奇跡的なポストシーズン進出を目指すスティーラーズQBロスリスバーガー、「この瞬間を生きている」
2021年12月17日(金) 12:24ベン・ロスリスバーガーの荒れに荒れた2021年シーズンが向かう先はただ一つ。引退だ。
これまでに何度も衰えた姿を露わにしてきたピッツバーグ・スティーラーズのクオーターバック(QB)ロスリスバーガーが、今シーズンを最後に引退すると言っても誰も驚かないだろう。もちろん、すべてが悪かったわけではなく、今季にロスリスバーガーは5試合で100以上のパサーレーティングをマークしている。だが、そのうちの2試合は敗戦に終わっており、スティーラーズは現在、接戦を繰り広げているAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)北地区の最下位につけている。
スティーラーズはロスリスバーガーがいなくなった後の明確な計画を持ち合わせていない。本人も今は先のことは考えていないようだ。
ロスリスバーガーは現地15日(水)に「俺はこの場所でこの瞬間を生きている」と『ESPN』に話した。「俺たちはまだ諦めていない。もっと良いフットボールを、最高のフットボールをしなければならない。それにはまず俺が変わらないとダメだ。終わりに目を向けている場合ではない。俺が集中すべきは目の前のこと、今週の試合だ」
ミネソタ・バイキングスと対戦したサーズデイナイトフットボールで、スティーラーズは29対0と引き離されていたところから第4クオーターで見せた猛烈な追い上げも空しく、悲惨な敗北を喫したばかりだ。それまで何もかもがうまくいかなかったロスリスバーガーに第3クオーターの途中で火がつき、最終的には40本中28本のパスを成功させてタッチダウンパス3本と308ヤードを記録している。
スティーラーズをなんとか立て直そうと必死にパスを出す姿は、往年のロスリスバーガーそのものだった。チームは現在の6勝6敗1分という成績をプレーオフ進出につなげるために、残りのシーズンも同じくらいの緊張感を持って臨まなければならない。
ロスリスバーガーは最後のシーズンになるかもしれないこの一カ月間、全力を尽くすつもりのようだ。後輩たちにも同じことを期待しており、次のように述べている。
「相手の目をしっかり見れば、どういう選手かが分かるものだ。このゲーム、このスポーツのすごいところは、全身全霊をかけて勝利をつかみたいと思っている選手がいるところ。彼らにはすべてを出し切る覚悟がある。相手チームの方が強かったり、相手がプレーを決めているのに自分たちができていなかったりということはある。試合に負けていたり、シーズンが思うように進んでいないからといって、選手にやる気がないとか、フットボールに対する愛や情熱がないということではないんだ。それは違う。とにかく、チームメイトには絶対に諦めないでほしい」
奇跡的なプレーオフ進出への挑戦は9勝4敗のテネシー・タイタンズをホームで迎え撃つこの日曜日に始まろうとしている。この試合では歴史的な記録も生まれるかもしれない。ロスリスバーガーは相手QBのフィリップ・リバースを抜いて歴代5位となるパスヤード数まであと27ヤードのところにまで来ているからだ。
だが、今のロスリスバーガーが唯一気にしている記録はディビジョンの順位だけだろう。
「それはいかに俺が長くプレーしてきたかということだ」とロスリスバーガーは話す。「でも個人的なことはどうでも良い。そういうのは引退した時に振り返るものだ。いつだってレジェンド――同期の彼を俺はそう呼ぶことにする――と対戦する時は、彼はいまだに素晴らしいフットボール選手で、レジェンドになるような選手だ。長い間プレーするのも悪くない」
その“長い間”ももうすぐ終わりを迎えることになるかもしれない。もし本当に最後の戦いになるのであれば、ロスリスバーガーはそれがハッピーエンドであることを望んでいるだろう。
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