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コマンダースとワシントンD.C.がRFKスタジアム跡地での新スタジアム建設に合意

2025年04月30日(水) 14:33


ワシントン・コマンダース【NFL】

ワシントン・コマンダースが首都に戻ってくる。チームは総額およそ40億ドル(約5,690億8,000万円)にのぼるプロジェクトの一環として、コロンビア特別区政府との間で新スタジアム建設に合意した。

現地28日(月)、コマンダースとマリエル・バウザー市長は、かつてフランチャイズが30年以上にわたり本拠地としていたRFKスタジアムの跡地に、新たなフットボール専用スタジアムを建設することで合意したと発表した。D.C.市議会の承認を得られれば、着工は来年、開業は2030年を予定している。

コマンダースが27億ドル(約3,841億2,900万円)を拠出し、D.C.が今後8年間でおよそ11億ドル(約1,566億2,900万円)を投資することで、アナコスティア川沿いの約69ヘクタールの土地にスタジアム、住宅地、緑地、スポーツ複合施設が整備される予定となっている。6万5,000人を収容する新スタジアムが占めるのはそのうち6.5ヘクタールあまりで、コンサートやその他のイベントを通年で開催できるよう、屋根がつけられる見込みだ。

「コマンダースをホームに戻すプロセスにおいて、今日は素晴らしい一日だ」とチームの筆頭オーナーであるジョシュ・ハリスは語り、自身とパートナーたちは「D.C.の歴史上最大の民間投資を行うことを約束する」と述べた。

スーパーボウル制覇を経験したクオーターバック(QB)ジョー・サイズマンがRFKスタジアムでのプレー経験や、新スタジアムが街にもたらす恩恵について語った動画がSNS上に投稿され、このニュースが発表された。

「コマンダースをホームに戻そう。今こそその時だ。ワシントンをD.C.に戻そう」とサイズマンは語った。

「このフランチャイズをD.C.に戻そう」

ナショナル・プレス・クラブの会場にバウザー市長、ハリス、そしてNFLコミッショナーのロジャー・グッデルが入場すると、スピーカーからマンボ・ソースの“Welcome to DC(ウェルカム・トゥ・DC)”が大音量で流れた。3人は“Welcome home(おかえりなさい)”と書かれたパネルの前でスピーチを行い、グッデルは新スタジアムの建設によってワシントンがスーパーボウルを開催する可能性が「飛躍的」に高まると宣言した。

「もちろんコミッショナーにも一生懸命働きかけているけど、テイラー・スウィフトにもね。イベントでもアーティストでも、なんでも来てほしい」とハリスは語った。

「これはD.C.全体に関わることであり、単なるスタジアムの建設ではなく、ここをもっと魅力的な場所にするつもりだ」

コマンダースのオーナー陣は、2022年にダン・スナイダーからチームを買収して以来、ワシントン、メリーランド州、バージニア州の候補地を検討してきた。最近の進展としては、昨年末にハリスとグッデルが連邦議会でロビー活動を行った結果、今年1月初旬にバイデン前大統領が署名し、RFKスタジアムの土地をD.C.へ移管する法案が議会で可決されたことが挙げられる。

これにより、老朽化した旧スタジアムの取り壊しと、新スタジアムを含む複合施設の開発への道が開かれた。

「この土地はあまりにも長い間放置され、十分に活用されてこなかった」とバウザー市長は語った。

「今回のワシントン・コマンダースとの合意は、RFKキャンパスの開発に向けた最速かつ最短のルートであり、スポーツやエンターテインメントだけでなく、住宅、雇用、レクリエーション、そして経済発展をもたらすことになる」

ワシントンは1997年にメリーランド州ランドバーへ移転して以来、同地を本拠地としてきた。コマンダースはランドバーにあるノースウエスト・スタジアムとのリース契約を2027年まで結んでおり、ハリスは新スタジアムの完成時期として2030年を「妥当な目標」と述べている。

コマンダースは新スタジアムが完成するまで引き続き現在のスタジアムでプレーする見込みで、メリーランド州郊外の土地再開発にも取り組む方針を打ち出している。ウェス・ムーア州知事は、チームを州内に留めるため全力で努力してきたことを明かしつつ、チームのオーナー陣が「RFKスタジアムというチームの伝統と精神が根づいた本拠地への復帰に意欲的である」ことにも理解を示した。

「われわれはスタジアムだけでなく、地域全体の再活性化に焦点を当てた非常に競争力のある提案をまとめてきたが、ワシントン・コマンダースがワシントンD.C.への帰還を選ぶ可能性にも責任を持って備えてきた」とムーア州知事は声明で述べた。

「ワシントン・コマンダースの今後の成功を願っている。そして、ランドバーにおける次の章を描くにあたって、地域のパートナーと連携しながら経済活性化と地域投資を進めていくことを楽しみにしている」

チームはメリーランド州に移転するまで、1961年から1996年にかけて国会議事堂から東に3.22kmの距離にあるRFKスタジアムを本拠地としていた。その時代に、ハリスをはじめ共同オーナーのミッチ・レイルズやマーク・アインらは、1982年から1991年にかけての3度のスーパーボウル制覇を含む黄金期を体験しながら、ワシントンのフットボールファンとして育った。

ハリスは、新スタジアムを国会議事堂やワシントン記念塔のすぐ近くに建設するという決断について、これは単なる懐かしさからではなく、「この場所の重要性を深く理解していること」によるものだと語った。なお、計画の実現には市議会13人中7人の賛成が必要となる。

グッデルもハリスと同様に、RFKスタジアムで試合を観戦しながら育った世代であり、今回の計画の実現に強く賛同してきた。

「今日ここに来る途中、RFKスタジアムに通っていた頃の素晴らしい思い出をたくさん思い出していた」とグッデルは語った。

「これから、次の世代の子どもたちがあの体験を味わえるようになる。これはこの地域にとって本当に素晴らしいことだと心から信じている」

【R】