ニュース

練習中の激しいやり取りを問題視しないジェッツQBロジャースとWRウィルソン

2024年08月01日(木) 13:29



クオーターバック(QB)アーロン・ロジャースはニューヨーク・ジェッツのオフェンスの中で年長者だ。そのため、ロジャースは状況に応じてチームメイトに厳しく指摘する特権を持っている。

結局のところ、ロジャースには時間がない。ロジャースは40歳であり、ジェッツでの初年度の大半を棒に振ることにつながったアキレス腱(けん)のケガからの回復を目指しているところだ。切迫感は当然のように存在しており、その一例は、ロジャースが今週の練習中にワイドレシーバー(WR)ギャレット・ウィルソンと激しいやりとりをしたことで表面化している。

しかし、ロジャースによると、現地7月31日(水)におけるウィルソンとのやりとりはまったく問題ないという。

ロジャースは報道陣に対して「人生においても、フットボールフィールドにおいても、見かけと現実はしばしば異なっているものだと思う。俺たちがお互いに腹を立てているかどうかに関して、見えているものが必ずしも現実そのものとは限らない」と話している。

「俺たちはただ、自分たちのどちらにも関係がないかもしれない状況の詳細について熱心に話し合っているだけだ。つまり、G(ウィルソン)と俺は素晴らしい関係を築いている。フィールド外でも一緒に時間を過ごしている。フィールド上では、お互いに納得のいくやり方があるけど、それが思い通りにいかないと、時にはひどい会話をすることになる」

「俺はそういう会話が大好きだ。細かい部分や勝利のこと、彼が見ているものを理解するのが重要なんだ。彼は俺と同じ視点に立つ必要があるし、俺もそうする必要がある。彼にはスキルセットや能力、感覚、リズムとか、フィールド上で発揮しているさまざまな要素があって、俺はそれを完全に理解する必要があるからね」

「だから、それは良い会話なんだ。一見、実際よりもかなり白熱しているように見えるかもしれないけど、たいていは終わった後に笑顔を浮かべている。少なくともどちらか一方はね」

ニューイングランド・ペイトリオッツとアウトサイドラインバッカー(OLB)マット・ジュードンを取り巻く雰囲気を見れば分かるように、そのようなやり取りは一般的な傍観者を不安にさせるかもしれないが、ジェッツ組織内でのロジャースの立場を理解している者は、ジェッツがサム・ダーノルド時代から陥っているオフェンス面の低迷から抜け出すためには、そのようなやり取りが必要だと理解している。将来の殿堂入りが確実視されているエリートパサーとして、ロジャースはある特定の方法で物事を成し遂げることを望んでおり、それが達成されるまで手を緩めることはない。

幸いなことに、この点はプロのレベルでは理解されることが多く、ウィルソンも例外ではない。

ウィルソンは水曜日に「彼はムカついているって声に出して言うんだ」と説明している。「自分たちの状態が悪いときは俺も腹が立っている。みんなに対してそんなふうに声を上げるわけじゃないけど、俺も腹が立っている。だから、ある意味で同じ気持ちなんだ。彼が何か言ってくれて俺はうれしいって感じだ」

「それは個人的なことじゃない。ここにいる誰もそんなふうに思っていないと思う。よし、これが俺たちのリーダーだって感じ。もちろん、彼は自分たちがやっていることに満足していない。だから、あれで一部の選手は思い知らされたんじゃないかな」

今回の一連の流れは、『HBO』の“Hard Knocks(ハードノックス)”で特集され、ベテランWRランドール・コブ――グリーンベイ・パッカーズで共に過ごしていたロジャースをよく知る選手――がロジャースは自分たちのパフォーマンスに満足していない、と他のレシーバーたちに警告していた昨シーズンを想起させるかもしれない。それは事実上、ジェッツのパスキャッチャーたちに対する“ロジャースに見合うレベルまでパフォーマンスを上げろ、さもなければ――”というメッセージだった。

コブはいなくなり、適切な注意喚起もなくなった。無駄にする時間はほとんどなく、チームメイトの気持ちを守ることは優先事項ではない。重要なのは、グリーンベイからニューヨークに移るというロジャースの決断を正当化できるようなレベルに、ロジャースのキャリアが終わる前にチーム全体で到達することだ。

水曜日に「去年もシーズンを迎える前に少しだけそういうことがあったから、俺たちは目の当たりにしている」と振り返ったウィルソンはこう続けた。「彼が負傷した後はそれがない状態で練習することになって、結果として練習がどれほど詳細さを欠くようになったかを実感することになった。そういう人たちは細部やマインドセットが優れた状態であることを求めるし、映像を見ていると、それが欠けているとき、つまり存在しないときにそれを痛感することができる。全員がそれを十分に理解していると思うけど、ああいうことになったら、いよいよ本番だってことはみんな分かっている。正直、みんなそれを感じているけど、それをあんなふうに言葉で表現できるのは一部の人だけだ。彼はその1人なんだ」

身体的にもメンタル的にも弱い人のために作られたスポーツではないフットボールでは、批判はしばしば効果的なものとなる。その瞬間は厳しく映るかもしれないが、手に入れる価値があるものは不快感なしには得られない。

それをよく理解しているロジャースは、どのような栄誉にも甘んじることはないだろう。自身が欠場することになり、自分がいない中でチームメイトが苦戦するところを見るのを余儀なくされた後ではなおさらだ。今季が最後のチャンスになる可能性もある中で、やり遂げる方法は1つしかない。それは、全力を尽くすことだ。

【RA】