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QBアーロン・ロジャースがミニキャンプ開始前にスティーラーズと1年契約へ

2025年06月06日(金) 09:13


ニューヨーク・ジェッツのアーロン・ロジャース【AP Photo/Seth Wenig, File】

アーロン・ロジャースがついにスティールシティへ向かう。

『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポート、トム・ペリセロ、マイク・ガラフォロが現地5日(木)に報じたところによると、NFLで4度MVPに輝いた経歴を持つクオーターバック(QB)のロジャースがピッツバーグ・スティーラーズに対し、来週に始まるミニキャンプに先立ち、金曜日に1年契約を結ぶためにチームを訪れることを伝えたという。

ロジャースは来週火曜日に始まるミニキャンプに参加する見込みだとペリセロはつけ加えている。スティーラーズのミニキャンプは火曜日から木曜日まで実施される予定だ。

フリーエージェント(FA)期間が正式に始まる1日から2日前までに多くの有名選手が新チームを選ぶこの時代においても、ロジャースは常に自分らしさを貫き、2025年NFLドラフトが終了してから相当な時間が経つまで、次のステップを熟考し、整理していた。一方、スティーラーズはこの契約を妨げるような動きをほとんど見せず、ドラフト3日目まで待ってからクオーターバック(ウィル・ハワード、全体185位)を指名している。

その結果、スティーラーズのQB陣は、ハワード、メイソン・ルドルフ、スカイラー・トンプソンという顔ぶれとなり、リーグ内でも特に試合を左右できる司令塔を必要とするチームとなっていた。

ロジャースの獲得を狙っていたもう1つのチームであるニューヨーク・ジャイアンツがラッセル・ウィルソンと契約し、他の複数のチームもドラフトでQBを確保したことを受け、41歳のロジャースが引退しない限り、彼とスティーラーズの契約は予想された動きとなっていた。

昨シーズン、ロジャースはニューヨーク・ジェッツで期待されたほどの活躍ができず、トップクラスのクオーターバックとしての評価に傷がつく結果となった。ジェッツの成績は5勝12敗にとどまり、ヘッドコーチ(HC)ロバート・サラーとジェネラルマネジャー(GM)ジョー・ダグラスはシーズン中に解雇されている。

それでもなお、スティーラーズはキャリア通算で6万2,952パスヤード、タッチダウン503回を記録し、将来の殿堂入りが確実視されているロジャースの獲得を喜んでいるはずだ。この契約にさらに興味深い要素を加えているのは、スティーラーズが9月7日(日)に行われるレギュラーシーズン初戦でジェッツと対戦し、10月26日(日)に実施されるサンデーナイトフットボールでグリーンベイ・パッカーズをホームで迎えるスケジュールとなっている点だろう。

ロジャースが2024年シーズンに低迷したと見られているのは、少なくとも部分的には、20年間のNFLキャリアで非常に素晴らしい成績を積み重ねてきたことに起因している。

ロジャースは2024年シーズンにジェッツで以前のような極めて正確なパスを投げられず、アキレス腱(けん)断裂からの回復途上で機敏さも欠いていたが、それでもパス成功率63%、3,897ヤード、タッチダウン28回、インターセプト11回を記録した。昨シーズンの最終10試合を見ると、2,234ヤード、タッチダウン18回、インターセプト4回、パス成功率64%と、その成績はさらに良く見える。

機動力のあるQBジャスティン・フィールズがスティーラーズからジェッツに移籍したことで、実質的にフィールズとポジションを入れ替える形となるロジャースは、やや流動的なレシーバー陣とともにプレーすることになる。

スティーラーズは、6シーズンのキャリアを通して一度も900レシーブヤードを下回ったことがなく、1,000ヤード突破を3回成し遂げているワイドレシーバー(WR)D.K.メットカーフをシアトル・シーホークスとのトレードで獲得した。また、2024年にチーム屈指の成績を残したタイトエンド(TE)パット・フリーアムスも戻ってくる。しかし、WRジョージ・ピケンズをダラス・カウボーイズにトレードしたことで、それ以外のパスキャッチ要員は比較的手薄になっている。春の間にロジャース以外のFA補強がなかった場合、カルビン・オースティン三世、FAとして加入したベテランのロバート・ウッズ、2024年ドラフト3巡目指名を受けたロマン・ウィルソンがWR2の座を争うことになりそうだ。

それでもスティーラーズは、ニューヨークで苦戦したロジャースにとって、再起を図るための理想的な場所となっている。常に優れたディフェンスを擁するスティーラーズは、勝ち星を積み上げる術を知っており、実際、チームが最後に勝率5割を下回ったのは、ロジャースがNFL入りした20年前のさらに2年前だ。

影響力を発揮することをためらわないロジャースとチームを統率するヘッドコーチ(HC)マイク・トムリンの関係は興味深いものになるだろう。スーパーボウル制覇を経験したクオーターバックとヘッドコーチのコンビは、試す価値のある組み合わせだ。

14年前、ロジャースはスーパーボウルでトムリンHC率いるスティーラーズを下している。

そして今、ロジャースは2度目のスーパーボウル制覇を目指しつつ、長く曲がりくねった道のりを経てスティーラーズに加わることになった。

【RA】