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QBプレスコットに対する批判は「冒涜だ」とカウボーイズWRクックス

2024年09月05日(木) 15:33


ダラス・カウボーイズのダック・プレスコット【AP Photo/Sam Hodde】

スポーツ界には、特に注目が集まるポジションや役割が存在する。

歴史的に見ると、MLB(メジャーリーグベースボール)のニューヨーク・ヤンキースのセンターフィールド、NBA(ナショナル・バスケットボール・アソシエーション)のロサンゼルス・レイカーズのフランチャイズプレーヤー、そしてダラス・カウボーイズの先発クオーターバック(QB)がその代表例だ。

過去8年間、ダック・プレスコットはそのうちの最後の役割を担ってきた。プレスコットは2023年シーズンにMVP級の活躍を見せたが、批判や監視の目は依然として多い。プレスコットの主要ターゲットの1人であるワイドレシーバー(WR)ブランディン・クックスは、プレスコットに向けられる——本当の意味で計り知れないほどの——批判は馬鹿げていると考えている。

『The Athletic(ジ・アスレチック)』のジョン・マチョタによると、クックスは現地4日(水)に、プレスコットに対する批判について「冒涜だ。信じられないよ。彼は毎年、何年も活躍を見せている。結果を出し続けて、チームを引っ張っているんだ」と語ったという。

NFLのクオーターバックである限り、批判は常につきまとうものだ。特に“アメリカズ・チーム”ことカウボーイズのシグナルコーラーとなれば、さらに多くの批判がついてくることだろう。

プレスコットは通算で、プロボウル選出3回、3,000パスヤード以上をマークしたシーズンが6回、4,000パスヤード以上を記録したシーズンが3回、さらにタッチダウン30回以上をマークしたシーズンも3回といった実績を残してきた。プレスコットはカウボーイズの先発クオーターバックとして73勝41敗という成績を収めている。ただし、これはレギュラーシーズンにおける戦績だ。

プレスコットとカウボーイズがポストシーズンで結果を出せないことが、プレスコットを非難する際によく取りあげられる大きなマイナス点となっている。プレスコットはこれまでにカウボーイズを5回のポストシーズンに導いているものの、プレーオフでの成績は2勝5敗であり、その2勝ともワイルドカードラウンドで挙げたものだ。

今世紀に入ってから、カウボーイズはポストシーズンでの成功を逃してきた。

1995年シーズンの第30回スーパーボウルでフランチャイズ最後のスーパーボウル制覇を果たして以来、カウボーイズはディビジョナルラウンドを突破できておらず、そのラウンドでの成績は0勝7敗となっている。『NFL Research(NFLリサーチ)』によれば、これは1995年以降ではNFLで最低の記録だという。

カウボーイズが第30回スーパーボウルで優勝したのは、現在31歳のプレスコットがまだ幼児だった時だ。

そのため、今世紀におけるカウボーイズの苦難の多くはプレスコットのせいではない。しかし、それでも、プレーオフでの混乱が続く中、プレスコットは(少なくとも選手たちの間では)フランチャイズの顔となっている。

『NFL Research』によると、カウボーイズは1995年シーズンに最後のタイトルゲームに出場して以来、9回の地区優勝を果たしているが、これはカンファレンスチャンピオンシップゲームに出場していない期間の記録としてはNFL史上最多とのこと。そのうち4回は、プレスコットがクオーターバックを務めている。

『NFL Research』によれば、スーパーボウル時代(1967年以降)において、ディビジョナルラウンドで3試合以上出場しながら1勝も挙げていないクオーターバックはわずか5人しかいないという。そのうち2人はカウボーイズのクオーターバックで、トニー・ロモ(ディビジョナルラウンドで0勝3敗)とプレスコット(0勝3敗)だ。

NFLのクオーターバックに対する通常の批判やソーシャルメディア上の揶揄(やゆ)に加えて、カウボーイズが結果を出せずにシーズンを終えるたびに、プレスコットは最も厳しい批判を浴びる。その際、前述の歴史的な傾向もさらに強調される。

しかし、クックスからすれば、それはまったく納得のいかない話なのだ。

これまでにニューオーリンズ・セインツ、ニューイングランド・ペイトリオッツ、ロサンゼルス・ラムズ、ヒューストン・テキサンズでプレーしてきたクックスは「彼1人ですべてをやることはできない」と話し、こう続けた。

「今まで一緒にプレーした素晴らしいクオーターバックたち、トム(ブレイディ)やドリュー(ブリーズ)は、誤解しないでほしいけど、たくさんの試合に勝って、スーパーボウルでも何度も優勝している。だけど、彼らには周りからの助けもたくさんあっただろ?」

クックスの指摘するとおり、どんなに素晴らしいクオーターバックであっても、1人ですべてを勝ち取ることはできない。

クックスは「俺たち、ダックの周りの選手もステップアップしなきゃならない。だから、ああいう失礼な発言を聞くと、俺は個人的に腹が立つし、彼のチームメイトなんだから、俺たちはそう感じるべきなんだ。だって、結局は、誰かが彼を支えてその壁を乗り越えさせて、勝利を手にできるようにしなきゃならない」とコメント。

とはいえ、プレスコット在籍時にカウボーイズがディビジョナルラウンドを突破できていない現状は、多くの非難を招いている。この状況は、ポストシーズンで勝ち進まないことには変わらないだろう。

しかし、今のところ、プレスコットは現行契約の最終年となる、重要な2024年シーズンに向けて前進していくことになる。

プレスコットをめぐる話がどうであれ、どれほど冒涜的と思われようと、長年にわたってカウボーイズのクオーターバックを務めてきたプレスコットがフリーエージェント(FA)の道を選べば、多くのチームから注目されることは間違いない。

それまでの間、プレスコットとクックス、そしてカウボーイズは、2024年シーズンに自分たちを疑う人々を黙らせようとしている。彼らはまず、現地8日(日)にクリーブランド・ブラウンズと対戦するシーズン初戦でその一歩を踏み出す。

【KO】