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上院がRFKスタジアムの土地譲渡法案を可決、コマンダースに大きな成果

2024年12月22日(日) 13:39


ロバート・F・ケネディ・メモリアル・スタジアム【AP Photo/Susan Walsh, File】

NFLのワシントン・コマンダースがワシントンD.C.に戻るための道筋が、繰り返されてきた議論が現地21日(土)の真夜中過ぎに進展を遂げたことで明確になっている。

米国上院はRFKスタジアム跡地を含む土地を連邦政府からコロンビア特別区に移管する決議を可決。“D.C.ロバート・F・ケネディ・メモリアル・スタジアム・キャンパス活力再生法”は、共和党のジェームズ・コーマー下院議員、ワシントンD.C.のマリエル・バウザー市長、コマンダースのコントローリングオーナーであるジョシュ・ハリス、NFLコミッショナーのロジャー・グッデルによる1年以上にわたるロビー活動と支援を経て、現地時間の土曜日1時15分頃に可決された。

ハリスは「選出された議員たちが超党派で協力し、ワシントンD.C.にRFKスタジアム跡地の未来を決定する機会を与えてくれたことに非常に感謝している。この法案は、ワシントン・コマンダースの将来のホームスタジアム候補地を公平に検討し、フランチャイズがすべてのファンに最高の体験を提供する機会を確保するための、公平な競争条件を作り出すだろう」と述べている。

RFKスタジアム跡地に関する条項は、火曜日に議会が可決した当初の短期支出案の一部だったが、ドナルド・トランプ次期大統領とイーロン・マスクによって妨害された。マスクは自身が所有するソーシャルメディアプラットフォーム『X』で、この場所に関する誤情報を拡散。政府機能の一時停止を回避するために金曜夜に可決された、簡素化された法案の2つのバージョンにその条項は含まれていなかった。

今後99年間、土地の管理を地元政府に委ねることで、老朽化したRFKスタジアムの取り壊しが可能となり、その跡地をさまざまな用途で再開発できるようになる。その可能性の1つとして、かつてのフランチャイズの本拠地にフットボールスタジアムと周辺のエンターテインメント施設を整備することが挙げられている。

バウザー市長は「D.C.、私たちの地域、そしてアメリカにとっての勝利です」と述べ、こう続けた。

「誰もが素晴らしいカムバックストーリーを愛しています。それがD.C.の物語です」

あとはジョー・バイデン大統領が署名すれば法律として成立する。コーマー議員は上院での法案可決が“わが国の首都にとって歴史的な瞬間だ”とまで述べた。

「もし議会が今日、行動を起こさなければ、この荒廃したワシントンの土地を維持するために納税者に多大な負担がかかり続けることになっていただろう」とコーマー議員は語り、こう続けている。

「このRFKメモリアル・スタジアム跡地の再生は街にとって最重要の経済的優先事項であり、私はマリエル・バウザーD.C.市長と協力し、この法案を成立させ、大統領のデスクに届けられたことを誇りに思っている。この超党派の成功は、納税者を保護するための下院監視・政府改革委員会の揺るぎない努力と、住民や訪問者にとって繁栄する首都を今後何世代にもわたって確保するという私たちの全面的な取り組みの証だ」

再びワシントンでプレーすることが保証されているわけではない。コマンダースは数年以内にスタジアムを建設する場所として特別区、メリーランド州、バージニア州の候補地を検討している。

メリーランド州ランドバーのノースウェスト・スタジアムのリース契約は2027年末までとなっており、ハリスは新スタジアムの完成時期として2030年を「妥当な目標」と述べた。

チームは1961年から1996年まで、国会議事堂から東に3.22kmの距離にあるRFKスタジアムで試合を行っていたが、その後メリーランド州に移転した。ハリスと、ミッチェル・レイルズやマーク・アインを含む数名の共同オーナーは、その時代にワシントン・フットボールのファンとして育った。その時期には、1982年から1991年にかけて3度のスーパーボウル制覇を成し遂げた栄光の日々も含まれている。

法案に条項が盛り込まれた経緯の一部には、チームとメリーランド州との間で、現在のスタジアムを迅速に取り壊し、その跡地を同等の経済効果をもたらすプロジェクトで再開発するという合意があったと、事情に詳しい人物が取引が公にされていないことを理由に、匿名を条件に『Associated Press(AP通信)』に対して明かしている。

上院がRFKスタジアムの土地譲渡を承認した後、メリーランド州選出のベン・カーディン上院議員とクリス・バン・ホーレン上院議員(いずれも民主党)は同州とチームとのパートナーシップが今後も長く続くべきだと考えていると述べた。

カーディンとバン・ホーレンは「財政面での公平性を確保するための取り組みを行い、チームが移転する場合は地域社会のニーズを満たす形で既存の土地を再開発するという保証を受けたことで、今夜、私たちは提案された土地譲渡案を支持した」とコメント。

「私たちはこれまで、特別区が自らの土地を管理する努力を常に支援してきた。地域での話し合いと協力を通じて、この提案に対する私たちの懸念は解消された」

チームは1997年からメリーランド州で試合を実施し、バージニア州アッシュバーンで練習を行っている。練習場はダレス国際空港から程近い場所にある。

特別区への復帰は、NBAのワシントン・ウィザーズとNHLのワシントン・キャピタルズを街にとどめるための8億ドル(約1,251億6,400万円)規模のダウンタウンアリーナ改修工事の開始を祝ったバウザー市長にとって、さらなる勝利となるだろう。バウザー市長はその記者会見で、新スタジアムの費用を納税者が負担するという誤った情報をXで共有したマスクを批判した。

「(継続決議案に)スタジアムのための30億ドル(約4,693億6,502万円)が含まれていると書かれていましたが、まったくの誤りです。RFKの移管に関連する連邦資金は一切ありません。実際、この法律はスタジアムを必要としておらず、また一切関連していません。私たちは荒廃を取り除くために特別区がどのようにして投資できるかについて話しているのです」とバウザー市長は述べている。

マスクは「1,547ページにわたる一括法案には、ワシントンD.C.に30億ドル規模のNFLスタジアムを建設することを促進する条項が盛り込まれている」という不正確な投稿を再共有し、「これは税金で賄われるべきではない!」とつづっている。

この法案は、スタジアムのための土地に連邦資金を使用することを明確に禁じており、これには“トレーニング施設、オフィス、スタジアムを支援するために必要なその他の建造物”が含まれている。


記事提供:『The Associated Press(AP通信)』


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