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2024年NFLシーズンは脳しんとうが歴史的な減少

2025年01月31日(金) 15:50


NFLロゴ【Ryan Kang via AP】

ナショナル・フットボール・リーグは現地30日(木)、2024年シーズンの負傷データを公開した。脳しんとうが大幅に減少したことがそこから分かる。主要な結果は次の通りだ。

・脳しんとうの発生数が歴史的な減少を見せ、プレシーズンおよびレギュラーシーズンの練習の全セッションと試合を含め、2023年から17%減

・着用されたヘルメットの安全性が2021年以降で最も大きな割合で改善

・2024年シーズンの下肢の損傷が引き続き減少

脳しんとうの大幅な減少
脳しんとうは昨シーズンに比較して17%、2021年から2023年シーズンの平均に比較して12%減少した。こういった減少の要因となったのは記録的なプレシーズンであり、2015年以降で脳しんとうの発生件数が練習と試合を通じて最も少なかった。これは、リーグが継続して積極的に脳しんとうを特定、評価する(医師はすべての脳しんとうの診断に対し、3から4人の選手を評価し続けている)中での成果だった。今季の大幅な減少にかかわるその他の重要な要素としては、フィールド上で着用されたヘルメットの安全性の、2021年以降で最大の改善や、安全性に関するルールの施行、安全性の文化を発展させるためのより幅の広い試みがある。

選手の健康と安全を担当するNFL副社長のジェフ・ミラーは「今日は重要な道しるべである一方、私たちの仕事はまだ終わらない」と話した。

「備品の改善やルールの調整、継続的な文化の変化を通して、われわれは試合をより安全に、よりエキサイティングなものにしていく」

ダイナミックキックオフ
新しいダイナミックキックオフのルールは、意図した通りに機能している。レギュラーシーズン中のリターンは57%増加し、キックオフリターンタッチダウンが7回と、2021年で最も多い数字を記録した。新ルールが意図した通り、選手の平均スピードは低下しており、そのことが脳しんとう発生率の低下(2021年から2023年の平均に比較して43%減)につながっている。また、このプレーによる下肢の負傷は、少なくとも2018年以降で最も少なかった。1年間のルール変更を経て、このオフシーズンにルールが再検討される上で、こういった内容を含むデータは競技委員会と共有される。

NFL医務部長のアレン・シルズ医師は「今季の負傷データは、脳しんとうと下肢の損傷を減らすためのわれわれの努力が真の進歩につながっていることを強調している。これらはリーグが負傷の減少に取り組むうえで焦点を当ててきた重要なエリアだった。継続的なフォーカスが成果を出していることを確認できたのは喜ばしいことであり、いつも通り、この負傷データを用いて、オフシーズンの間に負傷の防止と減少に取り組んでいく」とコメントした。

下肢の損傷の継続的な減少
下肢の損傷は選手にとって、最も多くのプレー時間を失わせる要因であり続けている。トレーニングキャンプでの順応期間や、“Digital Athlete(デジタル・アスリート)”といったツールの活用が、各クラブが選手の力の入れ方や負傷を把握するのを助け、過去2シーズンにわたって成功を収めてきた。今年もその傾向は続き、2024年プレシーズンおよびレギュラーシーズンの下肢の負傷によるタイムロスは減少している。下肢の負傷によるタイムロスは、順応期間導入前の最後のシーズンである2021年に比較して14%減少した。

ダイナミックキックオフルールも下肢の負傷減少に貢献した。ダイナミックキックオフのプレー単独で、距離とスピードが下がったことにより、下肢の負傷につながるインシデントが48%減少している。

今後の展望
このオフシーズンにおける選手の健康と安全性における優先事項には、ダイナミックキックオフのさらなる分析、ヒップドロップタックルの禁止初年度の内容の再検討、回避可能な頭部の接触を引き続き抑制すること、また、脳しんとうのさらなる減少などがある

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