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WRカークとTEエングラムがもたらす多様性に自信を見せるジャガーズのテイラーOC

2022年04月19日(火) 11:16

ジャクソンビル・ジャガーズ【NFL】

ジャクソンビル・ジャガーズは若きクオーターバック(QB)トレバー・ローレンスの選択肢をアップグレードするため、フリーエージェンシーに大金をはたいた。

最も注目を集めたのは、ワイドレシーバー(WR)のクリスチャン・カークと4年総額7,200万ドル(約91億5,264万円)、インセンティブをすべて達成すれば最大8,400万ドル(106億8,144万円)にまで上る契約を結んだことだ。アリゾナ・カーディナルスでの4年間で1,000ヤードのシーズンを一度も経験したことのないレシーバーにとって、年俸1,800万ドル(22億8,888万円)は高すぎはしないか。だが、オフェンスにスピードと多様性をなんとしてでも加えたいジャガーズは、割に合わない出費を避けることはできなかった。

攻撃コーディネーター(OC)のプレス・テイラーは以前にもフィラデルフィア・イーグルスでヘッドコーチ(HC)ダグ・ペダーソンのもとで働いていたことがあり、上昇志向の強いオフェンスコーチとして知られる。そんなテイラーOCは最近、『Jaguars Happy Hour(ジャガーズ・ハッピー・アワー)』で、カークがオフェンスに必要な柔軟性をもたらすと語った。

『Jags Wire(ジャグズ・ワイヤー)』によれば、テイラーOCはこう話していたという。「間違いない、多様性が最も重要だ。彼はどんなフォーメーションでも起用できる。彼にはいろいろなプレーが可能で、アウトサイドでも活躍できる。スピードもある上に判断力もあって、判断力があると言われるレシーバーはめったにいないが、彼はそういう選手なんだ。だから、トレバーと同じ目線でプレーを調整できるようなポジションに彼を置くことができる」

昨年にカークが走ったルートはほとんどがスロットからで、652回のスナップでそれを選んでいるのに対して、ワイドからのルートは176回のスナップしかない。だが、2020年には数字が逆転しており、『Next Gen Stats(ネクスト・ジェン・スタッツ)』によれば、カークがワイドにセットしたスナップは633回、スロットにセットしたスナップは97回だったという。この数字は、カークがオフェンスのさまざまなスポットで活躍できるというテイラーOCの指摘を裏づけている。

現在のジャガーズのレシーバー陣にはマービン・ジョーンズ、ゼイ・ジョーンズ、ラビスカ・シュナルトJr.がいる中で、スクリメージライン付近でニッケルコーナーを打ち負かすだけのスピードと体格を誇るカークは、2022年も大半のスナップでスロットに構えるものと思われる。

ジャガーズはニューヨーク・ジャイアンツの元1巡目指名選手であるタイトエンド(TE)のエバン・エングラムと1年900万ドル(約11億4,570万円)の契約を結び、タイトエンド陣のアップグレードも図っている。実力を証明しなければならない契約とあって、エングラムが安定したシーズンを送ることができれば、両者にとってうまくいくかもしれない。

カークと同じようにエングラムもチームに多様性をもたらしてくれるとテイラーOCは主張した。

「エバン・エングラムがフィールドに出た時、彼をカバーできる選手がいると思うか?」とテイラーOCは話している。「身軽な選手を配置するか? それともニッケルを彼につかせるか? あるいはセーフティ(S)かラインバッカー(LB)か? 選ぶならどうする?」

エングラムは試合にインパクトを与えるレシーバーになれるだけの身体能力に恵まれているものの、ジャイアンツでの5シーズンでは悲惨なほど一貫性に欠けていた。ビッグブルーでの選手生活ではひどいドロップやケガに見舞われている。ペダーソンHCが指揮したイーグルスのオフェンスではタイトエンドが重要な役割を担っていたため、エングラムにはキャリアを好転させるチャンスがあるはずだ。

テイラーOCのコメントからは、一つだけ明確なことがある。それは、ジャガーズが今回のフリーエージェントで多様性を重視したということだ。シーズン開幕に向けて、フリーエージェントにかけた大金が報われるかどうかが要注目となる。

【R】