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ビルズの先発メンバーに復帰したSハムリン、「成し遂げたいことがまだたくさんある」

2024年09月13日(金) 13:18


バッファロー・ビルズのダマー・ハムリン【NFL】

バッファロー・ビルズのセーフティ(S)ダマー・ハムリンは生死の境から復帰したこと以上に、他のことで記憶されたいと願っている。

現地8日(日)にアリゾナ・カーディナルス戦に出場した際、ハムリンは2023年1月2日にフィールド上で命を脅かす心停止を起こして以降、初めてとなる先発出場を果たした。しかし、ハムリンはその瞬間が物語の頂点ではないことを願っている。

火曜夜に『NFL Network(NFLネットワーク)』のキャメロン・ウォルフとの電話に応じたハムリンは「生き延びた選手としてだけで知られたくはない」と話し、こう続けた。

「自分の物語は自分の物語だ。まだ書き続けられている。でも、自分の能力でも知られたい。フィールド内外でいつも大きな目標を持ってきた。成し遂げたいことがまだたくさんあるんだ」

ハムリンは、2023年シーズンを通して頭を悩ませていた(トラウマ体験の記憶を刺激する)トリガーなどのPTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状はほとんど消えたと明かした。選手としての自分に戻ったハムリンは、躊躇することなく、ほとんどフルスピードでプレーしており、ビルズが5年連続でAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)東地区のタイトルを獲得するために貢献する使命を果たそうとしている。

ハムリンは自分自身を再定義するための長く厳しい道のりで、重要な一歩を踏み出した。

そんなハムリンは「人々は自分の人生を歩んでいて、俺を見て、そのことを考えるだろう。でも、俺はそれを置いては前に進めない。俺の一部なんだ。ときどきフラッシュバックも起こる。日々の生活の中で、確かにそのことを考えることがある。でも、そういう瞬間を大切にすることを学んだよ」とコメントし、次のようにつけ加えた。

「でも、今、ゲームに参加する時、その3時間はフットボールのことしか考えていない」

それは重要な試合だった。2022年シーズンの第17週のマンデーナイトフットボールで、ハムリンとビルズはシンシナティ・ベンガルズと対戦するために敵地に向かった。AFCの第1シードがかかった一戦。当時、プロ2年目で先発セーフティを務めていたハムリンは、第1クオーターにベンガルズのワイドレシーバー(WR)ティー・ヒギンズをタックルした。その後、2秒間立っていたものの、突然フィールドに倒れ込んだハムリン。ビルズのトレーニングスタッフはすぐにハムリンの心拍リズムに異常があることに気づき、CPR(心肺機能蘇生)を施し始め、速やかに除細動処置が行われた。一時的に脈がなくなっていたハムリンだったが、迅速な蘇生により一命を取り留めている。

医学的には、ハムリンは心停止後に、心拍再開したというのが正しい表現だ。しかし、ハムリン自身はこれをもっと簡単に説明している。

「俺は世界中が見ている全米放送のテレビで死んだんだ」

ハムリンが生き延びるのか、普通の生活が送れるのか、そして最終的に大好きなフットボールを再びプレーできるのか、1週間にわたって不確かな状況が続いた。

ハムリンにとって、それは疑問ではなかった。意識が回復し、言葉を話せるようになってから数日以内に、ハムリンはフットボールに復帰することを決意。しかし、それは病院で祈りながらハムリンの回復を待っていた周囲の人々、特に両親にとっては容易な決断ではなかった。

それでも、今では、ハムリンの両親は息子が自分たちや世界中の何百万もの人々にとってインスピレーションとなっていることに、ただ喜びを感じている。

ダマー・ハムリンの父、マリオ・ハムリンは月曜日にこう語った。

「今はリトルリーグのフットボールの時と同じように、彼を見守っている。私たちは恐れながら生きているわけではない。与えられた祝福を軽んじることはできない。人々にはよりどころとする信念がある。これはそのひとつだ。復帰するために準備し、努力してきたから、彼にはこの栄光の瞬間がもたらされたんだ」

【KO】