スティーラーズ戦のRBヘンリーの走りは「映画のワンシーンのようだ」とレイブンズQBジャクソン
2025年01月13日(月) 09:34雷のように衝撃的な走りを見せるランニングバック(RB)デリック・ヘンリーが、仲間のクオーターバック(QB)に稲妻のような速さを見せつけた。
初めてボルティモア・レイブンズの一員として臨んだプレーオフゲームで、ヘンリーはレギュラーシーズンと同様に自身の価値を証明。ヘンリーがキャリー26回で186ヤード、タッチダウン2回をマークし、レイブンズが28対14で勝利したワイルドカードラウンドのピッツバーグ・スティーラーズ戦は、スコアが示すよりもはるかに圧倒的な内容となった。
チーム公式記録によると、試合後にヘンリーの走りを見た感想を聞かれたQBラマー・ジャクソンは「まるで映画のワンシーンのようだ」と答えたという。
「映画“Cars(カーズ)”を見たことある? ライトニング・マックィーンがビューンって飛ぶように一瞬で走り抜けるシーンがあるだろ。ヘンリーが相手を全員かわして走る姿はまさにそんな感じだった。映画みたいだった。正直に言うと、俺だったらあんなプレーは相手として見せられるより、側から見ていたい。それは間違いない」
ジャクソンが言及していると思われるプレーは、第3クオーターにヘンリーが“相手を全員”抜き去った場面だ。『Next Gen Stats(ネクスト・ジェン・スタッツ)』によると、このプレーでスティーラーズの選手たちを振り切り、猛スピードで走り抜けて44ヤードのタッチダウンランに成功したヘンリーは、時速20.60マイル(33.15km)の最高速度を記録したとのこと。
しかし、ヘンリーが活躍した場面はそれだけではなく、序盤には8ヤードのタッチダウンを決めている。また、ワイルドキャットフォーメーションからの34ヤードのランは圧巻で、スティフアームでセーフティ(S)ミンカ・フィッツパトリックを弾き飛ばした。
ジャクソンはヘンリーのプレーオフでの影響力について「一目瞭然だと思う」と話している。
「彼はまさにワークホースだ。彼は彼でしかない。よく分からないし、いい言葉が見つからないけど、みんな分かっていると思う。ただボールを渡すだけで10ヤード、20ヤード、30ヤードと進んでくれる。俺はただリラックスしているだけ。今は彼が相手に攻められているときは俺が行くけど、フレッシュな状態で行けるんだ。俺の仕事はずいぶん楽になった。俺たちはお互いに助け合っている」
確かに、チームをけん引したのはキャリー平均7.2ヤードという素晴らしい記録を残したヘンリーだったが、ジャクソンが言及したように、2人がタッグを組んだからこそ、レイブンズはスティーラーズを打ち負かすことができたのだろう。
ジャクソンはパス21回中16回成功で175ヤード、タッチダウン2回と控えめながらも効率的なパフォーマンスを披露。さらに、キャリー15回で81ヤードを獲得し、常にプレーとドライブを展開した。
寒い日に臨んだホームでの試合で、レイブンズは最初の32プレーのうち24回でランプレーを実行。自陣15ヤードラインから始まったタッチダウンドライブでは、13回のプレーですべてランプレーを選択した。
特に試合序盤に大きな貢献をしたディフェンスが前半で相手に49ヤードしか許さなかった中、ヘンリーとジャクソンはランディフェンスで6位につけた状態でプレーオフに進出した相手を完全に圧倒した。
オフェンスの成績でリーグトップに輝いたレイブンズは、今回のスティーラーズ戦で299ランヤードを稼ぎ、フランチャイズのプレーオフ記録を更新。それはスティーラーズが試合終了までに獲得した総ヤード数(280ヤード)を上回る数字でもあった。
前回のスティーラーズ戦で勝利するまで、9試合中8試合で敗れていたレイブンズだが、今回の結果を受けて、1カ月のうちに2回連続で地区ライバルを下したことになる。
レイブンズが次に臨むのはディビジョナルラウンドで、敵地でバッファロー・ビルズと対決する予定だ。
現地11日(土)に劇的な形で容赦のなさを見せつけたレイブンズだが、ポストシーズンでそのポテンシャルを発揮するのは初めてではなく、昨季もヒューストン・テキサンズを34対10で下してAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)チャンピオンシップゲームに出場している。しかし、その結果は期待を裏切るものとなった。
とはいえ、当時のレイブンズには、ヒーローのような活躍を見せながらも、チームを軌道に乗せることに専念しているヘンリーはいなかった。
「俺たちは先走って、自分たちがどれだけ素晴らしいかって調子に乗るつもりはない」と語ったヘンリーは「冷静さを保ち、今回の勝利を楽しみつつ、映像を見て、どこを改善できるかを確認し、次に進むつもりだ。今日の勝利は素晴らしかったし、全員が素晴らしい仕事をしていた。さっきも言ったように、今回の勝利を楽しんでから来週に備えるつもりだ」と続けている。
【RA】