負傷者が続出し、2024年シーズンを6勝11敗で終えたサンフランシスコ・49ersにとって、変化は避けられないものだった。

フルバック（FB）カイル・ユーズチェックにとって、その変化には“人生で最悪の3日間”となった短いフリーエージェント（FA）期間も含まれていた。幸いにも、キャリアの大半を過ごしてきた49ersに戻ってこられたユーズチェックは、チームの復調と、特に注目を集めているチームメイトのランニングバック（RB）クリスチャン・マカフリーの復活を期待している。

現地10日（木）、ユーズチェックは『The Athletic（ジ・アスレチック）』のビック・タファーに「クリスチャンはほぼ間違いなくNFLで最高の選手だ。2年前にはオフェンス部門年間最優秀選手賞を獲得している。すべてを変える存在だし、調子はすごく良さそうだ。とても健康的だし、爆発力もあるように見える」と語った。

ユーズチェックの最後の一言は最も重要だと言えよう。マカフリーは2023年に素晴らしいシーズンを送り、『Madden NFL 25（マッデンNFL 25）』の表紙も飾ったが、2024年シーズンはケガで試合の大半を欠場し、4試合に出場してキャリー50回、202ヤードという結果に終わった。

その成績は2023年に記録した1,459ランヤード、タッチダウン14回という数字から大きくかけ離れている。マカフリーの不在はシーズンを通して大きな影響を及ぼし、特に、バックアップRBジョーダン・メイソンも負傷した後はそれが顕著となった。多くの主力選手が欠場したことで、49ersはNFC（ナショナル・フットボール・カンファレンス）王者から、競争の激しいNFC西地区の最下位にまで転落してしまった。

そうした失望を経験すると変化が促されるものだ。その後に行われた大幅なロースターの入れ替えは主にディフェンスに影響を与えたが、クオーターバック（QB）ブロック・パーディーの契約問題が解決したことで、ユーズチェックには2025年のオフェンスを楽観的に捉える理由もできている。それがたとえ今春にワシントン・コマンダースにトレードされたワイドレシーバー（WR）ディーボ・サミュエルを欠いた状態で臨むシーズンだったとしてもだ。

「オフェンスの現状についてはとても良い感触を持っている。ここ最近で最も充実した夏を過ごせていると思う」とユーズチェックはコメント。

「みんなが（ワークアウトに）参加し、仲間意識はとても高まっている。新たに加わった選手たちのことを気に入っているし、今の状況には本当に満足している。ブロックも契約を手に入れたし、その心配をする必要もない」

キャップスペース節約のためにカットされたユーズチェックは、49ersでもう一度プレーするチャンスを失いかけ、FAとしてピッツバーグ・スティーラーズにも訪問していた。しかし最終的には、2017年にFAとして49ersと契約して以来、ホームと呼んでいるベイエリアに自分の心が残っていることを確信していたようだ。

49ersにとどまりたかった理由について説明したユーズチェックは「理由はたくさんある。今言ったことすべてだ。チーム施設に入ると、文字通りみんなと知り合いだ。シェフや管理人、広報チーム、コミュニティチームのことも知っているし、選手のこともみんな知っている。とにかく慣れ親しんだ場所なんだ」と話している。

「家もそこにある。2017年に家を買って、そこが自分の家になった。カリフォルニアに住み、本当に良いと思うチーム、今年に素晴らしいチャンスがあると思うチームに所属している。つまり、良い要素が多すぎるんだ」

昨季の結果は芳しくなかった。しかし、新たなシーズンは新たな機会をもたらす。ユーズチェックは49ersでの時間が終わる可能性に直面したことで、今シーズンをこれまで以上に大切にするかもしれない。スーパーボウル出場チームから地区内最下位に転落したことも踏まえると、49ersがより一層モチベーションを高めていることは容易に想像できる。

「オフシーズンを通して、俺たちはものすごく貪欲だったと思う」と振り返ったユーズチェックは「みんながそろい、懸命に取り組んだことで、現状を変えていくためのモチベーションが少し増したんだと思う」とつけ加えた。

2025年シーズンの旅は2週間後に始まる。49ersはその旅の終わりに、本拠地としているリーバイス・スタジアム――第60回スーパーボウルの開催地――にたどり着くことを願っている。

ユーズチェックは「2年前くらいに知ってから、ずっとその話をしてきたと思う」と明かし、次のように続けた。

「そこが終着点になるのは夢のようなシナリオだ。そうなることを願っている」

「でもまあ、今は7月だし、ありがちなことを言わせてもらうよ。“そこまで先を見通すことはできない。今は2週間後のトレーニングキャンプがすべてだ”ってね」

【RA】