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2023年ドラフト全体1位指名を受けたパンサーズQBヤング、2024年に「最高の状態になりたい」

2024年04月26日(金) 12:29

カロライナ・パンサーズのブライス・ヤングとニューオーリンズ・セインツのキャメロン・ジョーダン【NFL】

カロライナ・パンサーズのクオーターバック(QB)ブライス・ヤングが2023年NFLドラフトで全体1位指名を受けてから1年が経とうとしている。

デトロイトで行われている2024年NFLドラフトに注目が集まる中、ヤングは新人時代の苦労から学びたいと願いながら、前を見据えている。

チーム公式サイトのダリン・ガントによると、ヤングは今週、「俺はただできる限り最高の状態になりたいだけだ」と語ったという。

「もちろん、システムにはたくさんの変更があった。新しいコーチングスタッフも新しい選手もいる。だから、自分たちにとっては成長し、共に作り上げていく素晴らしい機会になるはずだ。でも、チームとして、個人として、すべてを合わせて、多くを学び、たくさん成長したと思っている。もちろん、去年は望み通りにはいかなかった。でも、そういう経験から学ぶことはできるはずだ」

ヤングの新人時代は、ネガティブな要素がポジティブな要素をはるかに上回り、苦戦具合が歴史的なレベルにまで到達することがしばしばあった。

2023年、ヤングは先発として2勝14敗(1試合はケガで欠場)、パス527回中315回成功(パス成功率59.8%)、2,877ヤード(試合平均179.8ヤード)、タッチダウン11回、インターセプト10回を記録。

2000年以降、ドラフト全体1位で指名され、新人として150回以上のパスを記録したクオーターバックは14人だ。『NFL Research(NFLリサーチ)』によると、ヤングの勝率(12.5%)はその間において、ロサンゼルス・ラムズの先発として0勝7敗の成績を残したジャレッド・ゴフに次いで2番目に低いとのこと。

ヤングの試合平均パスヤード(10位)、アテンプト平均ヤード(5.5ヤード/11位)、タッチダウン対インターセプト比(8位)、パサーレーティング(73.7/8位)もまた、歴史的な不成績だと言える。

おそらく最も気がかりな点は、身長約178cm、体重約91kgのヤングが62回ものサックを喫したことだろう。この数は昨季、サム・ハウエルに次いで2番目に多かった。また、2000年以降の新人としては、デビッド・カーに次いで2番目に多い。カーが1シーズンに喫したサック数(76回)はNFL史上最多記録となっている。

パンサーズにとって不安定な展開が続く中、ヤングは相手ラッシャーの猛攻撃を受け続けた。

ヤングが最もいい成績を残したのは、勢いに乗っていたグリーンベイ・パッカーズに33対30で敗れたシーズン第16週だ。第4クオーターに14点差をつけられていた中で、ヤングは2回のタッチダウンドライブを演出。ワイドレシーバー(WR)D.J.チャークに2回タッチダウンパスを通し、30対30という状況に持ち込んだ。最後の最後にフィールドゴールを決めたパッカーズに軍配が上がったものの、ヤングはこの試合でパス36回中23回を成功させてシーズンハイとなる312ヤード、パサーレーティング110.0をマーク。2回のタッチダウンを決めた一方で、一度もインターセプトを喫することなく試合を終えた。

しかし、力強くシーズンを締めくくるための勢いは維持できず、ヤングとパンサーズ攻撃陣は2023年シーズン最後の8クオーターで一度も得点を挙げられずに、2試合連続で惨敗を喫した。

ヤングの苦戦はパンサーズの2勝15敗という戦績につながっている。

それはヤングが慣れ親しんできたフットボールの運命とはほど遠い結果だった。

ヤングはメーテル・デイ高校の2年生として2018年CIF(カリフォルニア)ステイト・フットボール・チャンピオンシップ・オープン・ディビジョンタイトルを獲得。ヤングが最終学年のとき、メーテル・デイ高校は連覇を逃したが、13試合に出場して4,528ヤード、タッチダウン58回を記録したヤングは、『Los Angeles Times(ロサンゼルス・タイムズ)』の年間最優秀選手賞とカリフォルニアのゲータレード年間最優秀選手賞を受賞している。

その後、ヤングはアラバマ大学に進学し、チームとしても個人としてもさらなる成功を収めた。

アラバマ大学がカレッジフットボール・プレーオフ・ナショナルチャンピオンシップを制した2020年シーズンに、マック・ジョーンズのバックアップを務めていたヤングは、その1シーズン後、チームがタイトルゲームで惜しくも敗れた一方で、ハイズマントロフィーを獲得した。

高校と大学ではすべてがうまくいっていたようだが、ヤングはシャーロットで正反対の経験をしている。

昨シーズン途中で解雇されたフランク・ライクHC(ヘッドコーチ)と、その代わりに暫定HCを務めたクリス・タボーの下でプレーしてきたヤングは、すでにキャリアで3人目となるヘッドコーチの下でプレーすることになっている。

デイブ・カナルスがヘッドコーチに就任し、今のところはヤングにとって順調なようだ。自身のプレーを向上させながら、チームのリーダーとして落ち着くことを重視しているヤングは、次のように話している。

「自分たちが同じ考えを持っていることを確認するために、結果に対する責任と義務を果たそうとしている。加入した去年は、学びたいと思っていた。もちろん、先発クオーターバックやリーダーという立場に立っていたけど、それと同時に、学び、認められ、リーダーとしての能力を得るプロセスがあるように感じていた」

カナルスがヘッドコーチに、ダン・モーガンがジェネラルマネジャー(GM)に就任したことで、組織とロースターには新しさがもたらされている。

したがって、2023年ドラフト全体1位指名を受けたヤングは2年目のシーズンを迎えるが、それは新たなスタートになるかもしれない。

ヤングは「うちには責任を負いたがり、最高の状態を求め、小さなことをやりたがる選手がそろっている」とコメント。

「俺たちはそうすることで文化を作り上げ、日常的にそうしていく。つまり、俺はそういう文化を育むことが自分にとって本当に大事なことだと感じている」

現地25日(木)に始まったドラフトで、今年の全体1位指名選手が舞台に立ったとき、ヤングの存在は人々の頭の中に浮かんだはずだ。昨年に全体1位指名権をパンサーズにトレードしたシカゴ・ベアーズは、今年はそれを保持し続けて南カリフォルニア大学出身のQBケイレブ・ウィリアムズを獲得している。

2023年シーズンは、ヤングやパンサーズが望むようには進まなかった。4月であろうとなかろうと、そう遠くない過去に脚光を浴びた実力と才能を人々に思い出させることを目指しているヤングは、こう話している。

「最高の状態になりたいと思っている。成長し続け、システムにより慣れて、責任を持ち続け、リーダーとして成長する」

【RA】