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スーパーボウル敗戦がさらなる意欲と散髪のきっかけになったチーフスQBマホームズ

2025年04月25日(金) 10:51


カンザスシティ・チーフスのパトリック・マホームズ【Kevin Sabitus via AP】

クオーターバック(QB)パトリック・マホームズがモチベーションを見つけるのに苦労したことはない。

とはいえ、スーパーボウルでの敗北の痛みは、例年とはまた違った形で彼の心に火をつけている。

3連覇というNFL史上前人未踏の偉業達成を目前にしながら、第59回スーパーボウルでフィラデルフィア・イーグルスに40対22で敗れたカンザスシティ・チーフス。マホームズは、その悔しさを糧にオフシーズンのトレーニングに臨んでいる。

チームの公式記録によれば、マホームズは「もともとモチベーションは高い方だけど、トレーニングの中でキツいセットや疲れるメニューに差しかかったとき、心のどこかで目指しているものがあると頑張れる」と現地23日(水)に語ったという。

「最後にフィールドに立った時の嫌な後味がずっと残っていて、オフシーズン中もその話を何度も聞かされる。だからこそ、それをバネにして、もっといい姿を見せたい、自分たちが本来どういうチームなのかを証明したいと思えるんだ」

マホームズにとって、スーパーボウル敗戦からの巻き返しは初めてではない。イーグルスに大差で敗れた今回と同様に、チーフスは第55回スーパーボウルでもタンパベイ・バッカニアーズに9対31と完敗を喫している。その翌年はAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)チャンピオンシップゲームでシンシナティ・ベンガルズに敗れ、スーパーボウル出場を逃した。それでもその後は3年連続でスーパーボウル進出を果たしている。

今回の敗戦が新たな原動力となる中で、マホームズにはチーフスが再び頂点を狙える理由が他にもある。

2024年シーズンの大半を欠場したワイドレシーバー(WR)ラシー・ライスと“ハリウッド”の愛称で親しまれるマーキス・ブラウンが復帰を果たし、チーフスのレシーバー陣が再編されつつあるのだ。

ライスは開幕から4試合でマホームズにとって正真正銘のWR1として台頭しつつあったが、膝のケガによりシーズン残り全試合を欠場。一方、フリーエージェント(FA)で大きな注目を集めて加入したブラウンも肩の負傷により、チーフスデビューはシーズン第16週まで持ち越された。

ブラウンはすでに再契約を結び、ライスも復帰に向けて順調に回復中だ。

2人の離脱期間中、2024年ドラフト1巡目指名のWRゼイビア・ワーシーが急成長を遂げ、シーズンを通してマホームズのメインターゲットとなった。

この3人のレシーバーが健康な状態でオフェンスに完全にフィットすれば、チーフスにとって大きな追い風となる可能性がある。

「ラシーが健康を取り戻して、ハリウッドも完全復活。そしてゼイビアが2年目に入る。オフェンスは本当に強くなれるチャンスがある」とマホームズは話している。

「大事なのは、とにかく積み上げ続けていくことだ。また彼らと一緒にやれるのが楽しみだよ。レシーバー陣はここ数年で大きく入れ替わってきたけど、今季は中核メンバーがほぼそろって戻ってきそうだからね。だからこそ目標は、それを土台にさらにレベルアップして、過去に見せてきたような爆発力のあるパス攻撃をもう一度取り戻すことだ」

スーパーボウルに敗れたあとに、喜べることなどひとつもない。

それでも、大舞台に戻るという強い思いが、新たな集中力とインスピレーションをもたらしてくれる。そして時には、思いもよらないところに希望の光が差すものだ。

マホームズは長年トレードマークとしてきたモヒカンスタイルをやめ、すっきりと短く刈り上げた新しいヘアスタイルで登場した。その理由は、スーパーボウルの敗戦以降、もはや縁起がいいとは言えなくなったからだ。

「ずっと切りたかったんだけど、ちょっとしたジンクスみたいになっていたんだ。勝ち続けていたし、それ自体は良いことだったけど、勝っている間は髪を切らないようにしていた」とマホームズは説明している。

「シーズン中からみんなに言っていたんだ。勝っても負けても、3連覇しても負けても、とにかく髪は切るって。もう十分だってね。新しい髪型はすごく気に入っている。去年の映像をいくつか見返したけど、よくあんなボサボサの髪をみんな放っておいたなと思う。今の短髪の方が断然かっこいいから、これからはこのスタイルでいくつもりだ」

【R】