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異例の状況を前向きに捉えているブラウンズ新人QBのサンダースとゲイブリエル

2025年05月26日(月) 13:35


クリーブランド・ブラウンズのシェドゥーア・サンダース【AP Photo/Sue Ogrocki】

2025年のNFLドラフトでは、クオーターバック(QB)シェドゥーア・サンダースの指名順位が3日間にわたり5巡まで落ち続けるという、予想外の展開が大きな話題を呼んだ。

中でも注目を集めたのが、長らくサンダースの移籍先有力候補と見られていたクリーブランド・ブラウンズが、コロラド大学のQBサンダースを指名せずに3巡目でオレゴン大学のQBディロン・ゲイブリエルを先に選んだ場面だった。

さらに驚きを呼んだのは、その50番後の指名順である5巡目全体144位でサンダースを指名し、1つのドラフトで2人のQBを獲得したことだった。

予期せぬかたちでチームメイトとなったサンダースとゲイブリエルは、この状況を前向きに受け入れており、サンダースは「本当にいい関係を築いている」と語った。

「すべて順調だよ」とサンダースは最近、『SportsCasting(スポーツ・キャスティング)』のDJ・シディキに話している。

「彼はいいヤツだし、特にネガティブな報道への向き合い方がうまい。前向きで、ちゃんと対処できている。俺たちは本当に気が合っている」

ゲイブリエルは一部から3日目の指名は早すぎるとも言われたが、ルーキーミニキャンプで記者に対し、「お互いから学び合えること」がうれしいと今の状況を前向きに語った。

サンダースも同意を示し、「確実に」お互いから学び合っているとコメント。

24歳のゲイブリエルと23歳のサンダースは似たような境遇を経て、今までにないブラウンズのQBルームにたどり着いている。

ゲイブリエルは6シーズンでセントラルフロリダ大学、オクラホマ大学、オレゴン大学の3校を渡り歩き、最終学年を過ごしたオレゴン大学では3,857ヤードとタッチダウン30回を記録。Big Ten(ビッグ・テン)の最優秀攻撃選手に選ばれた。

一方のサンダースは、ジャクソン州立大学とコロラド大学で4シーズンにわたりプレー。いずれのシーズンも、父親でありプロフットボール殿堂入りを果たしたディオン・サンダースがヘッドコーチ(HC)を務めていた。コロラド大学での最終年に4,134ヤードとタッチダウン37回を記録し、Big 12(ビッグ12)の最優秀攻撃選手賞に輝いている。

そんな2人が今、クリーブランドで合流することとなった。QBルームにはベテランのジョー・フラッコ、さらに少し前までピッツバーグ・スティーラーズのフランチャイズQB候補と見なされていたケニー・ピケットも名を連ねている。

NFLキャリアのスタートを新たなチームメイト、ゲイブリエルとともに歩む一方で、サンダースはコロラド大学時代のチームメイトであり、ドラフト全体2位でジャクソンビル・ジャガーズに指名されたトラビス・ハンターとも連絡を取り続けている。

サンダースはハンターと「集中を切らさないことの大切さ」について語り合ったことを明かした。

「でも、それはお互い分かっていることだから、しっかりと前に進めているかを確認し合うだけだ」

1巡指名候補とされながら5巡目にブラウンズに指名されるという展開がドラフト最大の話題となったサンダースにとって、最優先事項は成長することだ。

サンダースによれば「結束のある」QBルームには、ケガで離脱中のデショーン・ワトソンが今後加わる可能性もあるが、仮に不在でも十分に多彩な顔ぶれがそろっている。

スーパーボウルMVPの実績を持つ40歳のフラッコ。

2022年の1巡指名選手で、すでに3チーム目となるピケット。

そして、2025年のNFLドラフトで3巡目と5巡目で指名された2人のルーキー。

5巡目指名のサンダースは、誰も予想しなかったQBルームでの時間を最大限に活かしながら、ブラウンズでの将来に集中し、チーム内での連携の構築に取り組んでいる。

「今はチームのこと、そして目の前にいる仲間やコーチ陣に集中している」とサンダース。

「スマホもほとんど触らないし、人ともあまり話していない。家族とすら話していない。今この瞬間に集中して、自分を研ぎ澄ませるべき時期なんだ」

【R】