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ビル・ベリチックが24年間支えてくれたペイトリオッツファンに感謝の手紙

2024年02月05日(月) 10:25

ニューイングランド・ペイトリオッツのビル・ベリチック【AP Photo/David J. Phillip】

ニューイングランド・ペイトリオッツでは監督の交代が完了し、ジェロッド・メイヨが組織の新時代を切り開いている。

先月、ヘッドコーチ(HC)を務めた24シーズンでペイトリオッツを9度のスーパーボウル出場と6度のスーパボウル制覇に導いたビル・ベリチックが、双方の合意のもとでペイトリオッツと決別した。

その動きから数週間を経た今、伝説的なコーチは24年間にわたる在任期間にずっと支えてもらっていたファンに感謝を伝えるべく筆をとり、現地4日(日)に発行された『Boston Globe(ボストン・グローブ)』紙の1ページをまるまる借りてペイトリオッツファンに宛てた最後の手紙をしたためている。

「ニューイングランドほど情熱的なプロスポーツファンがいる場所はアメリカのどこにもなく、私は24年間、皆さんの情熱とパワーを感じる機会に恵まれてきました。ペイトリオッツは6つの州を代表する唯一のNFLチームですが、実際のところ、ペイトリオッツネーションに境界線はありません」

「私たちは天候に臆することなく、灼熱のトレーニングキャンプの練習に参加し、フォックスボロの寒く、雨や雪が多く、風の強い日々を乗り越えてきました」

「皆さんから頂いた心のこもったお手紙からは、応援や批評、創造的なプレーの提案を受けてきました。皆さんはテレビで、インターネットで、そしてスタジアムの座席から観てくださっていました」

「皆さんは海岸から海岸へ移動し、海外にも来てくださりました。皆さんは何度も相手スタジアムの動員数の半数以上を占め、最後までそこに立ち続けてくれたファンでした。私たちはそれをとてもうれしく思っていました! 貴重な時間、リソース、エネルギーを私たちのチームに捧げてくださっていたことに、心から感謝しています!」

「6回にわたり、パレードのために何百人もの方がボストンに詰めかけてくれ、それはまさに感謝と愛の双方向の表現となりました。当時の様子は私の記憶に焼きついています。皆さんは私のファッションセンスや記者会見を楽しんでくれていたかもしれません。あるいは、ただそれらを大目に見てくれていただけかもしれません」

「私はここで指導することが大好きでした。そして、私たちは一緒に素晴らしい瞬間を経験してきました」

「皆さん、ありがとう。尊敬と称賛を込めて、ビル・ベリチック」

ペイトリオッツのヘッドコーチとして、ベリチックはNFL史上最も輝かしい王朝の指揮を執り、ペイトリオッツでロンバルディトロフィーを6つ獲得したことで史上最高のコーチの1人としての名声を確固たるものにした。

ペイトリオッツに別れを告げた時点で、ベリチックは通算勝利数(296回)でシカゴ・ベアーズの元HCジョージ・ハラス(324回)に次ぐ歴代2位に。あと数シーズンあれば、ベリチックがハラスの記録をこえる可能性はあるが、それはペイトリオッツ以外のチームを率いてのことになるだろう。

ベリチックは今回のヘッドコーチ採用サイクルでアトランタ・ファルコンズと面談していたものの、最終的にファルコンズはラヒーム・モリスを採用。また、ヘッドコーチを募集していた他の7チームもそれぞれ採用を終えたため、今秋が2000年以降で初めてベリチックがNFLのヘッドコーチとして存在していない秋となることが確定した。

将来的にヘッドコーチの座に就くことができれば、ベリチックはハラスの記録に挑戦し続けられるだろう。一方で、しばらく離れてみて、リーグで過ごす時間はこれで終わりだと判断することもできるはずだ。

後者が現実になった場合、それは輝かしく、多くの功績をあげたキャリアが終わることを意味する。ベリチックが日曜日に発したメッセージは、ニューイングランドのファンに感謝を伝えると同時に、50年近くコーチを務めてきたフットボールというスポーツにより永久的な別れを告げるものだった。

【RA】