QBロジャースがスティーラーズの初キャンプでインターセプト、慎重な楽観論を展開
2025年07月25日(金) 13:05
クオーターバック(QB)アーロン・ロジャースはスナップを受け、左に体をひねると、ピッツバーグ・スティーラーズの選手として初の準公式パスを放った。
その刹那、ボールはラインバッカー(LB)パトリック・クイーンの手にすっぽりと収まり、インターセプト。
現地24日(木)、うだるような暑さの中で行われたトレーニングキャンプ初日、チャック・ノール・フィールドに集まった観客からは思わずうめき声が漏れた。
だが、ロジャース本人はまったく動じなかった。
「(あれで)気が楽になったよ」と、後に笑顔で話している。
リーグ最年長の現役選手である41歳のロジャースにとって、こんなことは慣れたものだ。実際、現役選手の中で最も長くプレーしている。スティーラーズに加入してからは、まだわずか6週間あまり。そして今は7月。最後にディフェンス相手にプレーしたのは1月初旬、ニューヨーク・ジェッツでの波乱の2シーズンを締めくくるマイアミ・ドルフィンズ戦でのことだった。この試合でロジャースはタッチダウンパスを4本決めている。
リスクを取って試すことこそがトレーニングキャンプの本質だ。
「インターセプトは何本か投げるつもりだよ」と語った4度のMVP受賞を誇るロジャースは、ほんの少し間を置いて「でも、タッチダウンパスもちゃんと決めるさ」とつけ加えた。
それはもう少し先の話になりそうだ。この日の90分間のセッションでは、ロジャースを含むスティーラーズの4人のクオーターバックにタッチダウンはひとつも生まれなかった。初日は成果よりも、感覚を取り戻すことや酷暑への順応が目的だった。
「これからどんどん良くなっていくし、見た目にも良くなっていくだろう」とロジャースは語る。
「でも、初日の現状にも十分ワクワクしている」
ロジャースと新生スティーラーズにとって、セントビンセント大学での3週間のキャンプは、フィールド上のプレーよりも、それ以外のプロセスに重きが置かれることになりそうだ。
スティーラーズはオフシーズン中にオフェンスの主要ポジションを大胆に再編し、その中核には6月に1年契約で加入したロジャースが据えられている。
ロジャースはベテラン勢の中でもいち早くキャンプ地に到着し、火曜日の夜にルーニー・ホールへチェックイン。水曜日の集合期限よりも24時間近く早かった。ロジャースは割り当てられた部屋が1階だったことにうれしい驚きを見せたという。さらに好都合だったのは、同室のルームメイトが新加入のワイドレシーバー(WR)であり、時折ワークアウトを共にしているD.K.メットカーフだったことだ。
2人が最初に打ち解けたのは、ロジャースが去就を検討していた春先に南カリフォルニアで行われたワークアウトだった。その後、ミニキャンプとトレーニングキャンプの間には、マリブで複数のチームメイトとともに集まった際に再び顔を合わせている。
とはいえ、成功に必要なケミストリーを築くのは簡単なことではない。メットカーフは「最初は難しい」と認めており、ロジャースも無理に関係構築を進めるつもりはない。ただ、寝食を共にする数週間は、互いの理解を深める良い機会になるだろう。それが、スティーラーズがキャンプ地に滞在するスタイルを貫く数少ないチームであり続ける理由のひとつだ。
攻撃コーディネーター(OC)アーサー・スミスは、ミーティング中にロジャースに発言の主導権を与えることを意識しており、その知見を積極的に共有するよう促している。ロジャース自身もキャンプ期間中の“正しいメッセージの伝え方”がいかに重要かを強調している。ルーキーQBウィル・ハワードは、そんなロジャースの言葉に素直に耳を傾ける熱心な生徒のような存在だ。
「彼の支えになりたいし、自分が持っているものは何でも伝えていきたい」とロジャースは言う。
「出しゃばるつもりはないけれど、彼が何かを学びたいとか、俺の考えを聞きたいとか、常にそばにいたいというなら、もちろん大歓迎だ」
ロジャースはハワードをNFLで長期的に活躍できる選手と見込んでいるが、今のスティーラーズにとって当面の答えはロジャース自身。チームはプレーオフでの勝利からおよそ10年遠ざかっている現状を打破すべく、このオフシーズンに大規模なロースター刷新を敢行した。
ロジャースは、スティーラーズを“紙面上は”優勝を狙える10から12チームのひとつだと考えている。彼自身、過去にもそうしたチームに何度も所属してきたが、唯一頂点に立ったのは、スティーラーズを下してスーパーボウルを制した約15年前のパッカーズだけだった。
だからこそ、ロジャースは予想を口にする代わりに、プロセスに集中する重要性に言及している。
「こういう時期が大事なんだ。ここでの17回前後の練習、そしてランチルームで過ごす時間やスナックの時間、いろいろな場面で一緒に過ごしながら関係を深めていくんだ」とロジャースは話している。
とはいえ、現実的な姿勢を取るロジャースが、2025年に起こることをすべて受け入れるわけではない。ロジャースには、自分自身にもスティーラーズにも明確な期待がある。
その内容を問われると、ロジャースは彼らしく、時に極端にドライなユーモアをにじませながら応じた。
「それは教えないよ」と笑みを浮かべてロジャースは答えている。
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