コルツ、QBフラッコを下げて今季の残りはQBリチャードソンを先発に
2024年11月14日(木) 11:20世の中が移り変わるように、インディアナポリス・コルツのクオーターバック(QB)事情も変化している。
2週間前にQBアンソニー・リチャードソンをベンチに下げてベテランQBジョー・フラッコを先発起用したコルツのヘッドコーチ(HC)シェーン・スタイケンが現地13日(水)、方針を転換し、リチャードソンを再び先発としてラインアップに戻すと発表。リチャードソンはシーズン第11週に行われるニューヨーク・ジェッツ戦をはじめとし、2024年シーズンの残りの試合で先発を務める予定だ。
皮肉な人たちは、スタイケンHCがシーズン第8週にヒューストン・テキサンズとの試合に敗れた後にリチャードソンをフラッコと交代させた際にも同じことを言っていたとすぐに指摘するはずであり、その指摘は正しいと言える。しかし、フラッコはシーズン序盤に見せた魔法のような力を先発に起用されてから発揮することができず、そのパフォーマンスはチームの連敗に直接的に影響を及ぼしていた。現在、コルツの連敗数は3試合に達している。
4勝6敗のコルツはプレーオフ争いから外れたわけではない。とはいえ、スタイケンHCはフラッコがシーズン第10週に臨んだバッファロー・ビルズ戦で3回ものインターセプトを喫するところを目の当たりにし、先発QBに関する判断を覆さなければならないかもしれないと感じたようだ。
当然、スタイケンHCは今回の決定をリチャードソンがベンチで過ごした2週間余りの間に著しい進歩を遂げた結果だと説明。その進歩は、リチャードソンがテキサンズ戦の重要な場面で疲労を理由に1回のプレーで試合から離れることを求めたことで、組織全体を失望させたように見えたという出来事を経て、初めて実現した。その行動はプロスポーツ選手、特にクオーターバックにとっては失態だったと言えよう。
スタイケンHCは水曜日に「教室やウオークスルー、練習、ウエイトルームなど、そういった小さなことすべてがもっと高い基準でなければならない。それについて話し合ってきたし、その方向に進んできた」と説明。
「それが2週間前に彼と話し合ったことだし、そういう会話を重ねてきた。そして、この2週間で彼はその部分で進歩を遂げた。大きな進歩を遂げてプロ中のプロになりつつある」
ベンチに下げられるまでのリチャードソンのプレーも、決して素晴らしいものではなかった。パスの精度は著しく低く、パサーとしてよりもむしろランナーとして優れていたリチャードソンは、シーズン第7週に行われた試合でマイアミ・ドルフィンズに16対10で勝利した後、チームメイトたちに対して自分がもっと成長する必要があると認めていた。
その翌週、リチャードソンはテキサンズ戦でパス32回中10回を成功させてタッチダウン1回を記録した一方で、インターセプト1回、ファンブル2回を喫し、23対20で敗北。
リチャードソンが最初にベンチに下げられた理由は、フィールドでの一貫性のなさだと説明できるかもしれない(実際にそのように説明された)。しかし、スタイケンHCの水曜日の発言から判断すると、実際にはプレーよりもプロフェッショナリズムと仕事への献身度が重視されたようだ。結局、後者が整えば、前者は時間とともに自然と改善されるに違いない。
態度や集中力の変化に加え、フラッコが2連敗を喫する中でタッチダウン2回に対して4回ものインターセプトを喫したことが、スタイケンHCに若手選手の再起用を決断させたようだ。
「@NFLNetworkより:#Coltsが今シーズン、またもやQBを変更した:今回はアンソニー・リチャードソンが先発に復帰する」
From @NFLNetwork: The #Colts have made another QB move for the season: This time, it's Anthony Richardson back in as the starter. pic.twitter.com/3iLmWP4oCh
— Ian Rapoport (@RapSheet) November 13, 2024
スタイケンHCはリチャードソンについて「彼は完全な選手か? いや、そうではない」と述べ、こう続けている。
「他のコーチングスタッフと共に、彼をそこまで導くのが私の仕事だ。だが、彼はものすごい才能の持ち主だし、彼やその才能に対して信頼や確信を失ったことは一度もない。そして、彼は進歩を見せてきた。本当にね。それを踏まえて、彼は再びうちの先発となる。今週の試合に先発し、シーズンの残りも先発を務める」
チームメイトのワイドレシーバー(WR)ジョシュ・ダウンズ――今季序盤、フラッコが出場した際にターゲット数と生産性が増えた――は自分と同じ2023年ドラフトで指名されたリチャードソンを支持し、水曜日に「彼は懸命に取り組んできた。たくさんのミーティングを重ねてきたし、復帰する準備はできている」と報道陣に語った。
ダウンズは続けてこう話している。
「俺はコーチ陣の決定を信頼している。彼らはそれが最善だと感じたんだろうし、彼が努力してきたことは知っている。真剣に取り組み、この状況に良い姿勢で臨んできたことも知っている。今週、彼がまたフィールドに戻ってくるのが楽しみだ」
謙虚さを学んだリチャードソンは、水曜日にその変化について尋ねられた際、より賢明な態度を見せた。
「プロになりたいという意志と、チームのために必要なことは何でも犠牲にするという覚悟があることを示している」とリチャードソンはコメント。
「この数週間で確実に目が覚めたし、自分を深く見つめ直して、自分がどんな人間かを理解することができた。この2週間に感謝しているし、内心こうなって良かったと思っている」
NFL入りに際し、リチャードソンには2つの大きな懸念があった。1つは、フロリダ大学であまり多くの試合を経験していなかったこと、もう1つは、それゆえにプロレベルで安定したクオーターバックになれると証明できていなかったことだ。しかしながら、そのポテンシャルはあまりにも魅力的であり、コルツは恐れることなくドラフト全体4位でリチャードソンを指名。ルーキーシーズンの最初の1カ月は次世代のキャム・ニュートンとして成功を収めたリチャードソンだが、肩を負傷して早々にシーズンを終えている。コルツは2023年シーズンの残り(と2024年シーズンの半分)を、リチャードソンが再び調子を取り戻せるのかと考えながら過ごすことになった。
リチャードソンのリーダーとしての経験不足は、テキサンズ戦の重要な場面で試合から離れた際に露呈した。その後、リチャードソンには内省し、プロフェッショナルになる意志があることを証明するための時間が与えられた。コルツはフランチャイズを率いるためにリチャードソンがそうなることを必要としている。
3連敗を喫したことを受け、無駄にできる時間がほとんどないことを理解しているスタイケンHCは、これからキャリアを築いていく若きクオーターバックに賭けようとしている。うまくいけば、そのキャリアはずっとインディアナポリスで続くかもしれない。
今度はリチャードソンがコーチの判断が正しかったことを証明する番だ。
「コンペティターとして、サイドラインにいたいとは絶対に思わない。いつだって、試合に出てチームを助ける機会があると感じている」と語ったリチャードソンはこう続けている。
「でも、サイドラインに座っていることで、自分について修正できる点とか、チームが助けを必要としている部分に目を向けることができた。その機会に心から感謝しているし、シェーンがもう一度、俺が先発だと思ってくれてうれしい」
【RA】