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父親たちのように、RBマカフリーとともにスーパーボウル制覇を目指す49ersシャナハンHC

2024年02月07日(水) 16:49

サンフランシスコ・49ersのヘッドコーチ(HC)カイル・シャナハン【AP Photo/Charlie Riedel】

サンフランシスコ・49ersのヘッドコーチ(HC)カイル・シャナハンは以前もスーパーボウルに進出したことがある。

現地11日(日)にカンザスシティ・チーフスと対決する第58回スーパーボウルは、シャナハンHCにとってキャリア3回目、ヘッドコーチとしては2回目のスーパーボウルとなる。しかし、ヘッドコーチの息子として育っていなければ、ここまでたどり着くことはなかっただろう。

シャナハンHCは幸運にも、スーパーボウルを2度ヘッドコーチとして制覇したことがある父親のマイクに育てられた。カイル・シャナハンHCが6日(火)に語ったように、それがすべての違いを生んでいる。

シャナハンHCは火曜日に記者団に対して「コーチの息子として、ずっとフットボールを身近に感じながら育ったことはとても幸せなことだ。特にNFLレベルではね」と語り、次のように続けた。

「父がNFLに入ったのは私が4歳の時だったから、ずっとNFLを身近に感じながら育ったことになる。それがどれだけ役に立つかわからなかったけれど、NFLに入って初めて、自分がこれまで経験してきたことの多くが助けになると実感できて、少し楽になったんだ。ただコーチの息子というだけでなく、父はこれまでそばで見てきた中で最高のコーチだと思う。だから、あれほど優れたコーチが身近にいたことも、私にとって大きなアドバンテージになったと思う」

「彼は私をコーチにするために特別に訓練していたわけではなく、ただ父として接してくれた。彼は何事にも率直で、人に対して正直で、一生懸命働いていた。息子として、また一緒に働く人として、それ以上望むことはない」

シャナハンHCは火曜日にその話題について心を開いて打ち明け、自分の生い立ちを振り返りながら、思慮深い反応を示した。それはたいていの向上心のある少年がそうであるように、幼いシャナハンがNFLを夢見ることから始まる。シャナハンHCはすでにプロのゲームを間近でたくさん見ており、10代の頃にはデンバー・ブロンコスのワイドレシーバー(WR)たちに惹きつけられていた。

その時点では、いつか自分がコーチになるとは想像もしていなかっただろう。選手としてNFLに行くことだけに集中していたこの頃を、シャナハンHCは次のように振り返っている。

「私はいつも父のそばにいて、一緒に食事をするたびに、妹や母を困らせていた。車に乗るときもそうだった。フットボールについてひたすら質問するんだ。私は昔からフットボールが大好きだった。裏庭でいつもプレーするのが大好きだった。8年生(中学2年生相当)の時、父にプロスポーツ選手としてプレーしたい、奨学金を得たい、どのスポーツに挑戦したらいいか、と話したのを覚えている。フットボールのことは分かっているし、私にとっては一番難しいだろうってね」

「長い車での移動中、父が私に、お前はただそれにコミットしてやるしかないんだ、と言ったのを覚えている。その頃から、ワークアウトのやり方や、いろいろなことを計画した。その当時は、私は常に選手になろうとしていた。奨学金をもらおうとしたり、大学でプレーしようとしたり、そんな風にね」

「5年目に入り、選手としての現実を目の当たりにして、それから考え始めたんだと思う。コーチになりたいと思うようになったんだ。今はフットボールから離れたくない。実はこれまでの人生ずっと、プレーするよりは少し楽だから、無意識のうちにそれに取り組んできたような感じだって、そう思うようになった。自然とそうなった感じだ」

もし10代のシャナハンが、将来はブロンコスのワイドレシーバーの息子であるスーパースターをコーチすることになると言われたら、どんな反応を示すか想像してみてほしい。

シャナハンHCは、元ブロンコスのWRで、49ersのランニングバック(RB)クリスチャン・マカフリーの父親であるエド・マカフリーについて「私は幼い頃からクリスチャンの父親ととても親しかった」と述べ、次のように続けている。

「彼とロッド・スミスはブロンコスにいた2人のレシーバーで、私がレシーバーになろうとして高校に通っていた時、同じような靴を履いたり、同じショルダーパッドを着たり、放課後に会って一緒にルートを走ったり、夏の間ワークアウトをしたりした人たちだ。彼の父親は体育会系で、まさにテクニシャンだった。彼とロッドは、今私が知っているプレーに関する知識のほとんどすべてを教えてくれて、そのおかげでプレーするチャンスを得たんだ」

「それから、年月を経てクリスチャンを見守るのがとてもおもしろかった。高校での話からスタンフォード大学での話、ドラフトでの話、すべてを聞いた。彼の才能は信じられいほどだった。でも、彼の父親のことも知っていたし、彼の父親がどれだけ仕事熱心で細部にまで気を配る頭のキレる人だったのかも知っていた」

「クリスチャンをトレードで獲得して、実際に彼を知ることができたのは本当に素晴らしいことだった。半分の時間はエドを見ているような感じがする。もう半分の時間は(エドの妻である)リサで、彼女はおそらくもうちょっといい性格をしていて、それがクリスチャンにも表れている。でも、おもしろいことに、リンゴは木から遠くには落ちないというだけあって、私と父との類似点があるのを彼らも見ているだろうな」

シャナハンHCの話の締めくくりを聞いて、思わず笑顔にならざるを得ない。というのも、シャナハンHCには本当に父親そっくりなところがあるからだ。父親のゾーンラン・スキームがブロンコスで安定したランニングバックを成功に導いたように、カイルHCの優れた攻撃戦術が49ersを精鋭チームに育て上げ、ひいてはNFLの未来を形作った。シャナハン親子は似たような道を歩んでいる。マイクは49ersでアシスタントとしてスーパーボウルを制し、その後ブロンコスでヘッドコーチとして2度優勝した。そしてこの3回の優勝にはエド・マカフリーが関わっている。

ただし、そこに違いがある。カイルは自身3回目、ヘッドコーチとして2回目のスーパーボウル出場を果たす。チーフスと対決する日曜日の試合は、チームにマカフリーを迎えてからは初めてのスーパーボウルだ。そして父とは違い、カイルHCは敗北の感覚しか知らない。

シャナハンHCは日曜日、それを変えたいと思っている。計画通りにいけば、エドの息子であるクリスチャンは、勝利に不可欠な役割を果たすことになる。

その瞬間、フットボール界はシャナハンとマカフリーがロンバルディトロフィーを分かち合う既視感を味わうかもしれない。

【KO】