ニュース

WRの膝を狙ったヒットを排除すべきとバッカニアーズQBブレイディ

2021年12月22日(水) 13:12


タンパベイ・バッカニアーズのトム・ブレイディ【AP Photo/Mark LoMoglio】

タンパベイ・バッカニアーズがニューオーリンズ・セインツに負けたサンデーナイトの試合で、バッカニアーズのスターワイドレシーバー(WR)であるクリス・ゴッドウィンは低めのヒットを受けた際にACL(前十字靭帯/ぜんじゅうじじんたい)とMCL(内側側副靱帯)を断裂して今シーズン終了となった。

近年、脳しんとうや頭部損傷を避けるためにディフェンダーによるレシーバーの高い位置――具体的には腹部より上――へのヒットに対するペナルティが厳しくなっている。そのためレシーバーたちは低い位置のヒットを受けるようになり、今回のゴッドウィンのように膝や脚の負傷を招く結果となっている。

バッカニアーズのクオーターバック(QB)トム・ブレイディは今週、『SiriusXM NFL Radio(シリウスXM NFLラジオ)』で放送されているポットキャスト番組『Let’s Go(レッツ・ゴー)』の中で、無防備なレシーバーの膝へのヒットをなくすことを主張し、ゴッドウィンへのヒットのような低いヒットは「フットボールのゲームから排除すべき 」と指摘した。

「無防備なパスキャッチャーがボールをキャッチしている最中にディフェンダーにヒットされるのを何度も見てきた。それに対して多くのディフェンダーは“もう頭を狙うことはできないから仕方ない”と言うだろう。僕が言いたいのは、もう頭へのヒットは禁じられている。それと今はレシーバー以外に対しても膝へのヒットは禁止。そこが解せないんだ。ディフェンシブラインマンも、パンターも、クオーターバックも、ディフェンシブバックも膝へのヒットはダメだけど、無防備なレシーバーだけは狙って良いと。対策を立ててしっかりと考えもらわないといけない問題だ」

「ゴッドウィンのように、これは選手のキャリアに大きなダメージを与える。ゴッドウィンは乗り越えられると思っているけど、過酷なリハビリになるだろう。ACLを断裂したら、それは一生もののケガだ。分かるだろう? NFLのほとんどのパスキャッチャーはどちらかを選べと言われたら膝へのヒットよりも頭へのヒットを選ぶと思っている。少なくとも僕はそうだね。100万回のうち100万回はそっちを選ぶ」

ブレイディのコメントには単純化しすぎている部分があるが、NFLではディフェンダーのターゲットエリアを制限するルールが設けられているのは確かだ。たとえば、ディフェンダーがタックルボックスの外でブロックを受けようと低い体勢になることを違反とする新しいルールがある。

長年NFLで活躍しているアリゾナ・カーディナルスのWRラリー・フィッツジェラルドも、脳の損傷による長期的な影響を知った上で、レシーバーは低い位置でヒットされるよりも高い位置でヒットされる方が良いと考えている。

「汚いプレーだったとは言わないが、今のゲームの仕組み上それは必然的に起こるだろう。みんな低めのタックルを狙う。狙いを低めに定めざるを得ないんだ。俺なんか相手に“罰金は俺が払ってやるから高めにヒットしてくれ”って言ってるくらいさ。頭の外傷やそれに伴うものは後々になって影響が出るものだ。でも、ACLやアキレス腱の断裂はその場でキャリアが終わってしまうことだってある。だから、相手の頭に気をつけて、照準を下げようとするのはこのゲームの残念なところだよ。間違いなくそれによって下半身がより危険な状態にさらされている。何より残念なのは、クリスのような選手がその影響を受けていることだ。リーグ全体で見ても、特に体格の良いタイトエンドによく見られる。彼らは下から脚を狙わる。脚のケガはなくならないと思うよ。これからもこういうタックルが続くだろうからね」

ブレイディは試合に負けたことよりもゴッドウィンのケガの方に胸を痛めたと話す。

「誰もが(ゴッドウィンが)大きなケガをするのは見たくないから、選手たちにとっては感情的な影響も大きいんだ。最も献身的な選手の一人が今年の残りの期間、一緒にフィールドにいられなくなるというのは本当に辛い。彼は厳しい道のりを克服しなければならないけど、彼はそういうタイプの人間だから、きっと乗り越えられると思っている。もちろん僕たちの心は彼とともにある。みんな彼が大好きだ。どれだけみんな彼と一緒にフィールドで戦いたいと思っていることか。全員にとって受け入れがたい。それだけ大きなケガなんだ」

「こういうことがこのゲームの一部であるからこそ難しい。どのスポーツにもケガはつきものだけど、フットボールは破壊的な競技だ」

【R】