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ジェッツが元選手でライオンズDCのアーロン・グレンを新HCとして採用へ

2025年01月23日(木) 09:24


デトロイト・ライオンズの守備コーディネーター(DC)アーロン・グレン【AP Photo/Mike Mulholland】

アーロン・グレンが再びゴッサム・グリーンのユニフォームを身にまとうことになった。

現地22日(水)、ニューヨーク・ジェッツがチームにとって21番目となるフルタイムのヘッドコーチ(HC)としてグレンを採用すると『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートが状況を知る人物の話をもとに報じている。

デトロイト・ライオンズがプレーオフで敗退した後、採用プロセス中に複数のチームとオンラインで面談してきたグレンにとって、ジェッツは初めて対面での面談を行ったチームだ。ライオンズの守備コーディネーター(DC)を務めていたグレンはニューオーリンズ・セインツのHC候補としても面談を受ける予定だった。

52歳のグレンはすべてが始まった場所に戻ることになる。テキサスA&M大学出身のグレンは1994年にジェッツからドラフト1巡目で指名された。コーナーバック(CB)として8シーズンをジェッツで過ごし、プロボウルに2度選出されたグレンは、2002年に行われたエクスパンション・ドラフトでヒューストン・テキサンズに指名され、30歳で移籍。15シーズンにわたるNFLキャリアを終えた後、グレンは再びフットボールへの情熱が蘇るまで一時的にフットボールから離れていた。

2012年、グレンはヒューストン・スタリオンズ(テキサスのインドアフットボールリーグ)で働いた後、スカウト担当者としてジェッツに加入。

2014年にはコーチに転向し、クリーブランド・ブラウンズのアシスタントディフェンシブバック(DB)コーチとして勤務した。2年後、グレンはショーン・ペイトンがヘッドコーチを務め、デニス・アレンが守備コーディネーターを務めていたセインツにセカンダリーコーチとして採用された。そして、2021年にライオンズに移り、ダン・キャンベルHCの下で守備コーディネーターに就任している。

就任当初は有能な人材に恵まれず、グレン率いるディフェンスは特にパスゲームで苦戦を強いられた。その後、グレンが望むフィジカルなマンディフェンスのスタイルに合った選手を獲得したことでライオンズの状況は改善されている。ライオンズが2024年シーズンに許したパス成功率(61.1%)はリーグで2番目に低く、許したパサーレーティング(82.0)はリーグで最も低かった。

今シーズン、ライオンズのディフェンスからは負傷者が続出し、16人もの守備選手が故障者リザーブ(IR)に登録された。その中には、それぞれのポジションで主力として活躍していたディフェンシブエンド(DE)エイダン・ハッチンソンやディフェンシブタックル(DT)エイム・マクニール、CBカールトン・デービスも含まれている。シーズン第18週に行われたミネソタ・バイキングス戦でワイドレシーバー(WR)ジャスティン・ジェファーソンを封じ込めた際の高揚感は、ディビジョナルラウンドでの失望感と対照的だったと言えよう。グレンが指揮するディフェンスはその試合で、クオーターバック(QB)ジェイデン・ダニエルズ率いるワシントン・コマンダースの攻撃を止めることができなかった。

グレンは長年弱小チームだったライオンズが人気チームへと変貌する過程において重要な役割を担った人物の1人としてチームを去る。2023年シーズン終了後に行われたNFLPA(NFL選手会)の調査で、グレンは最も優秀な守備コーディネーターに選ばれた。当時のライオンズ守備陣の成績が中間レベルだったことを踏まえると、その名誉はグレンのリーダーとしての資質を物語っている。その資質を高く評価してきたライオンズの選手たちは、グレンは戦術的な知識だけではなく、天性のリーダーシップを兼ね備えた存在だとしばしば語っていた。

またしても再建を進める中、安定感と統率力のある操縦士を必要としていたジェッツは、それをグレンに見出したようだ。

ジェッツは13年間遠ざかっていたプレーオフに返り咲くことを目指して2024年シーズンを迎えたが、結果的にその数字は14に伸びている。ヘッドコーチを務めていたロバート・サラーは5試合を終えた時点で解雇され、失速するチームを立て直すチャンスは与えられなかった。その後はジェフ・アルブリッチが指揮を執ったが、状況はさらに悪化。最終的に、オーナーのウッディ・ジョンソンはジェネラルマネジャー(GM)ジョー・ダグラスも解雇し、全面的な再建を進めることを示唆した。

グレンはライオンズでの経験を生かし、状況を好転させることを目指して混沌としたジェッツに乗り込もうとしている。

初めてヘッドコーチを務めるグレンが最初に直面する大きな問題は、誰を攻撃コーディネーター(OC)として採用するかだ。グレンはサラーに続き、守備重視のヘッドコーチとなる。アダム・ゲイスを除き、ジェッツが採用してきた過去5人のヘッドコーチのうち4人は守備重視の人物だった。グレンが誰を攻撃コーディネーターに指名するかは、QBアーロン・ロジャースの今後や、チームが何十年も見つけられずにいるフランチャイズクオーターバックをついに見つけ出すための作戦についての手がかりとなるだろう。

オフェンスとQBの状況がどうなるかは、後日考えるべきことだ。ジェッツは今日、新たな指揮官を迎えた。

【RA】