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アーロン・ドナルドとのワークアウトに挑んだラムズDEヴァース、「彼はサイコパスだ」

2025年07月28日(月) 13:26

ロサンゼルス・ラムズのジャレッド・ヴァース【AP Photo/Kyusung Gong】

ロサンゼルス・ラムズのディフェンシブエンド(DE)ジャレッド・ヴァースは鮮烈なルーキーイヤーを送った。プロボウル選出に加え、ディフェンス部門年間最優秀新人賞を受賞、そしてフィラデルフィア・イーグルスのファンとの一件でも注目を集めた。

1年目で大きく成長を遂げたヴァースだったが、ラムズのレジェンドに肩を並べるにはまだ道半ばにある。その現実を突きつけられたのが、初のNFLオフシーズンだった。6月初旬、デビューシーズンの成功に自信を深めたヴァースは、将来のプロフットボール殿堂入りが確実視されている元ディフェンシブタックル(DT)アーロン・ドナルドを挑発。ドナルドのウエイトトレーニングのやり方にケチをつけ、第56回スーパーボウル優勝経験を持つレジェンドに対してワークアウトでの勝負を挑んだ。

その挑戦をドナルドが受けたことで、ヴァースは生涯忘れられない洗礼を受けることになる。あまりの過酷さに、ドナルドの妻に「警察を呼んでくれ」と懇願する場面もあったという。2度と味わいたくない体験だったに違いない。

現地26日(土)、ヴァースは「マジで言うけど、彼はサイコパスだ」と『NFL Network(NFLネットワーク)』のモーリス・ジョーンズ・ドリューとクリス・ローズに語った。

「もう1回オフシーズンを過ごさないと無理だ。本当にキツすぎた」

半信半疑のジョーンズ・ドリューが「そこまでひどいわけがないだろう」と返すと、ヴァースは言葉を発さずに静かに視線を送った。その無言が、全てを物語っていた。

「これまでいろいろなプログラムでトレーニングしてきた。NFLでもカレッジでも最高レベルのアスリートと一緒にやってきた。でも、あれは今までで一番きついワークアウトだった。比べものにならない。大学時代の地獄のトレーニング? そんなのは足元にも及ばない」

ヴァースは、フロリダ州立大学時代のチームメイトであるDTブレイデン・フィスクとともにラムズに入団。ドナルドの引退を受け、ジェネラルマネジャー(GM)レス・スニードが進めてきたディフェンシブライン再建の最後のピースとして期待された。2024年シーズンはサック数こそ4.5回にとどまったが、ヴァースは試合映像で十分な存在感を示し、ディフェンス部門の最優秀新人賞に輝いている。

ヴァースのブロックを任された相手選手たちは、彼がまだポテンシャルの一端を見せただけの逸材であることを感じ取っていた。引退によってようやく本音を明かせるようになったオフェンシブタックル(OT)テロン・アームステッドも、2度とフィールドで対峙しなくて済むことに安堵していると語っている。

同じことは、ドナルドについても数えきれないほどの選手が口にするだろう。10年のキャリアでインテリアラインを破壊し続けたドナルドは、ディフェンシブ部門年間最優秀選手に3度、オールプロのファーストチームに8度、プロボウルに10度選出されたNFL屈指の名手だ。

ドナルドは2021年にラムズを第56回スーパーボウル制覇へと導き、選手として最高の栄誉を手にした。一方のヴァースは、まだその高みに手が届いていない。そこに至るには、たとえ気が進まなくとも、今後もオフシーズンにドナルドと過ごす時間が必要になるかもしれない。

「俺には近づかないでもらいたい」とヴァースは木曜日に冗談を交えつつ語った。

「もし警備が敷地内で彼を見かけたら、すぐ対処してくれ」

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