“妥当な報酬を受けていない”ことを容認しているチーフスTEケルシー
2023年06月30日(金) 11:13カンザスシティ・チーフスのタイトエンド(TE)トラビス・ケルシーはNFLでもトップクラスのパスキャッチ力を誇る選手だが、彼の契約内容がその地位を反映しているとは言い難い。
ケルシーは『Vanity Fair(ヴァニティ・フェア)』のトム・クルードに「俺のマネージャーや代理人は俺がいかにしかるべき報酬を得ていないかについて話すのが大好きなんだ。もっとお金が欲しいという話をしたらいつも、“チーフスのところに行って聞いてみたら?”って言われる」と明かした。
ケルシーは2020年に4年5,725万ドル(約82億9,839万円)の契約延長にサインし、平均年俸は1,430万ドル(約20億7,279万円)となっている。残りの契約期間(3年)に保証金はない。
33歳のケルシーは現在、リーグで3番目に報酬の高いタイトエンドだ。ワイドレシーバー(WR)と比較すると、報酬の差はさらに広がる。ケルシーの1シーズンあたりの収入はラスベガス・レイダースのハンター・レンフロウ(1,585万ドル/約22億9,746万円)やデンバー・ブロンコスのコートランド・サットン(1,500万ドル/約21億7,425万円)といった選手よりも少ない。オールプロに4回、プロボウルに8回選出された経歴を誇るケルシーの年俸は、ケルシーの元チームメイトであり、リーグで最も高給取りのワイドレシーバーであるタイリーク・ヒル(年俸3,000万ドル/約43億4,850万円)の半分以下だ。
「タイリークが1年で3,000万ドルを手にするのを見たときは、頭のどっかで、それは俺が稼いでいる額の2倍か3倍にあたるじゃないかって思った。どこかに行って勝てなかったら、フリーのマーケットが楽しそうだなんて言っていられなくなる。俺は勝つことが好きだ。今の状況を気に入っている」
ケルシーはより多くの報酬を得る代わりに、何年も強豪であり続けているチーフスにとどまっているのだ。クオーターバック(QB)パトリック・マホームズと共にプレーし、ハイライトシーンを量産するチーフス攻撃陣で名声を得ることで、ケルシーはキャリア後のマーケットで活躍の場を広げるチャンスをつかめるだろう。
ケルシーは引退後のキャリアについて「自分のやりたいことが本当に成し遂げられたのかはまだ分からない」とコメントしている。
マホームズが他のクオーターバックと比べて報酬が低いことは、自分の契約に関して事を荒立てたくないというケルシーの望みに影響しているようだ。これは、ニューイングランド・ペイトリオッツが隆盛を極めていた頃に、元QBトム・ブレイディが価値に見合った報酬を受け取っていなかったのと同じような流れだと言えよう。
「あとどれくらいたくさん稼げる可能性があるのかが見えていたら、ちょっとはガッカリする」と語ったケルシーは「足元をみられているような気持ちになるものさ。アクセルを踏んだら、いわゆる自分の価値に見合ったものを手に入れられるのか、俺には分からない。でも、自分が毎日、チームの元に行くのを楽しんでいることは知っている」と続けた。
いつものように、勝利はそれだけの効果をもたらすだろう。
【RA】