低迷するカウボーイズをただ見守るしかない現状のつらさを語るQBプレスコット
2024年11月22日(金) 12:11ダラス・カウボーイズのクオーターバック(QB)ダック・プレスコットにとって、2024年シーズンはすでに幕を閉じている。しかし、残されたチームメイトたちは、チームとしてのシーズンがプレスコットと同じ運命をたどらないよう、必死に戦っている。
季節が冬に変わる中、3勝7敗のカウボーイズに明るい兆しは見えず、攻守両面での安定感も欠けたままだ。ロースターは次から次へと負傷者が増え、中でもプレスコットの離脱が最大の痛手となっている。
5連敗中のカウボーイズは、直近2試合で大差での敗北を喫している。だが、プレスコットはサイドラインから見守ることしかできない。
マンデーナイトの試合でヒューストン・テキサンズに敗れたことについて、プレスコットは「この間、試合が終わった後にすべてが急にのしかかってきた感じだった」と『Dallas Morning News(ダラス・モーニング・ニュース)』に語っている。
「突然、涙がポロポロと出てきた」
「本当につらい。すごくきつい時もあるさ。今がまさにそういう時期なんだって、受け入れるしかない。今はただ、それを受け止めるだけだ。でも同時に、自分が恵まれているということも分かっている。そう思えることが大事なんだ」
困難な時期に感謝の気持ちを持つことは重要であり、プレスコットもこれまでのキャリアで数々の試練を経験している。フランチャイズタグのもとでプレーしていた2020年は足首を骨折してシーズン終了。その年のチーム成績は6勝10敗に終わったが、プレスコットは翌年に4年1億6,000万ドル(247億720万円)の契約延長を果たした。
しかし今回は、4年2億4,000万ドル(約370億608万円)の新契約初年度の途中でハムストリングを負傷し、シーズンが終了する事態となった。ハムストリングを骨盤につなぐ3本の腱のうち2本が骨から完全にはがれ、残る1本もかろうじてつながっている状態だったという。プレスコットは、日常的な動作ですら負傷を悪化させると明かし、最悪の事態を確信したと語った。
「骨からどんどんはがれていった」とプレスコットは言う。
「残った1本の腱にすべての負荷がかかって、それもダメージを受け始めた。1週間はフットボールどころか、普通に歩いたり動いたりするだけで悪化していった」
昨シーズンのプレスコットはシーズンの大半を通じてMVP候補とされるほどのパフォーマンスを見せ、パッシングタッチダウン数(36)でリーグ1位、パサーレイティング(105.9)で2位、パッシングヤード(4,516)で3位を記録した。カウボーイズをNFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)東地区優勝に導いたものの、スーパーワイルドカードウィークエンドでグリーンベイ・パッカーズに敗れた。
今シーズンはその雪辱を果たす年とされていたが、カウボーイズは開幕から3勝5敗と苦戦。シーズン第9週にプレスコットがハムストリングを負傷して以降も敗戦が続いている。
「まるでジェットコースターに乗っているみたいで、気持ちの面でかなりつらい年だ」とプレスコットは話している。
「浮き沈みが本当に激しい。自分の意思とは裏腹に、常に波に飲まれている感じだ」
「フィールド外では夢にも思わなかった幸せな瞬間がたくさんあった。子どもが生まれ、婚約し、家族を築き始めた。でもフィールド上では、これまでで一番厳しいシーズンだったかもしれない。いや、間違いなく一番だ」
プレスコットを欠いたカウボーイズは改善の兆しがほとんど見られず、今では焦点はヘッドコーチ(HC)マイク・マッカーシーの将来に移りつつある。控えQBのクーパー・ラッシュは初先発でまったく機能せず、続くテキサンズ戦では354ヤードを投げたものの、34対10で敗北。プレスコットの不在により、攻撃陣の武器がいかに限られているかが顕著となっている。
それでもプレスコットにできることは、試合を見守り、チームメイトたちを支え、自身とカウボーイズの最善を祈ることだけだ。
「ただ座って何もしないでいるわけにはいかない」とプレスコットは語った。
「小さな勝利が必要なんだ。今は動けないように見えても、一歩ずつ前に進んでいると感じられる何かがほしい」
「自分に未来があることは分かっているし、進むべき方向も見えている。これを乗り越えれば、もっと速く、もっと強くなり、これまで以上に良い選手になれると信じている」
プレスコットがフィールドに戻る時、どのメンバーがまだチームに残っているのかは未知数だ。
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