QBダートに注目が集まる中、ジャイアンツの先発QBは依然としてウィルソン
2025年07月24日(木) 14:29
ニューヨーク・ジャイアンツが将来のフランチャイズクオーターバック(QB)として期待をかけるジャクソン・ダートには注目が集まっているが、その“将来”はまだ訪れていない。
ダートがドラフト1巡目指名選手として大きな注目を浴びる中、ヘッドコーチ(HC)ブライアン・ダボールはトレーニングキャンプが開始された現地23日(水)に、フットボールで最も重要なポジションをラッセル・ウィルソンが担うという計画に変更はないと明言した。
ダボールHCは「彼らはここで競い合うことになるが、うちの先発はラスだ」と述べている。
キャンプ初日の練習ではウィルソンがファーストチームの全スナップを担当し、ダートと複数のチームを転々としてきたジェイミス・ウィンストンが2番手と3番手を交互に務めた。ダートは11対11のチームドリルにおける最初のパスでインターセプトを喫したものの、ウィルソンから次のプレーに集中するよう指示を受け、その直後のパスではタッチダウンを決めた。
ベテランディフェンシブタックル(DT)デクスター・ローレンスは「彼らはうまくやっていると思う」と話している。
「ラスもジェイミスも素晴らしいリーダーだし、彼らがダートに声をかけているところをよく見る。ラスは自分の仕事をしっかりやっているし、(ダートにとって)そこから学び、見返りを求めずに教えてもらえることは、プラスにしかならないと思う」
昨シーズンを3勝14敗で終え、NFLで最下位タイに沈んだジャイアンツは、上を目指すしかない状況だ。それが、4年目のジェネラルマネジャー(GM)ジョー・シェーンが地元で熱狂的な人気を誇るトミー・デヴィートだけを残し、クオーターバック陣をほぼ完全に刷新した理由の1つとなっている。
36歳のウィルソンは今オフシーズン、保証額1,050万ドル(約15億3,371万円)で最大2,100万ドル(約30億6,773万円)の契約を締結。ジャイアンツはウィンストンとの契約が成立してから数週間後、ダートをドラフト全体25位で指名するために1つの2巡目指名権と2つの3巡目指名権をトレードした。
ミシシッピ大学時代は遠くから見守っていたダートをオフシーズンの練習で間近で見てきたジャイアンツは、ダートがこれまでに見せてきたパフォーマンスに好印象を抱いている。
シェーンGMは「リーダーシップも、腕の才能も、運動能力も見てとれた。しかも、彼は新人だ。まだまだ成長の余地があるが、彼を支える素晴らしいサポート体制が整っている。コーチ陣も非常に優秀だから、彼は今、良い環境にいると思う」と述べた。
ダボールHCはダートとウィンストンのどちらがウィルソンのバックアップを務めるかは明言していない。その一方で、シーズン初戦として9月7日(日)にNFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)東地区のライバルであるワシントン・コマンダースと対戦する際に、ウィルソンが健康であれば先発を務めることは明らかにしている。
先発が確定していることについて質問されたウィルソンは「毎日、常に最高の自分になることに集中しているだけだ」と答えた。
2シーズン前にデンバー・ブロンコスでチームメイトだったタイトエンド(TE)クリス・マンハーツは、ウィルソンは“優れたクオーターバックの資質”をすべて備えているため、現在の状況に対処できると確信している。
マンハーツは「細部へのこだわりがあり、優れたリーダーだ。そのリーダーシップがオフェンス全体やチーム全体に浸透している」と語った。
「彼はこのリーグで長い間プレーしてきて、多くの成功を収めてきたけど、それは偶然じゃない。彼がクオーターバックとして持っている多くの資質、例えば、全員の意識を統一し、先頭に立って模範を示し、チームを率いること――そういうことすべてが周りに伝わっているんだ」
キャリア2年目のスターワイドレシーバー(WR)マリク・ネイバースはつま先を負傷し、春には練習を見送っていたが、現在は回復し、トレーニングキャンプの初日からフル参加できるようになっている。その一方で、ネイバースはケガが完治するのか、それとも手術が必要になるのかはまだ分からないと明かした。
「そういう話はあったけど、自分の中でそうしようという決断には至らなかった」と語ったネイバースは「でも、うまく対処できているし、かなり良い調子で走り回っている。リハビリも順調だから、つま先の調子は良くなってきている。みんなと一緒にフィールドに立ててとにかくうれしい」と続けている。
ネイバースはルーキーシーズンに、レシーブ数(109回)で5位、レシーブヤード(1,204ヤード)で7位にランクインする活躍を見せた。大きな期待が寄せられる中、つま先の状態についてはキャンプを通して注意深く観察し、対応していくつもりのネイバースは、次のようにコメントしている。
「それはデイブス(ダボールHC)や上層部、トレーニングスタッフと話し合わきゃいけないことだけど、俺たちは素晴らしい計画を立てていると思う」
ネイバースやローレンスといった選手がキャンプ開始時に負傷指定を受けていないのは朗報だと言えよう。一方、昨年10月に右足のリスフラン関節を修復するために手術を受けた先発レフトタックル(LT)アンドリュー・トーマスは現在も回復途上にあるため、PUP(故障者)リストに登録されている。
“トーマスは初戦に間に合うはずだ”としつつも、回復期間が長引く可能性も否定しなかったシェーンGMは、次のように述べた。
「状況は変わるし、100%保証することはできないものだが、彼の状態を日ごとに見極めながら進んでいく。準備が整い次第、試合に出ることになるが、初戦には間に合うと見込んでいる」
記事提供:『The Associated Press(AP通信)』
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