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カウボーイズLBパーソンズがトレード要求、「もうここにはいたくない」

2025年08月02日(土) 10:32

ダラス・カウボーイズのマイカ・パーソンズ【AP Photo/Matt Patterson】

契約交渉が進展しないことを受け、ダラス・カウボーイズのラインバッカー(LB)マイカ・パーソンズがトレードを要求した。

現地1日(金)、パーソンズはソーシャルメディアに長文のメッセージを投稿し、最後にもはやカウボーイズでプレーする意思がないことを表明した。

パーソンズは「沈黙を続けてきたが、繰り返し批判や憶測にさらされてきたことで難しい決断を下した。もうダラス・カウボーイズではプレーしたくない。トレード要求は(執行副社長の)スティーブン・ジョーンズに直接出した」とつづっている。

プロボウルに4回、オールプロのファーストチームに2回選出され、4シーズン連続で12回以上のサックを記録してきたパーソンズは、常にディフェンス部門年間最優秀選手賞の候補に挙がるエリートパスラッシャーだ。

26歳のパーソンズは新人契約の最終年を迎えており、2025年は2,400万7,000ドル(約35億5,551万円)を受け取ることになっている。それは、パーソンズの価値をはるかに下回り、エッジラッシャーの市場最高額より約1,700万ドル(約25億1,775万円)も低い数字だ。

パーソンズの大型契約延長は以前から待ち望まれていた。パーソンズはオフシーズンワークアウトに参加し、新任ヘッドコーチ(HC)ブライアン・ショッテンハイマーのもとで波風を立てることもなかったにもかかわらず、プレシーズンが近づく中でずっと待たされてきた。

ダラスを離れたいと考えるようになった理由として、契約交渉が長引いていることを挙げたパーソンズは、次のようにつづっている。

「もちろん、ここにいたかった。カウボーイズの一員としてヘルメットにスターをつけてプレーしたいという気持ちを示すために、できる限りのことをしてきた。スポーツ界で最高のファンの前でプレーし、この(アメリカズ)チームをもう一度築き上げたいと思っていた。父も俺も子どもの頃からペンシルベニア州ハリスバーグで応援してきたチームだ。残念ながら、もうここにはいたくない。代理人が同席しない(非公開の)交渉に縛られたくもない。組織やファン、仲間のために全力を尽くしている中でケガを理由に批判されるのも、自分に関する憶測がメディアで広がるのも、もううんざりだ」

パーソンズは契約成立を望み、これまで騒ぎを起こさなかったと語った。それは、3年目以降に契約延長の資格を得てからずっとパーソンズが望んでいたことだ。今オフシーズン、代理人のデビッド・ムルゲタは他の選手――例えばクリーブランド・ブラウンズのマイルズ・ギャレットやピッツバーグ・スティーラーズのT.J.ワット――の契約が成立するまで待つのが賢明だと提案したが、パーソンズは待つことを望まず、カウボーイズ幹部と交渉したいとの意向を示していた。

「お金の面で損をすることは分かっていたけど、それでも構わなかった」とパーソンズは記している。

「契約延長に関してはまたしても沈黙が続いた。3月には(オーナーのジェリー)ジョーンズ氏とリーダーシップについて話し合うために会った。どういうわけか、それは契約に関する話に変わってしまった。確かに契約について自分の希望を伝え、やり取りはしていたが、それが正式な交渉になるとは一切思わなかったから、ジョーンズ氏には代理人から連絡すると伝えて、これで問題が解決するだろうと思っていた」

パーソンズによると、カウボーイズは契約の枠組みがすでに整っていると考え、パーソンズの代理人に対して沈黙を保ち、交渉を拒否していたという。

パーソンズは「今日まで、チームは代理人と契約について一切話し合いをしていない。代理人から金銭面や契約年数などについて要求を出したことも一切ない」と記し、その後に正式にトレードを要求したと述べている。

今後の展開は金が物を言うだろう。カウボーイズは最終的に、ずっと前に済ませておくべきだったこと、つまり、パーソンズにクオーターバック(QB)以外で最高の報酬を提示して埋め合わせをすることができる。カウボーイズにとって残念なことに、その代償が安くなることはないだろう――その年平均額はもともと、ワットが手にした額(4,100万ドル/約60億7,223万円)よりも高くなることが予想されていた。

問題はその額がどれほど高くなるかだ。4,500万ドル(約66億6,464万円)か、4,800万ドル(約71億0,895万円)か、それとも5,000万ドル(約74億0,516万円)なのか?

カウボーイズは依然として交渉で優位に立てる。パーソンズの契約は2025年シーズンまでだが、その次の2年間でフランチャイズタグを適用できるため、カウボーイズは少なくともあと3シーズン、パーソンズをとどめることができるのだ。

パーソンズがチームにトレードを強制したければ、思い切った手段に出なければならない。つまり、シーズンの大半を欠場し、罰金を科されながら報酬を得られないリスクを覚悟する必要がある。契約が停止される前にシーズン終盤に復帰することは可能だ。しかし、カウボーイズは2026年にフランチャイズタグを使用できるため、結局はまた同じ状況が繰り返されることになる。

ジョーンズが折れ、NFL屈指の才能と市場価値の高さを誇るパーソンズをトレードで手放すことは想像しがたい。度重なるプレーオフでの失敗が重くのしかかる中、パーソンズを手放せば、何十年も到達していないスーパーボウルへの道のりはさらに遠のくだろう。

しかし、カウボーイズがこれ以上大型契約を結びたくないと考え、将来に向けたチーム作りを優先した場合、パーソンズを放出する代わりに莫大な見返りを得ることになる。

オークランド・レイダースは2018年にアウトサイドラインバッカー(OLB)カリル・マックをシカゴ・ベアーズへトレードした。ベアーズはマックとともにドラフト2巡目指名権と条件付き5巡目指名権を受け取る代わりに、1巡目指名権2つ、3巡目指名権1つ、6巡目指名権1つをレイダースに送った。

ダラスからパーソンズを引き抜くには、マックのトレードの条件が最低ラインとなるだろう。現実的には、3つの1巡目指名権、もしくは1巡目指名権と有力選手を組み合わせた見返りを要求するところから交渉が始まるはずだ。

たとえトレードの対価や契約条件といったコストが高くても、パーソンズのようなスター選手をチームに加えることにはどのチームも興味を示すだろう。パーソンズのような卓越した才能を持つ選手はめったに現れないからだ。

やはり、ジョーンズがパーソンズを手放すとは考えにくいが、NFLでは毎年、誰も予想できないような驚くべき出来事が起こっている。

【RA】