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NFLオーナーたちが新しいハイブリッドキックオフルールを承認

2024年03月27日(水) 10:15

NFLロゴとキックオフペイント【Aaron M. Sprecher via AP】

NFLはキックオフを活性化させるという願望を貫いている。

オーナーたちが現地26日(火)に行われた年次リーグミーティングの場で、ハイブリッドキックオフルールを承認したと、『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートとトム・ペリセロが今回の決定を知る人物の話をもとに報じた。NFL競技委員会のリッチ・マッケイ委員長は報道陣に対し、このルールは29対3で可決されたと明かしている。

この動きによって、キックオフの印象と雰囲気は劇的に変わるだろう。キックオフはこれまで、セーフティルールによってリターンを駆り立てる動機が実質的に消滅したため、二の次にされていたプレーだった。

可決されたキックオフルールは、キック側チームとレシーブ側チームの両方が新しい配置につくことを特徴としている。“ランディングゾーン”とは、レシーブ側チームのゴールラインと20ヤードラインの間にあるエリアのことで、ボールがそこに入った場合、キックオフ後のアクションがそこから促される。

キックオフする地点は引き続き35ヤードラインだが、キック側チームの残りの10人は敵陣40ヤードラインに並ぶ。レシーブ側チームは、自陣35ヤードラインと30ヤードラインの間の5ヤードの区域である“セットアップゾーン”に少なくとも7人の選手が並び、最大2人のリターナーがランディングゾーンに並ぶことが許可される。

ボールがキックオフされた後、ボールが地面に触れる、またはランディングゾーンにいる選手あるいはエンドゾーンに向かっている選手に触れるまで、キッカー(K)は50ヤードラインを越えてはならず、キック側チームの10人は動いてはならない。セットアップゾーンにいるレシーブ側チームの選手も、キックされたボールが地面に触れる、またはランディングゾーンもしくはエンドゾーンにいる選手に触れるまで動くことはできないが、リターナーはキックオフ前またはキックオフ中のいつでも移動できる。

「キックオフの新時代が幕を開けた。オーナーたちがNFLのハイブリッドキックオフルールを承認したと情報筋が明かしている」

「何年にもわたる調整によって、試合で最もエキサイティングな瞬間の1つが“廃れた、儀式的なプレー”になってしまったことを受けて、リーグは今回の大改革によって自分たちが望むこと、すなわち負傷者の減少とリターンの増加が生まれることを期待している」

得点プレー時のペナルティは持ち越されず、ポイントアフターアテンプトに適用される。キックオフに持ち越されるペナルティがあった場合、セットアップゾーンおよびランディングゾーンは変わらず、キック側チームの10人の選手とレシーブ側チームの全選手の配置も変わらない。変わるのは、キッカーの位置のみだ。

キックオフのシナリオは以下の通り。

・ランディングゾーンに落ちたキックオフはリターンしなければならない。

・ランディングゾーンに落ちてエンドゾーンに入ったキックオフは、レシーブ側チームがリターンするか、ダウンしなければならない。ダウンした場合、レシーブ側のチームは自陣20ヤードラインでボールを獲得。

・キックオフがエンドゾーンに入ってインバウンズにとどまり、ダウンされた場合、レシーブ側チームは自陣30ヤードラインでボールを得る。エンドゾーン後方に出たキックオフ(空中もしくはバウンド)もタッチバックとなり、レシーブ側チームが自陣30ヤードラインでボールを獲得。

・ランディングゾーンに届かなかったキックオフはアウトオブバウンズとして扱われ、レシーブ側チームは自陣40ヤードラインでボールを獲得。

また、今回のルールはオンサイドキックの調整にもつながっており、オンサイドキックは第4クオーター以降、チームが劣勢に立たされたときにのみ行えることになった。このとき、キック側チームはオンサイドキックをする意思を表明しなければならない。

新ルールは2024年シーズンにしか適用されず、2025年に更新される可能性がある。数年前にNFLがパスインターフェアランスのレビュールールで行ったように、うまくいかなかった、あるいは望ましい結果が得られなかった場合、リーグは振り出しに戻ることが可能だ。

「2024年シーズンに向けて、ハイブリッドキックオフルールの変更案が@NFLのクラブによって承認された」

NFLコミッショナーのロジャー・グッデルは火曜日に「まだ微調整が必要になると思う。実際にプレーしてみると、いろいろなことが見えてくるものだと思うし、シーズンが進むにつれて再評価していくことになるだろう。そして、将来的に変更することが適切であれば、そうするつもりだ」と述べている。

新しいハイブリッドキックオフは、自然発生的なオンサイドキックを一掃するものでもあり、おそらく最初の数週間は伝統主義者にとって居心地の悪いものになるだろう。一方で、廃れかけているプレーを活性化させ、同時にケガ――特に頭部のケガ――を最小限に抑えることが期待されている。

今回の提案が採用されたことについて、そこに携わったスペシャルチームのコーチたちを称賛したグッデルは「大きな改善になると思う」と強調し、「こうすることで、そのプレーは再び、関連性があり、重要かつエキサイティングなプレーになると思う。うまくいけば負傷率も下がると思っている」と続けた。

【RA】