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シーホークスでキャロルHCとシュナイダーGMの解雇を要求したとの報道を否定するQBラッセル・ウィルソン

2023年02月25日(土) 18:01


デンバー・ブロンコスのラッセル・ウィルソン【AP Photo/Kyusung Gong】

ラッセル・ウィルソンの唐突なシアトル・シーホークス離脱(とそれに続くデンバー・ブロンコスでの1年目の悪夢)について、その裏事情を暴露するかのような報道がなされた。決してきれいな話ではない。

現地24日(金)に公開された『The Athletic(ジ・アスレチック)』の記事によると、ウィルソンとシーホークスの決別は権力争いの結果として起こったことだといい、ウィルソンがヘッドコーチ(HC)のピート・キャロルとジェネラルマネジャー(GM)ジョン・シュナイダーを2人とも解雇するようオーナーシップに働き掛けたことが原因だったとされている。しかし、ウィルソンは争いに敗れ、シュナイダーとキャロルは彼のトレードに乗り出したと同サイトは伝えている。

この記事に対し、ウィルソンは金曜日にすぐさま『Twitter(ツイッター)』を通じて反応した。

「俺はピートのことを愛しているし、彼は父親代わりのような存在だった。そしてジョンもまた、俺を信じてドラフト指名してくれた人だ」とウィルソンはツイートしている。「彼らの解雇を望んだことなど一度もない。俺たち全員の望みはただ勝つことだった」

「彼らのことは常にリスペクトし続けるし、シアトルへの愛は変わらない」

記事によって浮かび上がるのは、デンバーでも自分専用のサポートスタッフやブロンコス施設へのアクセス権など、欲しいものを何でも与えられるウィルソンの姿だ。それは彼がデンバーのオフェンス面のアプローチに特権的で強力な影響を持っていることを感じさせる。その結果はというと、著しく期待外れだった。最終的にスーパーボウル王者となったカンザスシティ・チーフスとAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)西地区で争うことを期待されたブロンコスだったが、5勝12敗に終わり、ナサニエル・ハケットHCは1年目のシーズンが終わる前に解雇されてしまった。

「彼の影響力があまりにも大き過ぎた」とある匿名のコーチはジ・アスレチックに語っている。「そして、その根底にあったのは、ハケットが彼に影響を及ぼすことを認めていたものが中心だった」

ジ・アスレチックによると、シーホークスは今回の記事についてコメントすることを拒否したといい、ハケットとブロンコスGMジョージ・ペイトンの代理人も同様だったという。

ウィルソンに権限を付与したとされる2022年から学習した様子のブロンコスは、ハケットに代わってショーン・ペイトンをHCに任命した。ジ・アスレチックによれば、彼はまさにウィルソンがキャロルの後任としてシアトルのオーナーシップに推薦した人物だったという。

就任にあたり、ペイトンはデンバーの施設内で引き続きウィルソンのサポートスタッフに大きな顔をさせるつもりかとの見解に素早く反論した。

「そうした考えは私にはなじまない」と6日(月)にペイトンは語っている。「そんなことはここでは起きないよ。私にはなじみのないことだが、われわれのスタッフがここにいて、われわれの選手たちがここにいる。それだけのことだ」

一方、最後に笑ったのはキャロルとシュナイダーだった。ウィルソンのトレードによって得たドラフト指名権を使って選手層を補強したシーホークスは、7勝10敗だったウィルソンの最終年から9勝8敗へと成長し、2022年のワイルドカードに駒を進めている。それを成し遂げたのは、ウィルソンに代わってプレーしたジャーニーマンのクオーターバック(QB)ジーノ・スミスだ。

その努力が認められ、スミスは年間最優秀カムバック選手賞に輝いた。ウィルソンはというと、AFC西地区で最下位に終わっている。

ウィルソンの得た残念賞、それはさらなるドラフト指名権を割いてチームがニューオーリンズ・セインツからペイトンを引き抜いたことだ。シーホークスで予定していたとされるウィルソンの改善計画がデンバーでうまくいくのか、それは2023年に明らかになるだろう。

「前進することに集中! ベストはこれからさ」

【M】