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WRブラウンのトレードに衝撃を受けたタイタンズQBタネヒル、「新人の指導は俺の仕事じゃない」

2022年05月04日(水) 18:08


テネシー・タイタンズのライアン・タネヒル【AP Photo/Wade Payne】

ライアン・タネヒルにとっては大変な1週間だった。

テネシー・タイタンズのクオーターバック(QB)はチームが彼のナンバー1レシーバー、A.J.ブラウンをトレードし、その後2022年のNFLドラフト1巡目で彼の代わりを指名するのを見ていた。その翌日、タイタンズはさらにタネヒルの交代要員となり得る選手を指名している。

全体86位で指名されたリバティ大学のQBマリク・ウィリスがチームの一員となり、タネヒルのナッシュビルでの時間は残りのカウントダウンを始めた。高い潜在能力を持ち、しばらく成長の時間を必要とするQBを選ぶからには、それが少なくともテネシーのロジックのはずだ。

だが、タネヒルがウィリスのプロセスをスピードアップさせるために尽力することは期待しない方がいい。

「俺たちはお互いに競い合っているんだ」とタネヒルはウィリスについて現地3日(火)に話した。「同じ映像を見て、同じドリルをやっている。彼の指導者になるのが俺の仕事だとは思わない。でも、そういう過程で彼が俺から学ぶんなら、それは素晴らしいことだと思うよ」

ここで結論は急がないでおこう。タネヒルは何もウィリスに冷たくしているのではない。だが、ウィリスが自分の後継者となるために積極的に手を貸すつもりはないというのもまた理解できる。

「指名後、すぐにマリクにメッセージを送った」とタネヒルは明かした。「事前に知らされてはいなかったけど、A.J.の件だって同じだろう? チームは、チームにとって一番だと思うことをする。マリクとは何の問題もない。俺たちは補強になる優秀な連中を増やそうとしている。彼が加わり、そこから進む」

より近い未来に影響が出るのは、フィラデルフィア・イーグルスへのブラウンのトレードだろう。イーグルスにとっては即座の強化であり、タイタンズには巨大な穴が残された。アーカンソー大学のWRトレイロン・バークスに重責がのしかかる。

タネヒルも大きな衝撃を受けたという。彼は1度のオフシーズンでトップ2レシーバーの離脱を見送り、これから数カ月をかけてベテランのロバート・ウッズ、バークス、同じくルーキーのカイル・フィリップスと、戻ってきたパスキャッチャーのニック・ウェストブルックから成るレシーブ陣との意思疎通を図らなければいけない。

「ショックだった。それを知ったときは、“現実じゃない。こんなことはあり得ない。デマだ”と思った」とタネヒルは言う。「それでA.J.と話したら、本当だと分かったんだ。その晩はうなされ続けて、ただの悪い夢だと考え続けた。でも、これが現状だ」

グレッグ・ローゼンタールが説明するように、ブラウンのトレードはテネシーだけにとどまらない波及効果を引き起こすだろう。それはルーキー契約でプレーし、大型昇給を望むレシーバーがシンプルなスタンスで武装する前例を確立したことになる。“俺を雇えないなら、交渉のテーブルにつく前にトレードしろ”と。

一方で、タネヒルに第2の選択肢はない。先発QBの仕事はまだ彼のものだが、突然バックミラーには新人の姿が写りはじめ、キャリアの終わりに向けて時計は進み続けている。

2021年シーズンの終わり方を考えれば、決して完全な不意打ちではなかっただろう。カンファレンスのトップシードでありながら、ディビジョナルラウンドで3回のインターセプトを喫して敗れるというのは、オフシーズンに入るタネヒルの立場に有利には働かなかったはずであり、気も重かったはずだ。

「それは心の傷だ。深い傷跡だよ」と敗北についてタネヒルは述べた。「たくさんの眠れない夜を過ごした。目を閉じるたび、頭の中にあの試合がよみがえるんだ。試合後は何週間もよく眠れない日々が続いた。しばらく俺は暗い場所にいて、そこから抜け出すのに少しの時間と多くの努力を必要とした。簡単に振り払えるものじゃなかった。まだ傷跡は残っているし、それを俺は生涯背負い続ける。腕を切ったときとおなじさ。傷を負い、それが治って傷跡に変わる。なくなることはない。いつまでも残って、過去を思い出させる」

「今の俺にとっては燃料だ。情熱を持って仕事をして準備を整え、火がついた状態で、過去最高に勝利を切望してシーズンに入るための燃料となっている」

2022年シーズンの準備のためにナッシュビルへ戻る前に、タネヒルは燃料を満タンにしておかなければならないだろう。ドアから押し出される恐れはまだないものの、現在の契約は残り2年(2023年まで有効で、2024と2025年はボイドイヤー)、リーグにいられる時間もそれほど長くはない。

2021年の失望と先週のショックはもう忘れるべきだ。

「俺は自分に最大限の自信を持っているし、必要なものは全部備わっている」とタネヒルは言う。「今年は炎と情熱を持って臨むし、次の1月には最高のフットボールをしなきゃならない」

【M】