ベンチ降格を受け入れつつも「プレーの仕方を忘れたわけじゃない」とファルコンズQBカズンズ
2024年12月19日(木) 12:44
アトランタ・ファルコンズにおけるカーク・カズンズ時代は今週、ヘッドコーチ(HC)ラヒーム・モリスがベテランのカズンズをベンチに下げて新人クオーターバック(QB)マイケル・ペニックスJr.を先発に起用するという決断を下したことで一時休止、そしておそらく結末を迎えた。
プレーオフ進出の望みがかかる中、7勝7敗のファルコンズは今回の決断を下す必要があると感じていた。カズンズはミネソタ・バイキングス時代や、今季序盤にファルコンズで見せていた水準とは程遠いパフォーマンスを見せており、先発した直近の5試合ではタッチダウン対インターセプト比が1対9となっている。そうした中で、ファルコンズは1勝しか挙げておらず、シーズン第15週が低迷しているラスベガス・レイダースとの対戦でなければ、5戦全敗となっていた可能性もある。
カズンズはプロフェッショナルとして水曜日に今回の決定を受け入れ、自分が先発の座を維持するだけのパフォーマンスを発揮できていなかったことを認めた。
「これはプロのフットボールだ。自分自身に対する基準も、チームが自分に求める基準もある」とカズンズは報道陣に話している。
「残念ながら、その基準を一貫して満たせなかった。仕方がない。それを受け入れて前進する。今も準備はできているし、1プレーで状況が変わることもある。マイクをサポートして、チームが最後の3試合で勝ってプレーオフに進む手助けをする。それがすべてだし、俺が集中していることだ」
今年3月にファルコンズと4年1億8,000万ドル(約279億4,941万円)の大型契約を結んだカズンズは、新チームでの最初のシーズンに幾度か素晴らしい活躍を見せている。カズンズはNFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)南地区のライバルであるタンパベイ・バッカニアーズとの2回の対戦で、785ヤード、タッチダウン8回、インターセプト1回を記録し、地区内最大のライバルを打ち負かした。ファルコンズはモリスHCの就任初年度に6勝3敗の好スタートを切ったが、カズンズの不調が影響し、シーズン第10週から第14週にかけて4連敗を喫するという厳しい状況に陥っている。
その期間中、カズンズは8回のインターセプトを喫した一方で一度もタッチダウンを決められず、毎週のように得点機会を自ら台無しにしていた。カズンズの決断力は劇的に低下し、リスクの高いパスを投げようとする場面が頻繁に見られ、その結果として最悪の事態を招いていた。カズンズの失速について説明が必要であれば、その連敗を見れば十分だろう。
ペニックスJr.の先発起用についてモリスHCが説明した内容に同意したカズンズは「その通りだと思う。最終的にはターンオーバーが原因だったんだろう。それはNFLで勝敗を分ける重要な要素だ」と語った。
通りすがりの人は、ファルコンズが勝利した後にクオーターバックをベンチに下げる理由を疑問に思うかもしれないが、15対9の不格好な勝利はカズンズにとって最悪のパフォーマンスだったと言えるだろう。カズンズはパス17回中11回を成功させて112ヤード、タッチダウン1回、インターセプト1回を記録したが、あと数回ターンオーバーを犯していた可能性もあった。突如として接戦となった試合で、第3ダウンロングでコンバートする最後のチャンスを逃し、インターセプトを喫しそうになったカズンズは、ワンスコア差のまま残り1分50秒で相手にボールを奪い返されている。
カズンズは効果的なプレーができず、キャリア2年目のランニングバック(RB)ビジャン・ロビンソン(キャリー22回で125ヤード)の活躍がなければ、ファルコンズは敗れていたかもしれない。プレーオフ進出をかけた状況で、こうしたリスクを冒すわけにはいかず、ファルコンズはドラフト全体8位指名を受けて大きな議論を呼んだルーキーに頼る決断をしている。
モリスHCは水曜日に「カークをチームに迎え入れたとき、カークとなら優勝できるし、カークとなら戦っていけると大いに期待していた」と説明。
「どんな理由にせよ、この数週間で起こったことが何であれ、その感覚はもうなくなってしまった。変化を起こす時が来たのだ」
「仕事で地位が下がったり降格したりするとき、それが感謝されたり、好意的に受け入れられることはない。しかし、カークはプロフェッショナルだった。プロであり、素晴らしい人であり、父親であり、フットボール選手だし、今年は私たちのためにたくさん素晴らしいことをしてくれた。彼は品格を持って受け止めている。間違いなくプロフェッショナルだ。だが、仕事を失うことには当然、失望が伴う」
カズンズの名誉のために言うと、モリスHCはカズンズに感謝しており、「私たちはそのポジションでもっと良いプレーをしなければならない・・・だからこそ昨夜、その決断を下した」と述べている。
今回の変更について話すために火曜夜にペニックスJr.に電話をかけたと報道陣に明かしたカズンズは「俺は見て見ぬふりをされていることをなくしたいんだ」と語った。
今回の動きがカズンズのファルコンズでの将来にどのような影響を与えるかは分からない。ロースターのシナリオはいくつか考えられるが、ファルコンズがカズンズと決別した場合、短期的または長期的にさまざまなキャップペナルティが発生する可能性がある。また、多くの人から2024年にドラフト指名された選手の中で最もプロとしての準備が整ったクオーターバックだと考えられているペニックスJr.に先発を任せる一方で、カズンズを高額なバックアップとして残すこともできるが、その可能性は低いと見られている。
ファルコンズは2024年レギュラーシーズン最後の3試合で集める証拠をもとに、そうした問題を解決することになるだろう。ペニックスJr.が活躍すれば、ファルコンズはプレーオフに進出し、将来に対する答えを得られる可能性がある。しかし、現時点でそれが保証されているわけではない。
最も重要なのは即座に得られる結果だ。モリスHCは今シーズンをサイドラインでカズンズを見ながら過ごしてきたペニックスJr.が結果を出すと信じている。
このタイミングで変化を起こした理由について尋ねられたモリスHCは「私たちはずっと模索していた」と答えた。
「物事をうまく進めるために、できるかぎり掘り下げてきた。昨夜、ちょうどそのタイミングが来て、決断を下して動きたいと思った。クオーターバックのプレーをもう少し改善したかったし、もう少し良くできるチャンスがあると感じた。試合に出てクオーターバックのプレーを改善できれば、何が起こるか分からないだろう?」
「ナショナル・フットボール・リーグでは永遠に続くものなど何もないと思う。だが、今はマイケル・ペニックスがうちのクオーターバックであり、カークが先発だったときと同様に、彼を支え、彼が必要とする最大限のサポートを提供するつもりだ」
ペニックスJr.がコーチの信頼に応える活躍をすれば、少なくともあと1、2年は訪れないと思われていた新時代が幕を開けることになる。また、ペニックスJr.の指名を支持していた人々は、ファルコンズがカズンズと1億8,000万ドルの契約を結んでから2カ月も経たずにワシントン大学出身のペニックスJr.を獲得したことを批判していた人々に大きな顔ができるだろう。
一方、カズンズはファルコンズから支払われるお金を手にしながら事態を修復し、フットボールをプレーする新たな舞台を探すことになる。水曜日に本人が話していた通り、カズンズは確かに仕事を維持できるほど十分なプレーをしていなかった。しかし、だからと言ってカズンズのキャリアが終わったわけではない。
「クオーターバックとしてプレーする方法を忘れたわけじゃない」と強調したカズンズは「確かに、ターンオーバーは望ましくなかったけど、プレーの仕方を忘れたわけじゃない」と続けている。
【RA】