特集

語り継がれる名勝負 - レイダースの長い悪夢の始まり

2017年01月05日(木) 01:30

第37回スーパーボウル(2003年1月26日)

レイダース vs. バッカニアーズ

結果:21 – 48
会場:クアルコム・スタジアム(カリフォルニア州サンディエゴ)

第37回スーパーボウル、それはタンパベイ・バッカニアーズファンにとっては甘美な一夜である一方、レイダーネーション(オークランド・レイダースファン)にとっては14年もの長い悪夢が始まった忘れられない日である。

この当時、バッカニアーズがノーズタックル(NT)ウォーレン・サップを中心としたリーグ1位のディフェンスのチームである一方、レイダースは同年最高のパス成功率、獲得ヤードを記録し、クオーターバック(QB)リッチ・ギャノン、伝説のワイドレシーバー(WR)ジェリー・ライスを中心としたリーグ1位のオフェンスのチームであり、この試合は最強オフェンスと最強ディフェンスによる矛盾対決として注目された。さらに、バッカニアーズのヘッドコーチ(HC)に就任して1年目のジョン・グルーデンは前年までレイダースのHCを務めており、レイダースHCはグルーデンの弟子に当たるビル・キャラハン(現レッドスキンズオフェンスラインコーチ)。つまり、この試合は師弟対決でもあったのだ。

試合前にはレイダースのセンター(C)バレット・ロビンスが失踪してしまい、要を欠いたレイダースオフェンスは強力バッカニアーズディフェンスに大苦戦。プレッシャーを受けたQBギャノンは前半だけで3サックを受け、バッカニアーズのフリーセーフティ(FS)デクスター・ジャクソンに2インターセプトを食らって試合を壊してしまう。一方、バッカニアーズオフェンスはQBブラッド・ジョンソンがレイダースのコーナーバック(CB)チャールズ・ウッドソンにインターセプトを喫するも、大崩れすることなく、2タッチダウンパスを決めて20対3で前半を折り返した。

第37回スーパーボウル【ギャラリー】

後半も、レイダースQBギャノンはバッカニアーズのストロングセーフティ(SS)ドワイト・スミスにインターセプトリターンタッチダウンを献上、34対3と大きく突き放されてしまった。しかし、レイダースはQBギャノンがようやくフルバック(FB)ジェリー・ポーターへのパスでこの日初めてのタッチダウンをあげ、さらにバッカニアーズのパントをブロックすると、リターンタッチダウンで追い上げ始める。その後、バッカニアーズのフィールドゴールトライはホルダーのファンブルにより失敗、レイダースは無失点で切り抜け、続く攻撃権をQBギャノンからWRライスへの48ヤードタッチダウンパスで34対21と迫った。その後も、レイダースはバッカニアーズの攻撃をパントに抑え、得た攻撃権でWRライスへのパスで前進するも、QBギャノンが投じたパスはバッカニアーズのラインバッカー(LB)デリック・ブルックスにインターセプトリターンタッチダウンされてしまい、反撃ムードもここまで。試合終了間際にも、QBギャノンはSSスミスに2度目のリターンタッチダウンを受け、試合全体では3つのリターンタッチダウンを含む5つのインターセプトを喫し、5サックを受けた悲劇のヒーローとなった。

この試合以降、レイダースは14年間にわたってスーパーボウルはおろかプレーオフにすら進出できておらず、まさにレイダーネーションにとって長い悪夢の始まりとなった。しかし、2016年には3年目QBデレック・カーが成長を遂げ、WRアマリ・クーパー、ディフェンシブエンド(DE)カリル・マックといったタレントの充実により、プレーオフ進出を早々と決定。QBカーの負傷離脱も影響してワイルドカードで敗退したとは言え、悪夢から覚めたレイダーネーションたちの胸には希望が芽吹いている。

【文 塩田拓也】