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レイダースが4勝13敗のシーズンを経てピアースHCを解雇

2025年01月08日(水) 10:51


ラスベガス・レイダースのヘッドコーチ(HC)アントニオ・ピアース【AP Photo/Abbie Parr】

2024年シーズン終盤の盛り返しによってアントニオ・ピアースの職が守られることはなかった。

現地7日(火)、ラスベガス・レイダースがヘッドコーチ(HC)を務めていたピアースを解雇したと『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポート、トム・ペリセロ、マイク・ガラフォロが状況を知る人物の話をもとに報道。その後、チームが正式に発表した。

レイダースは声明で次のようにつづっている。

「まずは暫定ヘッドコーチとして、今シーズンはヘッドコーチとして、アントニオが発揮してくれたリーダーシップに感謝している。アントニオはレイダースのファンとして育ち、シルバー&ブラックに対する思いは根強いものだ。彼が持つ、組織全体にレイダーであることの意味を再認識させる能力に感謝している。アントニオとご家族のご健勝をお祈りしている」

日曜日にロサンゼルス・チャージャーズに敗れてシーズンを終えた翌日、ピアースHCは報道陣に対応し、残留に関して“変更点は聞いていない”と述べていた。しかし、レイダースは確実に異なる方向へ進んでいくことになる。

ピアースはレイダースの指揮官を務めた1年半で9勝17敗の成績を残した。かつてラインバッカー(LB)としてプレーしていたピアースは、2023年シーズンの途中に暫定ヘッドコーチに就任し、2024年からフルタイムのヘッドコーチとして採用された。2024年シーズンは4勝13敗で終わり、シーズン第5週から第15週にかけては10連敗を喫している。そうした中で、ピアースは攻撃コーディネーター(OC)ルーク・ゲッツィを解任し、スコット・ターナーを暫定OCに任命した。

レイダースはシーズン最後の3試合中2試合で勝利し、シーズン第18週にはプレーオフ進出が決まっているチャージャーズに敗れたものの、ジャクソンビル・ジャガーズとニューオーリンズ・セインツを下し、良い流れでシーズンを終えた。そうしたポジティブな流れさえもピアースの解雇を防ぐことにはつながらなかった。

2024年にレイダースが躍進する上で最大の障害となったのはクオーターバック(QB)ポジションだ。フランチャイズクオーターバックが不在のレイダースはガードナー・ミンシューとエイダン・オコンネルに競争をさせ、ピアースはシーズン開幕時の先発としてミンシューを起用することを選択。しかし、ピアースHCは最初の5試合を2勝3敗で終えたことからミンシューをベンチに下げた。オコンネルは先発した2試合で結果を残せず、シーズン第7週に負傷。ミンシューが再び先発となったが、のちにシーズン終了につながるケガに見舞われた。ピアースは1試合(シーズン第15週)でデズモンド・リッダーを先発起用することを余儀なくされたが、その後は復帰したオコンネルが最終戦まで先発を務めた。

クオーターバックの問題は攻守両面で人材が不足しているレイダースを悩ませ、負傷者が相次いだことで、層の薄さはより明白になった。

新人タイトエンド(TE)ブロック・バワーズが記録を塗り替えるなど、低迷したシーズンにも明るい側面はあった。ディフェンスが輝きを放つ瞬間もあり、被ヤードと被パスヤードで15位につけるなど、近年に比べて向上している。

とはいえ、マイナス面がプラス面をはるかに上回っていた。10連敗を喫する中で、レイダースはペナルティや避けられたはずの重大ミス、コーチの判断ミス、接戦での決定力不足に悩まされていた。そして、そのようなチームを引き上げられるような選手もいなかった。

かつてワシントン・レッドスキンズ(現コマンダース)とニューヨーク・ジャイアンツでラインバッカーとしてプレーしていたピアースは、ロングビーチ・ポリ高校でコーチとしてのキャリアを開始し、2014年から2017年まで在籍した。その後、アリゾナ州立大学のスタッフに加わり(2018年から2021年)、2022年にジョシュ・マクダニエルズが率いていたレイダースとラインバッカーコーチとして契約。2023年にはマクダニエルズの後任として暫定ヘッドコーチに就任した。

ピアースとの決別により、レイダースは3シーズンで3回目のコーチ採用を行うことになる。レイダースは過去22シーズンで2度プレーオフに進出しているが、2002年にスーパーボウルに出場して以来、ポストシーズンで勝利を収めていない。

次のヘッドコーチは、ディフェンシブエンド(DE)マックス・クロスビー、バワーズ、ディフェンシブタックル(DT)クリスチャン・ウィルキンス、ワイドレシーバー(WR)ジャコビ・マイヤースなど、チームの基盤となる選手と共に取り組むことができる。しかし、カギとなるのは、マーク・デイビスオーナーの組織を次のレベルに引き上げるフランチャイズクオーターバックを見つけ出すことだろう。

【RA】