コラム

オフフィールドの動きも活発なトム・ブレイディ

2022年05月23日(月) 08:29


タンパベイ・バッカニアーズのトム・ブレイディ【AP Photo/Rusty Jones】

現役続行を表明したタンパベイ・バッカニアーズのクオーターバック(QB)トム・ブレイディだが、その一方でオフフィールドでの活動も活発化させている。

まずスポーツ界のみならず放送界も驚かせたのが現地10日に『Fox Sports(フォックス・スポーツ)』が、ブレイディが“引退後に“同局のトップ解説者となることで合意したと発表したことだ。

ニュースサイト、フロントオフィススポーツによれば契約期間は一般的な5年よりも長く、10年2億5,000万ドル(約319億7,975万円)に達する可能性があるという。さらに『The New York Post(ニューヨーク・ポスト)』は10年3億7,500万ドル(約479億6,963万円)だとも報じている。

これが事実なら共に元QBで、高い人気を誇る解説者、トロイ・エイクマンと『ESPN』、トニー・ロモと『CBS Sports(CBSスポーツ)』が結んでいる契約を上回り、NFLの解説者としては最も高額な年俸を得ることになりそうだ。エイクマンの契約は5年間で9,000万ドル(約115億1,271万円)以上、ロモは10年間で1億8,000万ドル(約230億2,614万円)と見られている。

ブレイディのバッカニアーズとの契約はあと1年となっており、統計サイトSpotracによれば、ブレイディはNFLでのキャリアを通じて給与とボーナスで3億3,200万ドル(約409億3,680万円)を得ることになるということだ。

一方でIT関連業界でも最近ブレイディの名が盛んに報じられるようになっている。昨年7月にブレイディらが共同設立したNFT(非代替性トークン)のプラットフォーム企業『Autograph(オートグラフ)』が提携アスリートを増加させ続けているからだ。

Autographは著名アスリートのキャリアを称えるNFTコレクション『Future Is …(未来は)』の発行を主力事業としている。

これまでブレイディ以外にもバッカニアーズのチームメイトであるロブ・グロンコウスキー、ゴルフのタイガー・ウッズ、テニスの大坂なおみ、体操のシモーヌ・バイルズ、元ヤンキースのデレク・ジーター、元陸上のウサイン・ボルトなど著名なアスリートたちが同社のパートナーやスポークスパーソンとして名を連ねてきた。

4月には自動車レースのチーム・ペンスキとNFT発行の独占複数年契約を結んでいる。それに伴い自動車レースの分野にも進出することを明らかにした。

さらに5月4日にはロサンゼルス・チャージャーズのQBジャスティン・ハーバート、NBAのデビン・ブッカー、WNBAのサブリナ・イオネス、ゴルフのコリン・モリカワ、テニスのココ・ガウフという5人と新たに契約したことも発表している。5月10日のイオネスを筆頭に順次NFTが発売されていくという。

サプリメントなどを販売する自身のブランド『TB12』や映像制作スタジオなどブレイディが進出しているビジネス分野は他にもある。今後どんなところで彼の名を目にすることになるだろうか。

わたなべ・ふみとし

渡辺 史敏
兵庫県生まれ
ジャーナリスト兼NFLジャパン リエゾン オフィスPRディレクター。1995年から2014年3月までニューヨークを拠点にアメリカンフットボールやサッカーなどスポーツと、さらにインターネット、TV、コンピュータなどITという2つの分野で取材・執筆活動を行う。2014年4月に帰国、現職に。『アメリカンフットボール・マガジン』、『日刊スポーツ電子版連載コラム:アメリカンリポート』、『Number』などで執筆中。