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QBスミスは強いられなくともマホームズの良き手本だったとチーフスHCリード

2022年05月12日(木) 11:03

カンザスシティ・チーフスのアレックス・スミス【AP Photo/Reed Hoffmann】

カンザスシティで先発クオーターバック(QB)の役割を担ったとき、パトリック・マホームズはリーグを席巻した。しかし、スーパースターとしての道が形成される上で最も重要だったのは、本人がプレーしていない年だったかもしれない。

カンザスシティ・チーフスのトップクオーターバックとしての初年度に、マホームズはAP通信NFL MVPに輝き、あと少しでチームをスーパーボウルへと導くところだった。その1年後、マホームズは第54回スーパーボウルで逆転勝利を果たしている。そういった活躍はすべて、アレックス・スミスの下で学んだ1シーズンがあってのことだ。

フットボールにおけるそういった期間は見直されている。テネシー・タイタンズのQBライアン・タネヒルは、いずれ自分の後任となる新人マリク・ウィリスのメンターは自分の仕事ではないと公に語った。もちろん、タネヒルのスタンスは論理的ではあるが、チーフスのヘッドコーチ(HC)であるアンディ・リードがスミスにマホームズを支えることをまったく期待していなかったことも踏まえておくべきだろう。

リードHCは先週、『Fox Sports(フォックス・スポーツ)』のコリン・カウハードに「私はアレックスに“これまでで一番の年を送るんだ。君がパットに教える必要はない”と言った」と話している。

「“われわれコーチはそのためにいる。君はそこで成果を出し、試合に勝って、自分のチームのためにできる限りのことをする”と。われわれはそうやって彼にアプローチした」

「だが、本質的に、彼はパット・マホームズに起こった中で最高のものだった。アレックスは強いられたわけでもなく、パトリックを彼の世界に引き込んだ。だからこそ、うまくいった。私はただ“プレーしてゲームに勝ち、チャンピオンシップに勝とう。クオーターバックのポジションで、できる限りをやるんだ“と言うだけでよかった」

2017年シーズンにマホームズはサイドラインでリラックスしつつ、スミスからできる限りの知恵を吸い上げることができた。スミスはこの年にキャリア最高のシーズンを送り、パス成功率67.5%、4,042ヤード、タッチダウン対インターセプトが26対5、パサーレーティング104.7を記録。こういった数字によってスミスはプロボウルに選出され、チーフスをAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)西地区タイトルとプレーオフ進出に導いている。

それから1年後にチーフスはマホームズと共に自分たちの上限を突破し、もう後ろを振り返らなかった。

タネヒルはタイタンズでの自身の未来について率直な意見を述べたとき、それが批判の対象になることを知った。しかし、おそらく、自分自身のNFLでの運命も変えなければならないベテランクオーターバックを声高に批判すべきではないだろう。タネヒルは2019年にマーカス・マリオタの後任となり、プロボウルに選ばれる活躍でタイタンズをまさかのAFCチャンピオンシップ戦へと導いた。そのときに敗北した相手が――マホームズ擁するチーフスだ。

それ以降、タネヒルはタイタンズの先発QBを務めてきたものの、シンシナティ・ベンガルズに敗れた2021年シーズンディビジョナルラウンドでの3回のインターセプトを含め、苦戦する様子が見られ、チームはタネヒルのいない未来について検討し始めている。2022年NFLドラフトでウィリスを指名することで、タイタンズは今とは別の未来に備えているのだ。ウィリスには強いクオーターバックに成長するだけの身体的なツールがあると見られているものの、1年はベンチでベテランたちから学んでいくだろう。マホームズが急速にスーパースターに成長したプロセスと同じように。

当然のことながら、タネヒルには自分の秘訣をウィリスと共有することでそのプロセスを促進させる気はない。その代わり、タイタンズに戻ってきた先発QBとして、持てる力をすべて発揮していくはずだ。

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