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QBロジャースの控えはつらかったが「その経験に感謝している」とパッカーズQBラブ

2023年05月11日(木) 12:34


グリーンベイ・パッカーズのジョーダン・ラブとアーロン・ロジャース【AP Photo/Morry Gash】

グリーンベイ・パッカーズでは新たな時代が正式にスタートした。

クオーターバック(QB)アーロン・ロジャースはニューヨークへ行き、マディソン・スクエア・ガーデンで行われたニューヨーク・ニックスの試合を観戦する姿が見られ、ビッグアップルに到着した最新の有名人となっている。後に残されたジョーダン・ラブはパッカーズにロジャースの後任として選ばれ、正式にその役割を担うことになった。

ラブは現地10日(水)にパッカーズの新生QB1として記者団と話すために壇上に立った。ロジャースの控えとして過ごした時間は必ずしも楽なものではなかったと彼は認めている。

「このチームにドラフトされたとき、自分がどんな状況に置かれるのか、誰の控えを務めるのかはすぐにはっきりと分かった」とラブは切り出し、こう説明した。

「だから、自分が活躍できるまでには時間がかかることや、学びながら成長しなければならないことは分かっていた。でも、正直言って、一番つらかったのは昨年に彼が再契約した時だ。この先どうなんるんだ?俺はどうしたらいいんだ?と考えた。しばらく悩んだけど、自分にできることを精一杯やるしかないという結論に至った」

「プレシーズンでチャンスをもらえるかもしれないし、何が起きるか分からない。だから、成長して努力して、最高の自分を目指すしかないと思ったんだ。それ以上のことはコントロールできないから、あとは流れに身を任せることにした」

ラブは流れに任せるしかなかった。そして、3シーズンにわたってしばしば煮え切らない様子のロジャースの影で過ごしたラブは、2023年についにスポットライトを浴びることになる。ロジャースは当時、パッカーズが1巡目指名権を使って自分の後継者を獲得したことに対して公の場でも不満を漏らしていたにもかかわらず、ラブはロジャースの後ろに静かに控えながら、彼から多くを学んだと明かした。

「たくさんのことを学んだ。偉大なクオーターバックを間近で見ることができ、彼の日々の努力やロッカールームでの様子、チームメイトとのコミュニケーションの仕方、とにかく日常の取り組みをすべて見ることができた」とラブは話している。

「一人のクオーターバックとして彼のことを観察できた。彼のフットワークやボールがどうやって彼の手を離れるのか、どういう風にいつも練習してそれを試合に活かしているのか。どれも貴重なものばかりだ。俺は3年間、彼の仕事ぶりを見てその知恵を借りることができた」

スポーツ界はすでにロジャースがユニークな人物であることを知っている。オフシーズンには暗闇の中で過ごして精神面をリセットしてからフットボールに復帰し、雇用主から最大の報酬を引き出すために自分の力を使うことを恐れない。とりわけ後者に関しては、パッカーズがラブを選んだ後にロジャースはそれを存分に行ったが、両者の関係に支障をきたすことはなかった。

かつてブレット・ファーブがニューヨークへ旅立つ前にロジャースを冷たくあしらったのとは対照的に、それ以前の報道からは驚くほどロジャースはラブを歓迎した。ラブによれば、それはロジャースがパッカーズを去るまで続いていたという。

「トレードの後に彼と話した。俺は彼のこれからの活躍を祈って、彼も俺の活躍を祈ってくれた」とラブはロジャースについて語った。「何か困ったことや聞きたいことがあればいつでも対応してくれた。彼のそばにいて、一緒に過ごせたことに感謝の気持ちしかない。彼の後ろで学べたことは俺にとってありがたいことだった」

ラブにとって2023年に向けてモチベーションを高める理由はいくらでもある。プレシーズンゲームだけにとどまらず、ようやく自分の力を証明するチャンスを得たのだ。そして、フルシーズンをベンチで過ごしながらフィールドに出るチャンスがほとんどないことが、どんな気分なのかを知っている。

「すごくつらいことだ。簡単なことではない」とラブは言う。「どの選手も思っていることだけど、当然、選ばれてフィールドでプレーを決めたいと思っているから、平気なわけがない。でも、それが俺が置かれていた状況だった。俺にはどうすることもできなかった。自分にできることだけに集中するようにいつも自分に言い聞かせて、その状況で自分にできることと言えば毎日をどういう姿勢で過ごし、どうやって学んで成長し、自分の名前が呼ばれた時のためにどう準備するかだった」

ベンチで長い時間を過ごすことでメリットもあった。

ラブはヘッドコーチ(HC)マット・ラフルアーのオフェンススキームを完ぺきに理解し、たとえ試合中の経験が豊富でなくてもオフェンスをリードする自信がつき、2020年にユタ大学を卒業して以来、「劇的に改善した」と感じていると記者団に語った。

ランニングバック(RB)のアーロン・ジョーンズは「彼が話すと、先発としては1年目にもかかわらず、誰もが耳を傾ける」と話している。

ジョーンズは自分たちのスタンスを率直に「A-Rod(ロジャース)はここにいたくない。だから、彼はもうここにいない」と説明し、パッカーズがロジャース時代の終焉にどう臨むかを端的に表現した。

ジョーンズは正しい。

ロジャースはもういない。

ラブはその後任として、サイドラインと練習場で得た3年分の学びをもってフィールドに立つ。ここ10年で初めて、シーズンを迎えるにあたってパッカーズはNFLを賑わす話題から外れることになるだろう。

だが、序盤からの活躍によってラブはそれを変えられる。最初のスナップから彼はチームメイトの全面的なサポートを受けられるに違いない。

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