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ビルズがHCライアンを解任

2016年12月28日(水) 11:02


バッファロー・ビルズのレックス・ライアン【Paul Spinelli via AP】

まだ2シーズン目が完全に終了せぬうちに、バッファロー・ビルズのレックス・ライアン政権が突然の終わりを告げた。

同チームは現地27日(火)、アシスタントヘッドコーチ兼守備コーチを務めていたライアンの双子ロブ・ライアンと共に、ヘッドコーチ(HC)レックス・ライアンを解任したと発表。レギュラーシーズン最後のニューヨーク・ジェッツ戦では、攻撃コーディネーター(OC)アンソニー・リンが臨時HCに指名された。

オーナーのテリー・ペグラは声明の中で、「今朝、レックスと話し合い、互いにこのタイミングで袂を分かつことに同意した。このような決定はいかなる時も決して簡単ではない。レックスの最大限の努力に感謝するとともに、今後の彼の活躍にも期待している。キムや私、そしてビルズ組織の全員がファン同様に落胆し、フラストレーションを抱えているが、われわれはここ、ニューヨークの西側のバッファロー・ビルズがチャンピオンになるという目標に向かい、まい進していかねばならない」と語っている。

『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートによると、ジェネラルマネジャー(GM)ダグ・ホエーリーが新HC探しのリーダーとなり、今のところはリンの名前が筆頭候補に挙がっているようだ。NFLネットワークのマイク・ガラフォロもまた、すでにジャクソンビル・ジャガーズの新HC候補にも名前が挙がる元ニューヨーク・ジャイアンツHCのトム・コフリンが、ビルズの候補にも浮上していると伝えた。

このオーナーによる動きは、ビルズの忍耐力不足を物語っている。1999年以来、ポストシーズンに進出したことのないビルズ。ビル・ベリチック政権でも2度の2位という成績であった。ファンにため息をつかせたチャン・ゲイリー政権、2年前に契約をオプトアウトしたダグ・マローン政権に次ぎ、ライアン自身もジェッツ在籍時と同様に、どつぼにはまってしまった。

レックスはクオーターバック(QB)との運がない。今回のケースで言えば、かつてのドラフト1巡目指名QBのEJ・マニュエル、フリーエージェントのタイロッド・テイラーだ。また、故障しがちではあるが、ライアンの攻撃スタイルに完璧にフィットするかと思われた天才的スターワイドレシーバー(WR)サミー・ワトキンスともかみ合うことがなかった。ラポポートはレギュラーシーズン最終戦、テイラーではなくマニュエルが先発起用されると報じている。

今シーズン、ビルズは被得点が15位、被ヤード数が19位。昨シーズンも同様の数字であった。

HCライアン解任に付随して、QBテイラーにもその危機が迫っているかもしれない。

ラポポートによれば、ライアンは元ボルティモア・レイブンズのバックアップであったテイラーを強く推していたようだ。彼は1年目から先発QBとしてプロボウルに選出されたが、2016年には同レベルのプレーをすることができなかった。ビルズは今シーズン、テイラーの契約をオプトアウトすることも可能。

今後のライアンの動向はどうなるのか。

昨年、ライアンは記者に対してビルズが最後のチームになると明言していた。

2015年、ライアンは『USA Today(USAトゥデイ)』の中で「これが最後となるだろう。コーチとしてはこのチームが最後だ。もう潮時だろう。後は若い世代に託そうと思う。私はどこへも行かないよ」とコメント。

もしライアンがコーチ業から完全に身を引くとなると、リーグはすばらしい人格者であるコーチを1人失うことになる。ゲームの統率者として、あるいは、選手の才能を開花させるプロとして、彼に並ぶ者はそう多くないだろう。元スター選手のレイ・ルイスやエド・リードなどの発言からも、ライアンがいかに選手から信頼を得ていたのかが分かる。

ニューヨークでもライアンの下でプレーした現ビルズのディフェンシブエンド(DE)リージャー・ドゥーザブルに至ってはライアン解任報道の直後、『Twitter(ツイッター)』に抗議の投稿をしている。

ライアン側の者からすれば、ホエーリーがライアンの守備構想に応えられるほどの選手を揃えきっておらず、解任は時期尚早すぎたとの声を上げるのも無理はない。

ライアンはこれまでにいくつもの障害を乗り越えてきたことを誇りにしている。まだ壁を乗り越えられることを証明するチャンスが、ライアンにもう一度与えられることはあるだろうか。