ジャイアンツを“最高の舞台”へ導くチャンスに意欲を示すQBウィルソン
2025年06月02日(月) 12:19
クオーターバック(QB)ラッセル・ウィルソンにとって、このオフシーズンは次なるNFLの行き先を決める上で、あらゆる要素がぴたりとはまった。
華やかな舞台、与えられるチャンス、そして彼を待ち受ける選手やコーチ陣。それらすべてがウィルソンをニューヨークへと導いた。そこには、長らく低迷を続けるジャイアンツを再び栄光の道へと導く可能性が広がっている。
「ここで得られるチャンスは本当に大きい」とウィルソンはポッドキャスト“7PM in Brooklyn with Carmelo Anthony(7PM・イン・ブルックリン・ウィズ・カーメロ・アンソニー)”に出演した際に語った。
「スポットライトを浴びることには抵抗がない。そういうのは平気だ。でも、それ以上に大きいのは、ここが自分にとって見覚えのある場所だということだ。スタジアムに足を踏み入れて、ロッカールームに入った瞬間、自分のロッカーがスーパーボウルを制したときとまったく同じ場所にあった。スタジアムを歩くとき、自然と感じるんだ。ここに来たことがある、と。ただ訪れたのではなく、ここで頂点に立ったことがある、とね」
「だからこそ、俺は再び成功できると信じているし、このチームを最高の舞台へと導けると心の底から確信している。ここにはそのために必要なメンバーがそろっている。ポジティブな要素がいくつもあって、まさにショーになるはずだ」
ウィルソンがスーパーボウル制覇を果たしたのは、奇しくもジャイアンツの本拠地メットライフ・スタジアムだった。当時、彼はシアトル・シーホークスの2年目クオーターバックとして、まさに今と同じロッカーの前に立っていた。しかし、その勝利は2014年2月、もはや遠い記憶の彼方だ。それから10年以上が過ぎた今、ビッグブルーを再び同じ舞台へと導くためには、ウィルソンの信念を現実に変えるだけの、チーム全体の並々ならぬ総力が求められる。
スーパーボウルを4度制覇しているジャイアンツだが、最後に王座に就いたのは2011年。その後のプレーオフ進出はわずか2回にとどまっている。レギュラーシーズンが17試合に拡張された影響もあるとはいえ、昨季はフランチャイズの歴史が始まった1925年以降で最多となる14敗を喫している。ウィルソン自身もキャリア後半に入ってから停滞が続く。36歳となった昨シーズンは復活の兆しを見せ、パス獲得ヤード2,482、タッチダウン16回、インターセプト5回という安定した成績でピッツバーク・スティーラーズをプレーオフ進出へ導いたものの、過去5年間で所属チームはすでに4つ目となっている。
それでもウィルソンは、ジャイアンツには再建の素地があると信じている。
ヘッドコーチ(HC)ブライアン・ダボールは、ウィルソンにチームの可能性を引き出すチャンスを与える考えを明確にしている。4月のドラフトではクオーターバックのジャクソン・ダートを全体25位で指名し、ジェイミス・ウィンストンとも契約を結んだが、ダボールHCは記者陣に対し、ジャイアンツの先発はウィルソンだと明言した。
2022年の年間最優秀コーチ賞を受賞したダボールHCは、ウィルソンがジャイアンツとの契約を決断するうえで影響を与えた人物のひとりとして、その名が挙げられている。
ここ2シーズン、負傷者の相次ぐ離脱やクオーターバック陣の不振に苦しみ、チームの得点力はリーグ下位に低迷した。それでもダボールHCは、依然として高い評価を受けるオフェンスの名手だ。ジャイアンツのヘッドコーチに就任する直前には、バッファロー・ビルズで攻撃コーディネーター(OC)を務め、最後の2年間はいずれもリーグトップ5のオフェンスを築き上げた。
「ここでダボールと一緒にやれるのが楽しみだ。彼のオフェンスの魔術は本当に特別なんだ」とウィルソンは述べている。
「さらに、クオーターバックとしてリーグでのプレー経験を持つ(OC)マイク・カフカをはじめ、スタッフ陣には顔なじみで信頼できる人たちがそろっている。このチャンスにワクワクしているよ」
もしダボールHCとウィルソンが互いに再起を果たすことができれば、その成功のカギを握るのは、ワイドレシーバー(WR)マリク・ネイバースの存在にほかならないだろう。
2024年のドラフトで全体6位指名を受けてNFL入りしたネイバースは、ルーキーイヤーからその非凡な才能を見せつけた。ディフェンスの隙を突くことに長け、チームトップとなるレシーブ109回、1,204ヤード、タッチダウン7回を記録してプロボウルに選出された。
「マリク・ネイバースは本当にすごい。あいつはスーパースターだよ」とウィルソンはコメント。
「映像を見ながら、誰がどんな選手なのかを見極めようとしていた。もちろん最初に目に入るのはハイライトだけど、すべてのキャッチ、すべてのプレーを一つひとつ見ていくと、彼がどんな選手なのかがよく分かる。彼はダイナミックで、ボールに触れた瞬間に一気に抜けていくタイプだよ」
当然ながら、ウィルソンがシーズンを通して先発としてネイバースにパスを投げ続け、ダボールHCの魔法の恩恵を受けられる保証はない。ジャイアンツのQBルームには出番を待つ司令塔たちがひしめき、ウィルソン自身が語ったスポットライトに加え、ニューヨークのメディアによる厳しい視線は全米でも屈指のプレッシャーを誇る。
この状況でもしジャイアンツで結果を残すことができれば、今回のチャンスが優勝争いにつながるとウィルソンは確信している。
【R】