ミシガン大学ジム・ハーボーのHC雇用について複数のNFLチームが情報収集中
2024年01月07日(日) 21:10このところ、ミシガン大学ウルヴァリンズのヘッドコーチ(HC)を務めるジム・ハーボーについて情報を集めようと複数のNFLチームが動いている。現地8日(月)にカレッジフットボール・プレーオフ・ナショナルチャンピオンシップが終わり次第、ハーボーはプロフットボールへの復帰を見込んで可能性を探り始めると考えられており、希望のスタッフリストも更新したとされている。
最近になってハーボーは代理人のドン・イーとも契約を更新した。イーは伝説的クオーターバック(QB)トム・ブレイディやデンバー・ブロンコスのショーン・ペイトンHCなど、NFLの有名どころをクライアントに抱えている。これもまた、過去2年にわたって就職面談を行ってきたハーボーがNFL復帰に関心を示しているサインだ。
先月60歳の誕生日を迎えたハーボーと、少なくとも話し合いを望んでいるチームの1つがロサンゼルス・チャージャーズだと言われている。ラスベガス・レイダースも同様だ。他にもヘッドコーチを変更する可能性のあるいくつかのチームとハーボーはつながりを持っている。1987年のNFLドラフトで彼を1巡目指名したシカゴ・ベアーズもそうだ。レギュラーシーズン終了後のニューイングランド・ペイトリオッツとビル・ベリチックHCの話し合いの結果にもよるが、ハーボーが復帰するとなれば、雇用可能な最も熟練したコーチになることもあり得る。
今週のハーボーとウルヴァリンズは大忙しだった。準決勝のローズ・ボウルでアラバマ大学に勝利して2日(火)の朝にアナーバーに戻り、5日(金)にはワシントン大学とのチャンピオンシップゲームのためにヒューストンに飛んだ。その試合が終われば、ハーボーは再び自身の将来に目を向け、NFLチームたちの争奪戦も急速にヒートアップするだろう。
金曜日に通知された新しいタンパリング防止ポリシーにより、21日(日)のディビジョナルプレーオフ終了までヘッドコーチ職の面談に応じることを禁じられている現役のNFLアシスタントコーチたちと違い、ハーボーはすぐにでもNFLチームたちと交渉を開始することができる。
NFLの元クオーターバックであるハーボーは49ersでHCを務めた4年間を含め、コーチに就任した全ての場所で勝利している。彼の在任中、49ersは44勝19敗1分の戦績で3年連続NFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)チャンピオンシップゲームに到達し、第47回スーパーボウルに出場したが、兄のジョンが率いるボルティモア・レイブンズに34対31で敗れた(情報筋によれば、その当時の49ersのスタッフで攻撃コーディネーターだったグレッグ・ローマンがハーボーのNFLスタッフに含まれる可能性があると考えられているとのこと)。
2015年にハーボーが母校に戻ってから、ミシガン大学は88勝25敗となっており、2021年からの過去3シーズンは連続でカレッジフットボール・プレーオフに進んで39勝3敗だ。
しかし、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響を受けた後の2021年に減給を強いられてから、学校運営側と不和が生じていた。また組織ぐるみで計画的にサインを盗んだ疑いを含め、NCAAの複数の調査対象になっており、ハーボーとプログラムに厳しい懲罰が下される可能性がある。これもまたハーボーの将来にとって1つのファクターだ。
ハーボーがNFL復帰に関心を持っていることはよく知られている。2年前にはミネソタ・バイキングスと2回、昨年はブロンコスと面談しており、ブロンコスでは最有力候補と目されていたが、ハーボー自身がミシガンに残ることを決め、ブロンコスは代わりにペイトンを雇った。
土曜日のヒューストンのメディアデーで、来シーズンも大学側に戻ることを確約しているのかと聞かれ、ハーボーは次のように述べた。「まだ試合がある。来週になったら喜んで話すよ。将来の希望はもちろんある。それでどうかな? 将来はいいものになってほしいと思っているよ」
『NFL.com』は先週、2026年までミシガン大学と契約中のハーボーが学校側から10年1億2,500万ドル(約180億7,938万円)を提示されたとの情報を伝えた。それを受けた場合、彼はカレッジフットボールでトップクラスの高額報酬コーチとなるが、そこには2024年シーズンにNFLの仕事を引き受けてはならないという条件があるという。もしそれを蹴ってNFLに来るとすれば、ハーボーのサラリーは決して安くないだろう。一部のトップコーチは年間1,700万ドル(約24億5,880万円)以上の報酬を受け取っている。
リーグ関係者の考えによると、ハーボーの有力な行き先は、昨年12月15日(金)にブランドン・ステイリーとトム・テレスコを解雇し、新HCとジェネラルマネジャー(GM)を同時進行で探すロサンゼルス・チャージャーズが有力とされている。しかし一方で、ハーボーは多くの候補の1人に過ぎないという説もある。ワイドレシーバー(WR)キーナン・アレン、アウトサイドラインバッカー(OLB)カリル・マックやラインバッカー(LB)ジョーイ・ボサといったベテランで高額の選手たちに関して厳しい決断が必要なものの、25歳のQBジャスティン・ハーバートの存在は、チャージャーズでの仕事を魅力的なものにしている。また、カリフォルニア州エルセグンドには間もなく2億5,000万ドル(約361億5,875万円)をかけたチームの新しいトレーニング施設がオープンする予定だ。
レイダースは昨年10月31日(火)にジョシュ・マクダニエルズHCとデイブ・ジーグラーGMを解雇し、暫定HCとなったアントニオ・ピアースが4勝4敗、クリスマスにカンザスシティ・チーフスに番狂わせの勝利を飾るなど好印象を残した。ピアースにはフルタイムでのオファーがなされる見込みだ。しかし、オーナーのマーク・デイビスは以前からラスベガスのチームのトップにビッグネームが欲しいと言い続けており、ハーボーなら間違いなくその条件を満たせる。レイダースにはフランチャイズQBがおらず、2024年はジミー・ガロポロに1,125万ドル(約16億2,714万円)を保証している。しかし、彼らのスタジアムとトレーニング施設は素晴らしく、アイコニックなブランドとスーパースター選手たちが何人かそろっている(ハーボーがNFLで初めてコーチの仕事に就いたのはオークランド時代のレイダースで、ビル・キャラハンHCの下でアシスタントを務めていた)。
パンサーズの職も現在空席だが、彼らがハーボーを求める可能性は低いとされている。他にもワシントン・コマンダースを含め、まだこれからNFLのHC職に空きが出る可能性はある。
これまでの面談でのハーボーは、自身の気に入ったGMを雇用してくれるところでなければオファーを受けるつもりがないと考えられていた。しかし、今はそうではないと情報筋は言う。ハーボーはこれまでと比べてずっと柔軟になったといい、最後に自身がリーグでコーチをしていた頃と比べてNFL内の構造が変わったことを知って、多様な組織に対してオープンになったという。
また2024年シーズンのスタートで、程度は不明ながら、ハーボーが出場停止処分を科されるかどうかも気になるところだ。ハーボーはCOVID-19のデッドピリオド中にリクルート活動を行った疑いをかけられたが調査官に協力せず、今シーズンに学校側から3試合の出場停止処分を受けたが、サインを盗んだ疑惑の件も含めてNCAAからさらなる処分が下される可能性がある。たとえハーボーがNFLに来たとしても処分を回避することはできず、NCAAが科した処罰の一部またはすべてが適用される可能性が10月の段階で示唆されている。現時点でNCAAはどちらの件についても裁定を下しておらず、概してこうした場合は遅々として結論が出ないことが多い。
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