兄との対戦を重視しないチャージャーズHCジム・ハーボー
2024年11月22日(金) 14:07ジム・ハーボーがNFLに戻って来た。スケジュールメーカーらは、3度目のハーボーボウルをプライムタイムでプレーさせるべきだと分かっている。
しかし、この試合をジム・ハーボー対ジョン・ハーボーとみなすべきではない。ロサンゼルス・チャージャーズのヘッドコーチであるジム・ハーボーは、現地20日(水)に実施されたメディアセッションで兄との対戦について繰り返し尋ねられた際、何らかのストーリーをそこにつけ加えることに関心を示さなかった、
7勝4敗のボルティモア・レイブンズのヘッドコーチを長く務める兄ジョンについて、ハーボーHCは「彼は間違いなく、これを自分の話にすることを望んでいない」と話している。
「私も自分の話にはしたくない。それだけだ。間違いなくビッグゲームではある。2つのチームが意気込んでいる」
ハーボーコーチが最後に兄のチームと対戦したのは2012年のことで、ジム率いるサンフランシスコ・49ersが第47回スーパーボウルでジョン率いるレイブンズと戦っている。そのときはレイブンズが34対31で競り勝ち、チームの歴史上2度目のスーパーボウル制覇に成功。ジョンは、ジムを頂点に届かなかった者としてオフシーズンへ送り込んだ。
「あのときはきつかった」と振り返るハーボーHCは、次のように続けた。
「いろいろと考える時間が過ぎれば、やっぱり私の兄だし、1番の友人。彼のことを本当に誇りに思う。彼の成功がすごくうれしい。それだけのことをやったんだ」
ハーボーHCには、再び兄と頂点を競うチャンスはあると考える理由が十分にあった。当時在籍していた49ersは、コリン・キャパニックという驚きのスタークオーターバックを擁するタイトルコンテンダー。そう遠くないうちに、兄の向かい側のサイドラインに立つだろう。そう、ハーボーHCは考えていた。
しかし、その機会はついにこなかった。翌シーズンの49ersは自分たちの基準に届かず、2013年NFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)でシアトル・シーホークスに敗北。シーホークスが第48回スーパーボウルで、優勢と見られていたデンバー・ブロンコスを大差で下している。その1年後、ハーボーは8勝8敗で終わった49ersのコーチ職を離れていた。
「あのスーパーボウルのときは“また次がある”と思いながらフィールドを立ち去った。だが、その後は何年もそうはならなかった。もうチャンスなどないかのようだった。だが、神の御心で・・・戻ってきた。そうするチャンスのあるチームで戻ってきたんだ。本当にありがたいことだ」
ハーボーHCはそこからの10年間をカレッジのコーチとして過ごし、ミシガン大学を次第にコンテンダーへと変ぼうさせていった。2023年にはカレッジフットボールの頂点に到達し、15勝0敗で無敗のシーズンを送ったウルヴァリンズは、カレッジフットボール・プレーオフ・ナショナルチャンピオンシップに出場している。
それがNFL復帰への、完ぺきなお膳立てになった。ハーボーHCがチャージャーズ――2024年にレイブンズとの対戦が組まれていた――に加入したのを受け、毎年ニューヨークで難解なパズルのピースを組み立てるマエストロたちは、シーズン第12週の対戦を全国の視聴者たちのもとに届けることにしたのだ。
ロサンゼルスに驚くべき立て直しをもたらしたハーボーHCは、チャージャーズを7勝3敗へと導いている。そういった成功が、シーズンの重要なポイントでの、プレーオフコンテンダー同士による最高のマッチアップを実現させており、これは今季に真の意味で試されることのなかったチャージャーズにとって、良い試金石となるはずだ。
ハーボーはこれまでNFLのコーチとして1度も勝利できていない兄との3度目の邂逅(かいこう)についてよりも、スタークオーターバックのジャスティン・ハーバートの素晴らしさについて語りたがっていた。ハーバートへの称賛ならば、ハーボーHCは水曜日に惜しみなく語っている。
チームがマンデーナイトに勝利を収めれば、ハーボーHCがしきりに兄について問われることもなくなるだろう。ハーボーHCが忙しく語るべきは、ハーバートやチームの成功についてになるはずだ。
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