NFLトレーニングキャンプロースター情報:IR、PUP、NFIとは
2022年08月22日(月) 10:31NFLではトレーニングキャンプでロースターが組み替えられることが多く、それと同時に一般的なファンにはほとんど説明されることのない専門用語が生み出されている。その点を考慮して、ここではよくある質問に対する答えを示しておく。
ルールの変更と補遺についてはオフシーズンのさまざまなタイミングで行われるが、ここでは故障者リザーブ(IR)やPUP(故障者)リスト、NFI(非フットボール故障者)リスト、プラクティススクワッド(練習生)など、ロースター関連の複雑な用語について説明する。
重要な日程(現地での日程)
8月16日(火)
ロースターを90名から85名に削減。
8月23日(火)
ロースターを85名から80名に削減。
8月30日(火)
最終段階としてロースターを53名に削減
8月31日(水)
8月30日に放出された選手のウェイバー期限が終了すると、チームはプラクティススクワッドを編成できるようになる。アメリカ東部時間16時以降にIRまたはNFIに登録された選手は復帰指定を受けることが可能。
9月4日(日)
全チームにとってプレシーズンのトレーニングキャンプ最終日。
よくある質問
【PUP(故障者)リストとは?】
PUPリストとは、フットボール関連のケガにより、仕事を行うことが身体的に不可能な選手に対する指定だ。指定された選手はチーム活動には参加できるが、練習をすることはできない。
・アクティブ/PUPリスト:トレーニングキャンプ中に登録され、チームの90名ロースターにカウントされる。キャンプ中はいつでもリストから外れられるが、再びリストに戻ることはできない。最終的なロースターカットの時点でこのリストに載っている選手は、リザーブ/PUPリストに置かれるか、放出されるか、トレードされるか、53名ロースターにカウントされる必要がある。
・リザーブ/PUPリスト:チームは53名ロースターの削減期限(今季は8月30日)までに、このリストに選手を登録するかどうかを決定しなければならない。このリストに登録された選手は、少なくとも最初の4試合を欠場しなければならない――2022年シーズン以前は6試合だったため、2試合減少している。これまでとは異なり、この期間が過ぎれば、選手はすぐにアクティブ登録されることが可能だ。ロースターが80名になる日(今季は8月23日)以降にリザーブ/PUPに指定された選手も、同じように4試合の欠場を余儀なくされる。
PUPリストに登録された選手には基本給が全額支払われる。PUPリストに置かれている選手の契約は基本的に停止されない。つまり、契約が途中で停止して次のシーズンに再開されることはない。ただし、その選手が契約最終年を迎えていて、レギュラーシーズン6試合目の時点でフットボール競技に従事できず、かつレギュラーシーズンまたはポストシーズン中にアクティブ登録されない場合はこの限りではない。
【NFI(非フットボール故障者)リストとは?】
NFIリストとは、NFLの活動外でケガや病気をした選手に使われるものだ。これは休暇中に自転車から落ちて手首を負傷した例から、カレッジ時代に見舞われたケガをいまだに抱えている例まで、さまざまな場合を含んでいる。最終的なロースターカットの時点でNFIに置かれており、そのままシーズン開幕を迎えた選手は、チームがレギュラーシーズンの最初の4試合を戦い終えた後にアクティブ登録されることができる。
ただし、このリストに置かれた選手には報酬を受け取る権利がなく、このような状態にある間も契約は継続される。とはいえ、リストに載っている間の報酬率についてはチームと交渉可能だ。
そのような選手が契約最終年(オプションイヤーを含む)を迎えている場合、その契約は停止される。ただし、その選手がレギュラーシーズン6試合目までに身体的な理由でプレーない状態であり、チームがその日以降の残りのシーズンに関して比例分配された基本給を支払うことが条件だ。リーグが定める期間内にその選手がNFIから除外された場合、契約は停止されない。
【故障者リザーブ(IR)とは?】
IRとは、フットボール関連のケガをして、すぐに出場できない選手のためのリストだ。IRに入っている場合、その選手は所属チームでプレーすることができない。リストに登録できる選手の数に制限はないが、リストから“復帰指定”できる選手の数には上限がある。最終ロースターカット後のウェイバー期限終了前にIRに置かれた選手は、そのシーズンに復帰することができない。
『NFL Network(NFLネットワーク)』のマイク・ガラフォロによると、NFLとNFLPA(NFL選手会)は2022年オフシーズン中に、改正されたIRルールに合意したとのこと。各チームはIRまたはNFIリストから復帰する選手を最大8名まで指定できるようになった。各選手は1シーズンに2回復帰指定を受けられる。ただし、どちらの指定も8名の制限に集計される。選手はアクティブロースターに復帰する前に、少なくとも4試合はこのリストにとどまらなければならない。今シーズン、各チームは8月31日から選手の復帰指定を開始することができる。
その他、NFL選手の注目すべきリザーブ指定は以下の通りだ。
・リザーブ/出場停止処分:現在、NFLから出場停止処分を受けている選手。このような選手はロースター制限にカウントされず、このリストに載っている間は基本給が支払われない。現在、このリストに載せられている例として、アトランタ・ファルコンズのワイドレシーバー(WR)カルビン・リドリーが挙げられる。
・リザーブ/引退:引退届を提出したが、チームと契約している状態の選手。この選手のサラリーは、放出されたものとしてキャップにカウントされる。将来のボーナス配分額はサラリーキャップに加算される。タンパベイ・バッカニアーズは今オフシーズン、ガード(G)アリ・マーペットの引退後、契約ボーナスの比例配分で700万ドル(約9億5,830万円)以上を請求された。
・リザーブ/未集合:所属チームを去った、あるいはNFLでのフットボールをやめたが、まだ引退届を提出していない選手。この選手はチームのロースター上限やサラリーキャップにはカウントされない。今オフシーズン、ボルティモア・レイブンズはドラフト外ルーキーのワイドレシーバー(WR)デボン・ウィリアムズがトレーニングキャンプに姿を現さなかったため、このリストに置いていた。ウィリアムズは最終的に放出されている。
・リザーブ/ミリタリー:このリストは、NFLとの契約中に兵役を終えなければならない選手のためのものだ。このような選手の契約は停止され、給与は支払われず、ロースター制限にもカウントされない。ロースター制限にカウントされないのは、最初の試合に出場するまでとなる。
・リザーブ/コミッショナー除外リスト:このリストは特別あるいは特異な状況にある選手が、一時的にチームのロースター制限にカウントされないためのもの。コミッショナーはこのリストに選手を登録できる唯一の個人あるいは団体だ。
【現在の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)プロトコルについて】
NFLネットワークのトム・ペリセロによると、NFLとNFLPAは2022年シーズンにおけるCOVID-19プロトコルの停止に合意したとのこと。これにより、マスク、追跡デバイス、症状検査などが義務付けられなくなる。ワクチンを接種していない選手も、強制的な検査義務の対象ではなくなった。症状が出た選手はチーム施設に入る前に速やかに報告し、検査結果が陰性であることを確認しなければならない。陽性と判定された選手は5日間、自己隔離しなければならない。州や地域の法律がこれより厳しい場合はその規則を優先とする。
【各チームでプラクティススクワッドに入れる人数上限について】
2022年シーズンからNFLの練習生は16名までとなり、2020年、2021年の12名から増加している。当初の団体労働協約(CBA)では2022年に14名に拡大することになっていたが、2022年5月にNFLとNFLPAが今回の修正に合意した。2022年は8月30日に放出された選手がウェイバーを通過した後、8月31日にこれらのスクワッドが編成される。
プラクティススクワッド加入の資格があるのは経過シーズン数がゼロの全選手と、経過シーズン数が1シーズンでレギュラーシーズンの出場数が9試合未満の選手。また、各チームは経過シーズン数が2シーズン以下の選手を最大10名までプラクティススクワッドに登録できるほか、最大6名の選手を経過シーズンの制限なく登録可能だ。
練習生はリーグイヤーを通じていつでもすべてのチームとアクティブロースター加入を交渉し、契約することができる。しかし、他チームの練習生として契約することは禁じられている。
ただし、所属チームの次の対戦相手との契約は、その試合が行われる6日前の16時以降にはできない。バイウイーク中であれば期間は10日間に変更される。カンファレンスチャンピオンシップの後、スーパーボウル出場チームの練習生は対戦相手となるチームと契約することはできない。
インターナショナル・プレーヤー:NFLは外国人選手に対して、いずれかのクラブ、あるいはすべてのクラブのプラクティススクワッドに追加のスポットを与えることを選択できる。この選手の国籍(または主な居住地)は米国(その領土を含む)およびカナダ以外の国でなければならない。これらの選手は16名という制限にはカウントされない。また、プラクティススクワッド契約期間中、どのチームともNFL契約の交渉やサインをすることが禁じられている。
【何がロースター免除に該当するのか?】
ロースター免除を受けた選手はチームのアクティブ/インアクティブリスト(53名ロースター)にカウントされない。ロースター免除の代表的な例は以下の通りだ。
・トランジションタグまたはフランチャイズタグに指定されたが、サインしていない選手。
・契約下にありながら、トレーニングキャンプ最終日の5日前までに集合しなかった選手。このような選手には、免除が解除されるまで給与が支払われない。
・独占権フリーエージェントおよび制限付きフリーエージェント(RFA)のうち、提示されながらもテンダーにサインしていない選手についても、さまざまな条件により除外リストに掲載することができる。
【ウェイバーにかけられることと放出の違い】
選手の契約の終了は通常、次の2つのうちどちらかの結果を引き起こす。1)その選手は解雇され、いつでもどのチームとも自由に交渉できる。2)ウェイバーの対象となる。
ウェイバー制度とは選手がフリーエージェントになる前に、各チームが選手の契約にクレームすることができる制度だ。クレームしてから24時間が経過すると、最も優先順位の高いチームがその選手を獲得することができる。もし、どのチームからもクレームされなければ、その選手は直ちにフリーエージェントとなる。優先順位の決め方は期間によって二種類ある。
・スーパーボウル翌日からレギュラーシーズン3試合目までは、ウェイバーの順番はドラフトの順番(トレードや指名権の喪失より前)が基準となる。
・3試合目以降は、その時点のリーグ戦の勝敗順を逆転させた順位となる。
クレジットされたシーズン(レギュラーシーズン3試合以上で全額の報酬が支払われたシーズン)が4シーズン未満のプレーヤーは、常にウェイバーの対象となる。
4シーズン以上クレジットされている選手は、スーパーボウル翌日からトレード期限までに放出された場合、ウェイバーの対象にはならない。トレード期限を過ぎ、前述の期間外になった場合、契約はウェイバーにかけられ、他チームにクレームされる可能性がある。
ウェイバー期限はスーパーボウル後の最初の営業日からレギュラーシーズン終了時までだ。
【アクティブロースターとゲームデーロースターの違い】
これらはレギュラーシーズンにおける指定であり、それぞれの定義は以下の通りだ。
・アクティブ(ゲームデー)リスト:チームがアクティブゲームデーロースターに8名以上のオフェンシブラインマン(主要ポジションはセンター、オフェンシブガード、オフェンシブタックル)を抱えている場合、ロースターの最大人数は48名だ。オフェンシブラインマンの人数が8名に満たない場合、最大人数は47名に減少する。
・アクティブ/インアクティブ(53名ロースター)リスト:レギュラーシーズンとプレーオフでは、アクティブ/インアクティブリストは53名のままだ。しかし、チームは一定の手続きによって1名または2名の練習生をアクティブ/インアクティブリストに加えることで、ロースターを54名あるいは55名に増やすことができる。
【RA】