ニュース

ブラウンズでの将来ではなく「今」に集中する新人QBサンダース

2025年12月11日(木) 11:39

クリーブランド・ブラウンズのシェドゥーア・サンダース【AP Photo/David Richard】

クリーブランド・ブラウンズの新人クオーターバック(QB)シェドゥーア・サンダースは現在もNFLのディフェンスを読み解き、カバレッジを認識し、より賢明な判断を下す術を学んでいる最中だ。

その一方で、サンダースはすでに状況を察することができている。

サンダースがブラウンズで先発の座をつかむまでの道のりは、控えめに言っても奇妙で曲がりくねったものだった。しかし、現時点でデプスチャートのトップに立ち、今シーズンは引き続きその座を維持するからといって、サンダースが現状に安住しているわけでも、満足しているわけでもない。

直近の試合で素晴らしいパフォーマンスを見せ、ヘッドコーチ(HC)ケビン・ステファンスキーから今季最後の4試合における先発に指名されたサンダースは、現地10日(水)の練習前に、ブラウンズが長年探し求めてきたフランチャイズQBとしての価値を十分に示せたかどうかは気にしていないと明かした。

今この瞬間に集中しているサンダースは、次のように話している。

「そこに集中しているわけではない。俺が今集中しているのは、次に対戦する(シカゴ)ベアーズだ。正直、それ以外のことは全然考えていない。今の状況には感謝しているけど、すべてに満足しているわけではない」

コロラド大学でスター選手として活躍していたサンダースは、今年のドラフトで5巡目指名を受けてから大きな成長を遂げている。23歳のサンダースはトレーニングキャンプとプレシーズンを通じて4番手という立場だったが、2つのトレードと新人QBディロン・ゲイブリエルの脳しんとうにより、チャンスをつかむことになった。

サンダースは日曜日にテネシー・タイタンズ戦でキャリア3度目の先発出場を果たし、3回のタッチダウンパスと1回のタッチダウンランを決め、364パスヤードを記録。シンシナティ・ベンガルズのQBジョー・バロウに続き、新人として1試合で350パスヤード以上、タッチダウンパス3回、タッチダウンラン1回を記録したリーグ史上2人目の選手となった。

しかし、ブラウンズ(3勝10敗)は新人QBキャム・ウォード率いるタイタンズ(2勝11敗)に31対29で痛恨の敗北を喫したことで、サンダースの活躍は取るに足らないものとなっている。

試合後、サンダースは同じドラフトで全体1位指名を受けたウォードとフィールド上で顔を合わせ、オフシーズンの計画について尋ねられた。

ウォードとは違い、サンダースには先のことを考える余裕がない。

サンダースは「これが俺の現実だ。つまり今、俺たちはまったく違う立場にいる」と語った。

「俺はベストを尽くしてプレーし、チームのために最高の選手になることに集中しないといけない。状況が違うのは明らかだ。彼が最後の4試合に全力を注いでいるのは分かっている。でも、こっちはどうなるか分からないから、ちょっと事情が違う」

「俺はただここに来て、一日を楽しみ、懸命に取り組み、できることを全部やる。ここにいられるならそうするし、いられないならそれまでだ。それは俺がコントロールできることじゃない。自分でコントロールできる部分をコントロールする。つまり、試合に出て正しい判断を下し、正しい行動をとり、自分らしくいる。あとはなるようになる」

ブラウンズでは物事が計画通りに進むことが滅多にないが、サンダースはまたしても散々なシーズンを過ごしているチームにわずかな希望を与えている。

サンダースは試合ごとに著しい成長を見せており、ダウンフィールドへのパスを成功させたり、サックを避けるために素早くボールをサイドラインの外へ投げたりする場面でそれが表れている。

だからと言って、すべてが完璧なわけではない。

大学時代からボールを長く持ちすぎる悪癖のあるサンダースは、タイタンズ戦の第3クオーターに、望みの薄い場面で無茶をし、その代償を払うことになった。

プロテクションが崩れた後、時間を稼ごうとスクランブルしたサンダースは、フィールド中央に強引にパスを投げ、あっさりインターセプトされてしまった。タイタンズはそのターンオーバーをきっかけに逆転を果たし、勝利への道筋をつけた。

サンダースにとってはまたしても厳しい教訓となったが、本人は自分のやり方を変えることに問題はないと述べている。

「難しくはない。ちょっとした説明が必要だっただけ」と意味ありげな笑みを浮かべながら語ったサンダースはこう続けた。

「ネガティブなことが起きるのは、一旦落ち着くべきだというサインだ。すべてを見渡して理解する。ああ、俺がやろうとしていたのはこれだ、この状況でやるべきことはこれだってな」

「うまくいくこともあって、そのときは“あれは最高だった”と言われるけど、うまくいかないこともある。だから、特定の状況や試合の展開によって、リスクに見合わないプレーは減らす必要がある」

次に挑む試合は、サンダースにとってまたしても厳しい試練となるだろう。ベアーズ守備陣は現在、インターセプト数(18回)でリーグトップに立っている。

12月の成績次第で自身の将来が決まる可能性があるステファンスキーHCは、サンダースが着実に成長していることに満足しているようだ。

ステファンスキーHCは「突然スイッチが入ったとかそういうことではないが、彼は毎週着実に成長していると思う。それこそが求めている姿だ」とコメントしている。


記事提供:『The Associated Press(AP通信)』


【RA】