ニュース

現状への不満をネット上で吐露も「謝るつもりはない」とイーグルスWRブラウン

2025年11月13日(木) 15:50

フィラデルフィア・イーグルスのA.J.ブラウン【AP Photo/Abbie Parr】

世の中が変化するにつれて、ニュースの流れも変わる。しかし、フィラデルフィアではどうしても消えない話題がひとつある――その中心にいるのはワイドレシーバー(WR)A.J.ブラウンだ。

ブラウンが2025年シーズンを通してフィラデルフィア・イーグルスのオフェンスにおける自身の出番の少なさに不満を表明してきたことは、常に注目の的となっている。チーム首脳陣だけでなく、ブラウン本人も深刻な問題ではないと説明しているにもかかわらず、依然としてこの問題が消える気配はない。

現地11日(火)夜、『Twitch(ツイッチ)』の配信者である“JankyRondo”は、ブラウンだとされている『Playstation(プレイステーション)』ユーザーの“imopen11”と『Madden NFL 26(マッデンNFL 26)』で対戦する様子をライブ配信し、その際にゲーム内のチャットですべて順調かと質問を投げかけた。

配信者は「てか、うまくいってる? 問題はない? メンタルは大丈夫? 子どもたちは?」と質問。

質問を受けた相手は「いやまあ、そうじゃないな」と笑いながら返答し、「どこに行ってたんだ? 家族は元気だ。でもそれ以外は? だめだ、めちゃくちゃだった」と続けた。

ブラウンとされるその人物は、質問のばかばかしさと自身のもどかしい現実の両方をおかしいと思ったのか、笑いながら返答した。その後、動画を視聴しているファンに向けてアドバイスも送っている。

その人物は笑いながら「俺をファンタジー(フットボール)で選んだなら、はずした方がいい」と語った。

ブラウンは動画内で姿を表さなかったが、水曜日の練習後にロッカールームで報道陣と話した際に、ゲーム内のチャットに参加していたことが確認されている。

自身の状況に不満を抱いている様子がうかがえるライブ配信について意見を求められたブラウンは、謝るつもりはないと強調。

ブラウンはうまくいっていない現状について「目があれば誰でも分かることだ。シーズンを通してずっと言ってきたことだ。だからツイッチで友達と自分の状況について軽く触れたことについては謝らない。さっきも言った通り、誰の目にも明らかなことだからな」と話している。

その後、動画についてさらに説明を求められたブラウンは次のようにコメントした。

「試合後に正しい答えを全部言ったのに、君たちがまた記事にしたんだ。友達とただ話して楽しんでいた瞬間について謝るつもりはない。誰かを不幸な目に遭わせようとしているわけじゃない。俺は文字通り、この最悪な状況を笑ってやり過ごそうとしている。今の状況は本当にきつい。でも、笑いの種にして乗り越えようとしている。どうしようもないからな」

前述の動画は水曜日にソーシャルメディアで拡散され、イーグルスのヘッドコーチ(HC)ニック・シリアニが報道陣に対応した際にも話題に上った。

『ESPN』によると、シリアニHCは「私がこの件に関する質問に答えるのはもう終わりだ」と述べたという。

「彼は懸命に取り組んでいる。今回(日曜日に行われるデトロイト・ライオンズ戦)のゲームプランでも大きな役割を担っているし、今後も重要な存在であり続ける。ここにいる間は全力で取り組んでくれているし、私は彼がチームにいることをうれしく思っている」

クオーターバック(QB)ジェイレン・ハーツもこの問題について質問を受けた。

ハーツは「君たちがそういう質問をしてくるのは理解できるし、それに対しては敬意を持っている」と答え、こう続けている。

「俺が常に意識を向けているのは、チーム全体として何をするかだ。明らかに、A.J.はチームのあり方に関しても、これまで成し遂げてきたことに関しても、重要な役割を担っている。そうした中で、俺たちは毎日成長し続けなきゃいけない。彼がグロースマインドセットを持つことや、それを受け入れることについて話していたのは知っている。今シーズンを戦い抜き、目指す場所へたどり着こうとするとき、俺たちにはそういうメンタリティが必要だ」

こうした話題が続く中、ブラウンの生産性の低さも事態を悪化させている。ブラウンの直近5試合のターゲット数は36回(試合平均7.2回)とまずまずの数字だ。しかし、そのうちキャッチできたのはわずか19回で、264ヤード、タッチダウン2回という記録にとどまっている。しかも、獲得ヤードの約半分と2回のタッチダウンは、シーズン第7週に28対22で勝利したミネソタ・バイキングス戦で記録したものだ。

ブラウンはその試合でも、最初のタッチダウンを決めた際の喜び方が控えめで、一連の出来事に疲れ果ててしまったかのようだった。

トレード期限前には、イーグルスがブラウンをトレードするのではないかという憶測も浮上。しかし、ブラウンがチームにとどまることが決まった後、イーグルスのジェネラルマネジャー(GM)ハウイー・ローズマンは、3度のプロボウル選出経験を持つブラウンを手放さない理由について「ああいう選手を手放すことはあり得ない」と簡潔に語った。

トレード期限が過ぎた後、ブラウンは月曜夜にグリーンベイ・パッカーズ戦に出場した。しかし、チームが低得点の勝利を挙げた試合では、ほとんど存在感を示せず、試合の大半でわずか2回のターゲットにとどまった。また、試合終盤の第4ダウンでもブラウンに対するロングパスがコールされた(この指示は物議を醸している)が、これはインコンプリートに終わっている。10対7で勝利したランボー・フィールドでの試合で、ブラウンの成績はキャッチ2回で13ヤードにとどまり、この結果も長引く騒動に新たな火種を投じる形となった。

シリアニHCは水曜日に「試合の流れを見れば、ブラウンへのパスがさまざまな理由で成功しなかった場面が数多くあった」と説明。

「例えばデボンタ・スミスのタッチダウンだ。あれは本来A.J.に投げられるはずだったが、相手に封じられ、ハーツは遠くに投げた。スタッツだけを見てこうなったと断言することはできない。そうやって説明できる話ではないのだ」

ブラウン本人もハーツからボールが回ってくる頻度が低いことについて質問を受けたが、それについては慎重に説明した。

「誰かが撮ったスクリーンショットの印象とは違う判断が下されているプレーはある」と語ったブラウンはこう続けている。

「それを頼りにしちゃいけない。ハーツにはハーツなりの読みがある。彼は頭の中でいろんなことを処理しようとしているし、相手ディフェンスからのプレッシャーにも直面している。たぶん、そのへんは彼かK.P.(攻撃コーディネーター/OCケビン・パトゥーロ)に聞いた方がいいかもしれない」

シリアニHCの返答は的を射ており、オフェンスにおける選手の重要性、あるいはその欠如を評価することの難しさを端的に示していた。ブラウンも、プレーごとに発生する多くの状況を踏まえてハーツを擁護している。

ブラウンが過去3シーズンのように華々しい成績――3年連続で1,000ヤード超えを達成し、オールプロのセカンドチームにも3度選出された――を残していないからといって、チームのプランにおいて重要でないわけではない。

「A.J.ブラウンはNFL屈指のレシーバーだ。つまり私たちは当然、毎回彼を試合に絡めようとしている」とシリアニHCは語った。

それでも、ブラウンが以前のような水準で結果を出すまで、この話題が消えることはないだろう。3度のプロボウル選出経歴を持つブラウンも、自分自身と攻撃陣全体の向上を目指して取り組み続ける中で、そのことを自覚している。

「誤解されても構わない」と言うブラウンは次のように続けた。

「何度でも正面から向き合い、責任を取るつもりだ。大事なのは、オフェンスでやるべきことをやることだ。本気でこの仕事に取り組むなら、成長を目指すなら、やるべきことをやらなきゃいけない。“勝利がすべてだ”とか“勝てればそれでいい”とか言うだけじゃだめだ。このリーグではそんなの通用しない。常に成長し続けなきゃならない。攻撃陣は守備陣を支えるために、やるべきことをやらなきゃいけないんだ」

【RA】