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試合の流れを変えるキャッチに成功したカウボーイズWRヒルトン、「それが俺の仕事」

2022年12月26日(月) 11:29


ダラス・カウボーイズのT.Y.ヒルトンとシーディー・ラム【AP Photo/Ron Jenkins】

現地24日(土)、ダラス・カウボーイズが40対34でフィラデルフィア・イーグルスに勝利したのは、シーズン後半に加入したワイドレシーバー(WR)があっと驚くほど素晴らしいキャッチを披露したおかげだった。彼の名前はオデル・ベッカムではない。

その舞台となったのは、試合終了まで残り8分、カウボーイズの自陣29ヤードラインから始まった第3ダウン残り30ヤードのプレーだった。NFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)東地区対決において34対27でリードを許していた状況下で、クオーターバック(QB)ダック・プレスコットは連続したプレーでイーグルスの執拗なパスラッシュに飲み込まれていたが、その後にワイドレシーバー(WR)T.Y.ヒルトンに52ヤードのパスを通している。33歳のベテラン選手が今回の試合で唯一決めたキャッチは非常に重要なものとなり、カウボーイズが3回連続で得点を決めるきっかけにもなった。この試合に勝利した結果、カウボーイズはイーグルスが地区優勝を確定させるのを妨げただけではなく、ついにWR陣の現状に満足するようにもなったのかもしれない。

試合後、ヒルトンは「ボールが出されたから、“さあ行くぞ”って感じだった。それが俺の仕事だ。ただプレーを成功させただけ。自分はそのためにここにいる。プレーし続けていく」と報道陣に話している。

今回の試合はヒルトンが12月12日にカウボーイズと契約してから初めて臨んだ試合だった。そのヒルトンが今回の試合で最初に見せた印象的なアクションは、イーグルスのコーナーバック(CB)ダリウス・スレイのイリーガルなコンタクトを引き出したことだった。重要な第3ダウンで再びスレイと対峙する位置についたヒルトンは、バックフィールドをわずかばかり長く見すぎたスレイを出し抜き、一気に駆け抜けた。そして、飛び込んできたCBジョザイア・スコットをものとものせずに完ぺきな位置に投げられたボールをキャッチしている。

劇的なプレーの結果、イーグルスの19ヤードラインまでチェーンが動いた。カウボーイズはその4プレー後にWRシーディー・ラムがタッチダウンを決めたことで34点に追いついている。

勢いに乗ったことで、カウボーイズ守備陣はターンオーバーを誘発。そして、次の2ドライブでキッカー(K)ブレット・マハーがフィールドゴールに成功している。それはイーグルスのQBガードナー・ミンシューの最後のあがきに対抗するには十分なものだった。イーグルスはチームにとっての最終ドライブで9回のプレーを実行したが、試合終了まで14秒を残してレッドーゾーンでプレーを終えている。

チームはヒルトンを徐々に慣れさせようとしていたため、彼はわずか11回のスナップにしか参加しなかったが、試合の結果を受けて彼の自信は全開になっているようだ。

ヒルトンは「33歳だからといって走れないわけじゃない。俺は今日、それを映像に残した。だから、これからの2週間が楽しみだ。自分としては、これからもより良くなっていき、学び続け、プレーブックに忠実であり続けてこのチームに貢献し続けるだけだ」とコメントしている。

ヒルトンはケガに苦しめられた昨シーズン、インディアナポリス・コルツで10試合に出場したものの、キャッチ数(23回)、レシーブヤード(331ヤード)、タッチダウン数(3回)でキャリア最低の数字をマークした。そのため、2022年のフリーエージェント(FA)候補としてはいくらか後回しにされていたが、土曜日の英雄的な活躍を受けて彼を信じる者が少なからず増えたのは間違いないだろう。その中には、カウボーイズの一員であれば誰もが味方してほしいと願うオーナーのジェリー・ジョーンズもいるようだ。

ジョーンズはヒルトンが決めた52ヤードのキャッチについて質問されて「すべてがそろっていた」と答えている。「彼の経験、スピード、方向転換、あのプレーを実現させたこと。あれはまさに彼がチャンスをつかめる可能性があると思った瞬間だったのだろう。彼はここに来て試合に出られることをすごく楽しみにしていた。だから、私は彼を誇りに思っているし、チーム全体のことも誇りに思っている。彼は新たな局面をもたらして可能性をより広げてくれるはずだからね」

特に、キャッチ10回で120ヤード、タッチダウン2回とセンセーショナルなパフォーマンスを見せたチームメイトのラムがいるという観点から、ヒルトンは可能性が広がるという点について、ジョーンズの発言に同意している。

「(ラムの方に)行くか、俺のところに来るか。どっちを選んでも厄介なことになるぜ」とヒルトンは強調した。

結果を踏まえると、彼に反論するのは難しいと言えよう。また、カウボーイズは他のポジションも充実させている。カウボーイズはエゼキエル・エリオットとトニー・ポラードというダイナミックなランニングバック(RB)コンビを使って相手守備陣を苦しめる能力を持っているほか、この上なく信頼できるタイトエンド(TE)ダルトン・シュルツも擁しているのだ。

ヒルトンはカウボーイズに安定性をもたらす機会をますます得るだろう。また、スナップ数の増加に伴って、正真正銘のディープスレットになるはずだ。こうした事実と相まって、今回の結果はまだリハビリ中のベッカムを獲得するという数カ月間の熱狂を終わらせるのに十分なものだったようだ。

『Pro Football Talk(プロフットボール・トーク)』によると、ジョーンズは「まあ、私か誰かが、シーズン終盤になるにつれて、プレーオフに(ベッカムを)有意義な形で出場させるのは現実的ではないと思うようになったことが大きい」と述べたという。「(ベッカムと契約する)可能性を否定するわけではないが、彼がうちに来てプレーオフで貢献してくれるという現実については大部分で否定している」

WR陣が自慢の新戦力ヒルトンとともに前進する一方で、チーム全体としてはすぐにシーズン第17週に向けて切り替えなければならない。NFC東地区のタイトルを誰が手にするのかが決まっていない中、カウボーイズは2022年シーズン最後のサーズデーナイトフットボールでテネシー・タイタンズと対戦する予定だ。

【RA】