バイキングスはQBカズンズとともに失ったリーダーシップを“分担して”引き継ぐとDTフィリップス
2024年05月09日(木) 14:00ディフェンシブタックル(DT)ハリソン・フィリップスは、ミネソタ・バイキングスのリーダーシップを導きだす多くの要素は、クオーターバック(QB)カーク・カズンズがアトランタ・ファルコンズに移籍して持ち去ったものよりも大きいことを証明したいと願っている。
バイキングスで6年間リーダーを務めたカズンズがファルコンズに移籍した一方で、その最後の2シーズンをチームメイトとして過ごしたフィリップスは、カズンズの離脱を補う過程でチームが実際に向上する可能性があると信じている。
フィリップスは現地7日(水)に『NFL Total Access(NFLトータル・アクセス)』で次のように話している。
「巨大な損失があるだろう。カーク・カズンズは人として、リーダーとして、チームメイトとして、ロッカールームに大きな空白ができる。俺の周りにいた中で最も謙虚な選手の1人だ。献身的なリーダーであり、偉大な原動力だった。彼は最高だ。その空白を埋めることを1人の人間に求めることは、多分できない。だから、俺たちがやろうとしているのは、すでに見たように素晴らしいリーダーシップを発揮するチームを作ることだ。ここ数シーズン、このロースターで見てきた選手たち——キャプテンのような選手もいれば、まだキャプテンになっていないけれどキャリアを積んでいくうちになりうる選手もいる——がすでにいるから、その役割を引き継いで、一種の役割分担をするんだ。みんなでその重荷を背負うことで、もっといいフットボールチームを作れるかもしれない」
「カークはどう見ても素晴らしいやつだ。俺は彼から多くのことを学んだし、リーダーシップの面も学んだ。そういう能力を高めることに挑戦しながら、自分のプレーを向上させようとしているところだ」
昨年のバイキングスのキャプテン8人の内訳を見てみると、実際にチームが失ったのはカズンズだけでなく、他にも何人かの重要な選手がいたことが分かる。それはラインバッカー(LB)のダニエル・ハンターとジョーダン・ヒックスであり、2人はフリーエージェント(FA)で新しいチームに移籍。一方で、ワイドレシーバー(WR)ジャスティン・ジェファーソン、セーフティ(S)ハリソン・スミス、オフェンシブタックル(OT)ブライアン・オニール、フルバック(FB)C.J.ハム、Sジョシュ・メテラスはチームにとどまっている。
プロボウル選出未経験だが個性的な影響力のある選手としてNFLで7シーズン目を迎えるフィリップスは、その空白を埋める準備ができている選手リストの筆頭にあげられている。Sカムリン・バイナムとセンター(C)ギャレット・ブラッドベリーのような生え抜きの才能ある選手であれ、ランニングバック(RB)アーロン・ジョーンズ、ディフェンシブエンド(DE)ジョナサン・グリーナード、LBアンドリュー・バン・ギンケルのような才能ある選手の加入によるリーダーシップであれ、バイキングスにはこれからのシーズンで活躍が見込める経験豊かな選手たちがそろっている。
それはクオーターバックのポジションについても言えることであり、フィリップスと同じ2018年ドラフトの1巡目で指名されて、現在はジャーニーマンとなっているサム・ダーノルドは、クオーターバックのポジションで56試合の先発経験を積んでいる。
バイキングスがトレードアップしてドラフト全体10位でQBのJ.J.マッカーシーを指名した後でも、ダーノルドが2024年を通して先発クオーターバックの座を維持するのか、あるいは最初は先発して途中でマッカーシーにスナップを譲るのか、それとも最初からマッカーシーのバックアップとして9月を迎えるのか、まだ決まっていない。ミシガン大学出身のマッカーシーは必ずしも経験が浅いわけではない。大学で28試合に先発したマッカーシーはわずか1敗を喫しただけであり、ミシガン・ウルバリンズをカレッジフットボールの頂点にあたるプレーオフナショナルチャンピオンシップに導いている。とはいえ、マッカーシーは強力なランゲームと堅固なディフェンスに重点を置いたプログラム出身であるため、初日から先発を務めるかどうかは定かでない。
カズンズの後を継ぐのが誰であれ、フィリップスはその移行がスムーズに行くことを確信している。
フィリップスはダーノルドやマッカーシーを先発に迎えることについて、こう話した。
「ここミネソタでケビン(オコンネル、ヘッドコーチ/HC)が築き上げたカルチャーがあれば、移行はかなり簡単だと思う。ジョシュ・アレン(バッファロー・ビルズQB)と一緒にNFL入りを果たしたときのことを思い返すと、彼の成長ぶりと早い段階からリーダーシップを発揮してステップアップしていった姿を見ることができた。それと同時に、その移行プロセスが非常にスムーズに進むことも見てきた。サムには大きな信頼を寄せている。彼がフットボールの試合に出て、俺らのために勝利をつかみに行くことが許される限り、たくさん勝ちに行くという全幅の信頼を寄せている」
「あのポジションでのリーダーシップに関して言えば、ニック・ムレンズが頭に浮かぶんだ。彼は多くの組織でプレーしてきた素晴らしい選手で、真のプロフェッショナルだ。2人の選手の組み合わせがJ.J.を高めるためにとても有効だと思う。だけど、その結果については俺の立場ではどうすることもできないよ」
2017年以降で初めてカズンズなしで臨むシーズンに、バイキングスが自信を持てるもう1つの理由は何か? それはフィリップスがもっと主導権を握ることができるディフェンスだ。
フィリップスはこう続けた。
「俺たちは(守備コーディネーター/DCのブライアン・)フローレスが戻ってきたことにワクワクしている。新しいメンバーが加わってワクワクしているし、もしどのチームも点を取らなければ、クオーターバックが楽できる。だから、そういうことに集中するつもりだ」
バイキングスディフェンスは確かに上昇傾向にあり、フローレスDCが現職に就任した初年度に3シーズン連続最下位10位の被得点の守備から13位まで順位を上げている。
ディフェンス側では、バイキングスは再びプロボウル級の才能ある選手の後継者として多くの選手たちに責任を分担させることになり、今回はグリーナードの獲得とドラフトを活用して、 昨シーズンにサック16.5回をマークしたハンターの移籍に対応している。
ダーノルドやムレンズがマッカーシーに期待されているように、グリーナードやバン・ギンケルも、バイキングスのもう1人の2024年ドラフト1巡目指名であり全体17位指名のDEダラス・ターナーの成長に大いに寄与するはずだ。2人のハリソン——フィリップスとスミス——がバイキングスの守備陣の2つのレベルを担当することで、このユニットはフローレスDC指揮下でのこれまでの進歩を土台に成長する準備が整っている。
すべての相手に得点を許さないというのは明らかな誇張表現だが、フィリップスには自分が在籍するディフェンスが、大きな成長の痛みなしにバイキングスの新時代を迎え入れる助けとなると信じるに足る理由が十分にある。
【KO】