トランプ候補との関係が注目されるトム・ブレイディ
2016年10月20日(木) 12:154週に及んだ出場停止処分後、2週連続で3タッチダウンパスを挙げ、チームを連勝に導いたペイトリオッツのクオーターバック(QB)トム・ブレイディ。その鮮やかな活躍とは対照的にアメリカ大統領選挙に関してはあいまいな態度をとり続けている。
昨年末にも紹介したが、共和党のドナルド・トランプ候補とブレイディは何度もゴルフを共にした友人関係にあることで有名だ。党からの候補指名に向けてトランプ候補が出馬したときには暴言が続く同候補を「親友」と呼んだこともある。
ただ、最近のトランプ候補は度重なる暴言に加え、セクハラ問題まで浮上し、窮地に立たされているのは日本でもよく知られているところだ。そんな時にブレイディは出場停止が解け、メディアの前に再登場することになったのである。そして当然のごとくトランプ候補に関する質問が出ることになった。
現地12日(水)に行われた記者会見で、トランプ候補が「ロッカールーム・トーク」と呼んで釈明した、女性に対して同意なしにキスをしたと話した件について問われたのである。するとブレイディはほほえみを浮かべた後、「ありがとう。よい1日を」とだけ語り、会見を終えてしまったのだとか。
17日には地元ラジオ局WEEIの定例インタビューで、記者会見で質問に答えなかった理由について「できるだけ発言せず、相手を常にリスペクトするよう教えられる組織にいた。自分たちはトラッシュトーキングはしない。常に考えているのはチームのため気を散らせたくないということだ。それが自分の目標だ」と説明したというブレイディ。
改めてトランプ候補とは15、16年前に知り合った親しい友人であることは認めたものの、11月8日の選挙については「スーパーチューズデーという以外にない」と語り、投票に行くことを示唆した一方で、誰に投票するかは明らかにしなかった。またトランプ候補を支持しているかどうかも表明していない。
ブレイディとしてはあまりトランプ候補との関係を荒立てて欲しくはなく、このまま沈静化したいのだろうが、トランプ候補の言動とブレイディへの注目度を考えるとそううまくはいかないかもしれない。
わたなべ・ふみとし
- 渡辺 史敏
- 兵庫県生まれ
ジャーナリスト兼NFLジャパン リエゾン オフィスPRディレクター。1995年から2014年3月までニューヨークを拠点にアメリカンフットボールやサッカーなどスポーツと、さらにインターネット、TV、コンピュータなどITという2つの分野で取材・執筆活動を行う。2014年4月に帰国、現職に。『アメリカンフットボール・マガジン』、『日刊スポーツ電子版連載コラム:アメリカンリポート』、『Number』などで執筆中。