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ミズーリ州知事がチーフスおよびロイヤルズのスタジアムへの新たな公的支援計画を発表

2024年06月28日(金) 11:28


カンザスシティ・チーフスの本拠地GEHAフィールド・アット・アローヘッド・スタジアム【Kyle Rivas/Kansas City Chiefs via AP】

カンザスシティ・チーフスとカンザスシティ・ロイヤルズが州境を越えてカンザス州の新スタジアムに誘致されるのを阻止すべく、ミズーリ州が年内に支援計画をまとめる予定だと、ミズーリ州知事のマイク・パーソンが現地27日(木)に発表した。

ミズーリ州の新たな取り組みは、カンザス州が先週、プロフットボールチームとプロ野球チームの新スタジアム建設費用の最大70%を融資する計画を承認したことを受けてのものだ。

チーフスの直近2つのスーパーボウルトロフィーが展示され、ファンが写真撮影のために並んだ州議会議事堂で、パーソン知事は「できる限り最良の取引条件を提案するつもりだ」と記者団に語り、こう続けた。

「カンザス州の試みを責めるつもりはない。もし私がその立場にいたら、同じことをするだろう。しかし、結局のところ、われわれは競うつもりだ」

チーフスとロイヤルズはカンザスシティ東部にある、隣り合わせで建てられた2つのスタジアムでそれぞれ50年以上プレーしており、ミズーリ州とカンザス州にまたがるカンザスシティ都市圏の両州からファンを集めてきた。両チームのスタジアムのリース契約は2031年までとなっている。しかし、ロイヤルズのオーナーであるジョン・シャーマンは、2030年以降にカウフマン・スタジアムでプレーしないと述べ、ダウンタウンに新しいスタジアムを建設するのが望ましいという意向を示していた。

ミズーリ州ジャクソン郡の住民たちが4月に、ロイヤルズのために20億ドル(約3,213億9,200万円)以上のダウンタウンボールパーク地区開発と、チーフスのアローヘッド・スタジアムの8億ドル(約1285億6,120万円)の改修資金に充てるはずだった売上税に反対票を投じたことで、両チームの将来に対する疑問が強まっている。

この税制案はいくつかの向かい風に直面していた。一部のロイヤルズファンは現在のスタジアムの場所を支持。また、税金そのものに反対する人々もいた。さらに、投票の数週間前に変更された新しいスタジアム計画について懸念を抱く人々もいたのだ。

カンザス州が代替地として浮上したことで、ミズーリ州の当局にとって事態はさらに緊迫しており、プロスポーツチームによく見られるパターンが起こっている。新スタジアム建設や改修のために最大限の公的補助金を得ようとする球団が、しばしば一つの候補地を他の候補地と競わせる手法だ。

各スポーツチームは全米で新しいスタジアム建設の波を推し進めており、基本的な補修にとどまらず、豪華なスイートルームやレストラン、ショッピング施設など、スタジアム周辺の開発から新たな収入を得ようとしている。現地25日(火)にはフロリダ州ジャクソンビル市が、NFLのジャクソンビル・ジャガーズのために12億5,000万ドル(約2,008億5,750万円)のスタジアム改修計画を承認し、その費用を市とチームで分担することになった。

多くの経済学者は、スタジアム建設がその近辺の税収を増やすかもしれないが、一方で個人消費を他の娯楽から遠ざけてしまう傾向があり、公的補助金をすべて相殺するほどの新しい経済活動を生み出すことはほとんどないと主張している。

パーソン知事はボーイング、フォード、ゼネラルモーターズといった公的支援を受けている大企業にたとえつつ「カンザスシティ・チーフスとロイヤルズは大企業だ」と語る一方、いかなる取引も「書面上で、ミズーリ州の納税者にとって利益となるものでなければならない」とつけ加えている。

また、パーソン知事はスタジアムに関する提案が「今年の終わりまでには何かしらまとまると思う」とコメント。

ミズーリ州がまだ明確にしていない計画には、おそらく立法府の承認が必要となるが、パーソン知事は任期が来年1月に終了する前に特別立法会議を招集する予定はないと言及。つまり、パーソン政権がカンザスシティ地域の当局と協力して策定するいかなる計画にも、次期知事と新しい議員の支持が必要ということだ。

カンザス州が財政融資に関する法律を制定したことで、各スポーツチームとカンザス州商務省との間の協議はいつでも始められるようになったものの、いつまでに話し合いをまとめるかというめどは立っていないと、広報担当のパトリック・ロウリーは木曜日に話した。

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