソンはキャリー2回で16ヤードを獲得し、シーホークスのラッシングをリード)。基本的に、勝負はウィルソン次第という形だったが、ウィルソンはチームが求めているほど完ぺきな状態ではなく、オープンターゲットも何度か逃している。

キャロルHCは「共に経験して見てきたし、短いパスプレーの中で投げたボールがきつくなりすぎた場面がほんの少しだけあった。要は、ボールがそこに行くように、鮮明になるように、普通よりきつく投げたのだ」と言う。

ウィルソンが急に非力なパサーになったわけではない――前回の試合では、ワイドレシーバー(WR)タイラー・ロケットに55ヤードのパスを通し、タイトエンド(TE)ジェラルド・エバレットへのパスも決めるなど、チームの最初のタッチダウンドライブを導いている。しかし、他の要素に恵まれておらず、特に前線で苦戦を強いられているシーホークスにとって、ウィルソンは十分に役割を果たしているとは言えない。

キャロルHCは「ダウンフィールドでは本当によく投げていた」と話している。「動きながら本当によく投げていた。しかし、私たちは十分な切れ味を持ち合わせていなかった。第3ダウンの場面で3回もそれが露呈したが、いずれもどうにかできたはずだった」

サードダウンコンバージョンは12回中4回。この記録は最後のポゼッションを迎えた時点よりも、ましに見える。最終ドライブでは死に物狂いで10回のプレーに臨んだシーホークスは、96ヤードの2ミニッツドリルでウィルソンがWRフレディ・スウェインへタッチダウンパスを通した。他の部分はさらにひどい状態だった。

現状が良くないとはいえ、ウィルソンを1週間ベンチに置いても何の解決にもならない。ワイルドカード枠に5勝6敗のチームが入っているカンファレンスで、3勝8敗のシーホークスはもう取り返しのつかないところまで来ている。

キャロルHCは「チャンスを得るために最高のポジションにいけるよう、仕事をしてきたメンバーと共に、自分たちが知っている方法で、すべての試合に勝つために全力を尽くしている。そうしているのだ」と強調した。

以前の姿を取り戻していないにせよ、確実にウィルソンはチームが勝てるように後押ししている。実際に勝利するためには、たとえボールを押し付けることになったとしても、D.K.メットカーフのようなプレーメーカーとなり得るワイドレシーバーが必要になるだろう。

そこから先は、シーホークスの他のメンバーが追随していかなければならない。

【RA】