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QBガロポロの残留は「チームにとって悪いはずがない」と49ersのシャナハンHC

2022年08月31日(水) 12:11


サンフランシスコ・49ersのトレイ・ランスとジミー・ガロポロ【NFL】

サンフランシスコ・49ersが契約を再構築してクオーターバック(QB)のジミー・ガロポロをチームにとどめたことに、多くの人が混乱しているところだろう。だが、その必要はない。少なくとも、それがヘッドコーチ(HC)のカイル・シャナハンが現地30日(火)に発したメッセージだった。

シャナハンHCはこのプレシーズンにおける49ers最大のQB変動について、それほど前から可能性があるとは思っていなかったにせよ、ある意味当然のことだと考えていたようだ。「“なんてことだ、ジミー・ガロポロをバックアップクオーターバックとして起用できるかもしれない”という状況だった」とシャナハンHCは説明している。「それは彼にとっても、われわれにとっても理にかなったことだった。それ以外には考えられないだろう」

給料を減らした上でガロポロを呼び戻したことで、49ersは見返りのない大きな財政的な打撃を避けることができた。そして今、彼らの元には過去3年間で45試合に先発し、チームをスーパーボウルとNFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)のタイトルゲームに導いてくれたクオーターバックが戻って来る。そんな保険はこのリーグでなかなか手に入らないものだ。

「われわれはバックアップとして先発クオーターバックを抱えている」とシャナハンHCは述べている。「他のチームにも彼を獲得するチャンスはあったから、そうならなかったのは本当に幸運だったと思う」

「それがチームにとって悪いわけがない」

先発はもちろんトレイ・ランスで、疑問に思っている人たちのためにシャナハンHCは念のためこの点を再度強調した。シーズン第1週のシカゴ・ベアーズ戦に向けて、ガロポロはチームのQB2であるともつけ加えている。

49ersのプレシーズン最終戦の前まで、ランスに対する予測は圧倒的にポジティブなものだった。しかし、ヒューストン・テキサンズと対戦したプレシーズンの最終戦でランスとオフェンスのファーストチームのプレーは冴えず、その数日後にガロポロが戻って来ることが分かったことと相まって、49ersは密かに22歳の先発QBに懸念を抱いているのではないかという疑問が浮上した。

だが、恐れることはない。シャナハンHCは49ersがこのポジションに十分な恩恵を享受できると信じていると言い張った。

「NFLに先発クオーターバックは32人もいない。われわれのチームには2人いる」とシャナハンHCは述べている。

この関係ではランスとガロポロの間にギクシャクした空気が流れるのではないかという疑念もあった。だが、こちらの潜在的な問題もシャナハンHCは嬉々として否定している。

「ジミーが戻って来ることをトレイに伝えたら、彼は“最高だ”と言った。だから、修復する関係などない」とシャナハンHCは応じた。

そして、オフシーズン中に受けた肩の手術からの復帰を続けるガロポロにプレーブックが渡されていないという懸念についても、シャナハンHCはユーモアを交えてその考えを軽くあしらった。

「彼がプレーブックを持っていないことについてわれわれはまったく心配していない。私だって持っていないからね」とシャナハンHCは返している。

ガロポロがそんなにも戦力になるのであれば、なぜトレードしようとしたのかと聞かれたシャナハンHCは、リーグの他の31チームの惰性に矛先を向けた。

「リーグ内の他のチームには彼を獲得するチャンスがあった」とシャナハンHCは指摘している。

その一方で、シャナハンHCは夢のようなシナリオがこのように展開されるとは思っていなかったとも述べている。ガロポロがこの状況を受け入れるかどうか、当然ながら疑問があった。その疑念はつい最近まで、もっと言えばここ数週、数日前まで続いていたとシャナハンHCは明かしている。

それ以前の49ersはバックアップQBのポジションについてやや不安な様子を見せていた。ネイト・サッドフェルドと7巡目に指名されたブロック・パーディーがその座をめぐって競っていたが、スーパーボウルを目指すチームからは、最も魅力的な選択肢となるような評価はどちらも得られなかった。シャナハンHCは、パーディーがサッドフェルドよりも勝っていたため、プランBはパーディーをバックアップQBにすることだったと話している。サッドフェルドは火曜日にカットされた選手の一人だった。ガロポロの残留が現実味を帯び始めるとともに、そのプランにももちろん変化が生じた。それはパーディーの力量不足を非難しているとも捉えることができるが、NFLで最も経験のないQBルームを擁していることは、今シーズンに大きな野望を抱いているチームにとっては目を背けることのできない大きな問題だったと言えよう。

それが、少なくともHCが考える経緯と理由だ。すべての当事者にとって理想通りになるかどうかはまだ誰にも分からない。ガロポロの忍耐力が試されるとはいえ、これはランスへの懸念に対処したというよりはるかに大きな意味を持ち、チーム全体にとっての成功と捉えるべきで、西地区では激戦が繰り広げられることになるかしれない。

【R】