ペイトリオッツが就任初年度を4勝13敗で終えたメイヨHCを解雇
2025年01月06日(月) 10:31現地5日(日)、4勝13敗という不本意なシーズンを過ごしたニューイングランド・ペイトリオッツが多くの問題を抱えていたヘッドコーチ(HC)ジェロッド・メイヨを解雇したと『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートとトム・ペリセロ、マイク・ガラフォロが報じた。
ペイトリオッツは即座にオーナーのロバート・クラフトによる声明を通じてメイヨHCの解雇を正式に認めている。
クラフトは「今日の試合後にジェロッド・メイヨに対し、彼が2025年にニューイングランド・ペイトリオッツのヘッドコーチとして戻ってくることはないと伝えた」と述べた。
「個人的には、今まで下してきたものの中で最も難しい決断の1つだった。ジェロッドとは17年来の付き合いだ。2008年のルーキーシーズンからその後のキャリアを通じて見せていたフィールドでのプレー、ロッカールームでのリーダーシップ、地域社会での立ち振る舞いによって、私は彼に尊敬と称賛の念を抱いてきた。彼が私たちのコーチングスタッフに加わったとき、彼に対する選手たちの反応を見て、そのリーダーシップはより一層明白になった。別のチームが彼との面談を要請し始めたとき、私は彼を失うことを恐れ、次のヘッドコーチにすることを決意した。シーズン初戦に敵地のシンシナティで勝利を収めたことで私の確信はさらに強まった。残念ながら、シーズンを通してのチームのパフォーマンスは、私の期待通りには向上しなかった」
メイヨを支持してきたクラフトは、6度のスーパーボウル制覇を成し遂げた前HCビル・ベリチックと2023年シーズン終了後に別れを告げる前に、水面下でメイヨにベリチックの後任になるための準備をさせていた。
しかし、かつてペイトリオッツのラインバッカー(LB)としてプレーしていたメイヨは、フットボールの運営面だけではなく、ロッカールームの調整にも苦労しているように見えた。
クラフトがオーナーを務めてきた30年以上の間に雇ったコーチは、ピート・キャロル、ベリチック、メイヨの3人だけだ。キャロルが3シーズン指揮を執った後、ベリチックがニューイングランドに戻り、チームを6度のスーパーボウル制覇に導くという偉業を成し遂げた。今回、メイヨは1990年にロッド・ラストが1勝15敗でシーズンを終えて以来、ペイトリオッツで初めて1年限りで任期を終えたコーチとなっている。
レギュラーシーズン初戦でシンシナティ・ベンガルズを破ったことは、大きな功績を残したベリチックの後を引き継いだメイヨにとって素晴らしいヘッドコーチキャリアの幕開けとなった。しかし、状況はすぐに悪化し、ペイトリオッツは次の試合から10月20日にロンドンのウェンブリー・スタジアムで敗れたジャクソンビル・ジャガーズ戦まで6連敗を喫し、1勝6敗と低迷。ジャガーズ戦の敗北を受けて、メイヨがチームのタフネスを疑問視したことは、不安定な在任期間における初期の火種となった。
当時、メイヨは「全体としてわれわれは軟弱なフットボールチームだと言わざるを得ない」と話していた。
メイヨ率いるペイトリオッツはニューヨーク・ジェッツとシカゴ・ベアーズに勝利して軌道に乗ったが、その後に再び6連敗を喫した。日曜日に行われたバッファロー・ビルズ戦で勝利したことにより、2025年NFLドラフト全体1位指名権の獲得は免れている。
クラフトは声明で「チームを買収して以来、私は常に自分自身と家族を公共資産の管理者だと考えてきた」と述べ、こう続けた。
「私たちには、ここ数年で私たちが提供したものよりも良い結果を期待し、それを得るに値する素晴らしいファンを擁している。その点については申し訳ない。私たちが優勝争いに再び加わるためにどのような行動を取れるかについて熟考した結果、現時点では今回の動きが最善の選択だと判断した」
「私はジェロッドがキャリアを通じてニューイングランド・ペイトリオッツに多大な貢献をしてくれたことに感謝しており、彼の成功を今後も応援し続ける。彼の努力に感謝するとともに、そこで得た経験が彼の将来に役立つことを願っており、彼がこのリーグで成功するヘッドコーチになると今でも信じている。ジェロッドとそのご家族の今後の成功を心から祈っている」
ドラフト1巡目で指名したクオーターバック(QB)ドレイク・メイがキャリア初年度に素晴らしい活躍を見せたにもかかわらず、ペイトリオッツがいくつかの問題――特にメイヨの専門分野であるディフェンス面の問題――を覆い隠すことはできなかった。今シーズン、ペイトリオッツは3つの側面すべてに大きな欠陥を抱えており、シーズン終盤には、優勝争いに再び加わるためにはオフシーズンに変化を起こすことが必要だと訴える選手も出てきている。
ベリチックの就任初年度にあたる2000年シーズンは5勝11敗と、成績はそれほど芳しくなかった。その翌年に、ベリチックがまだ若手選手だった元QBトム・ブレイディと共にペイトリオッツを率いてセントルイス・ラムズを破り、チーム初のスーパーボウル制覇に導いたことは有名だ。
シーズン終盤に向けて、クラフトはメイヨの解雇を望んでいないと見られていた。ペイトリオッツはチームの基盤となるメイという選手を擁しているだけではなく、2025年NFLドラフト全体4位指名権といった重要かつ交換可能な資産を有している。また、『Over The Cap(オーバー・ザ・キャップ)』によると、来季のペイトリオッツには1億ドル(約157億5,460万円)以上のサラリーキャップスペースがあるとのこと。
しかし、シーズン終盤に喫したいくつかの大敗を受けて明らかに計画は変更された。これは、ペイトリオッツが明確な後任候補――例えば、テネシー・タイタンズの元HCであり、メイヨと同じく元ペイトリオッツLBでもあるマイク・ブラベル――をすでに検討していることを意味しているのだろうか? それとも、ペイトリオッツは過去12カ月で2度目となるコーチ探しでベリチックの系譜から抜け出すことを考えているのだろうか?
20年以上にわたる前例のないフランチャイズの成功を経て、ペイトリオッツの未来は予測不可能で不確実なものに見える。
【RA】