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リードHCの指示を受け、オフェンスの活性化を期待するチーフスWRワーシー

2025年07月15日(火) 14:47

カンザスシティ・チーフスのゼイビア・ワーシー【AP Photo/Colin E. Braley】

NFLで他のどのチームよりも大きな注目を浴びているチームがあるとすれば、それはカンザスシティ・チーフスだ。

チーフスはクオーターバック(QB)パトリック・マホームズを中心とした爆発力のあるオフェンスを築き上げ、2019年にスーパーボウル制覇を果たしたことで、注目度の高いチームの一角に名を連ねた。それ以降はほぼ毎年のようにスーパーボウルに出場し、6シーズンで出場を逃したのは1シーズンのみとなっている。しかし、スーパーボウルへの道のりは年々異なる様相を見せており、その過程でビッグプレーが少ないとの批判を浴びることも多かった。

ワイドレシーバー(WR)ゼイビア・ワーシーによると、そうした状況は近いうちに変わる可能性があるという。

『FanDuel TV(ファンデュエルTV)』の番組“Up and Adams(アップ・アンド・アダムス)”に出演したワーシーは、ホストのケイ・アダムスに「リードコーチ(ヘッドコーチ/HCアンディ・リード)にOTA(チーム合同練習)のフェーズ1で“戻ってくるときはハムストリングの準備をしっかり整えておけ”と言われた。だから、練習でもう少し深いところまでやるんだろうなって、なんとなく分かっていたし、心も体もそれに備えて準備してきた」と話している。

チーフスファンはそうした変化を歓迎するだろう。チーフスの攻撃力不足を指摘されることにうんざりしているのは彼らに他ならないからだ。以前のような爆発的なプレーは減っているものの、チーフスは依然として安定的に勝ち続けている。

しかし、チーフスの攻撃力が不足しているという主張には根拠がある。『Pro Football Focus(プロフットボール・フォーカス)』によると、マホームズの平均ターゲット深度(aDOT)は2018年にキャリアハイとなる9.7ヤードを記録して以来、過去4シーズンではいずれも8ヤード未満にとどまっているとのこと。特に、WRタイリーク・ヒルを欠いたこの2シーズンの記録は、7ヤード前後で推移しており、チーフス攻撃陣の爆発力は確かに減少している。

多くの人は、チーフスが2024年NFLスカウティングコンバインの40ヤード走で新記録を樹立したテキサス大学出身のワーシーをトレードアップして指名したことでその状況が変わると期待していた。しかし、少なくともシーズン終盤までそれは実現しなかった。とはいえ、ワーシーはマホームズと共に昨シーズン終盤に生み出したプレーに手応えを感じている。

「アンダーニースでたくさん起用されるようになった気がする」と振り返ったワーシーは「パット(マホームズ)と信頼関係を築きつつあるし、ディープパスも狙えるようになってきている。トレーニングキャンプでさらにその関係を深めていくつもりだ。スーパーボウルの最後には少しだけうまく連携できたし、終盤にかけて深いパスを決められたのはとてもいい気分だった」と続けた。

印象的なプレーを生み出すには、ただポジションについて全力で走るだけでは不十分だ。ワーシーが説明したように、チーフス攻撃陣で最大限の力を発揮するには、マホームズが自分に何を求めているかを理解する必要がある。

昨季、レギュラーシーズンでの17試合とスーパーボウルへの道のりを通じてそれを理解する機会を得たワーシーは、マホームズについて次のように語った。

「彼は本当に、オープンになってほしいと望んでいるだけだ。でも、実際には、ルート自体や、その中でどれほど自由に動けるかを理解することが大切になる。時には自由のないルートもあって、その場合は指示通りに走らないといけない。逆に、ちょっとした自由があっても、タイミングを少し調整しなければいけない場合もある」

昨シーズンのチーフスには一貫してダウンフィールドを見渡す余裕がなかった。オフェンシブラインが相手を十分に抑え、ディープパスを投げるための時間を確保してくれるという確信をマホームズが持てなかったからだろう。そうした問題は頻発し、第59回スーパーボウルではついに致命傷となった。チーフスはその試合でフィラデルフィア・イーグルスのパスラッシュに圧倒され、オフェンスが崩壊する中で大敗を喫した。

その敗北を乗り越えたチーフスは、追われる立場ではなく、雪辱を果たすことを目指す貪欲なチームとして2025年シーズンを迎えようとしている。チーフスがその目標を達成するには、ワーシーが重要な役割を担う必要があるだろう。パントリターナーを任されたとしても、その覚悟ができているワーシーは、「自分がボールに触れるたびに、得点を挙げる可能性がある」とアダムスに語っている。

最も重要なのは、今年2月に赤と黄ではなく、緑と白の紙吹雪が舞う中でニューオーリンズのフィールドを後にした経験を踏まえ、ワーシーが何よりもチーフスが勝者としてシーズンを終えることを願っているという点だ。

「俺は勝者だ」と強調したワーシーはこう続けている。

「負けるのは普通のことだ。俺は勝つのが好きな以上に負けるのが嫌いだ。コンペティターとして、そうあるべきだと感じている。名誉を挽回するチャンスはやってこないし、次の年まで待たなきゃいけない」

「つまり、蓄積された緊張感や怒りは次の年まで持ち越されるんだ。それをさらに積み重ねるか、負けを引きずるかのどっちかだ」

【RA】