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ペイトリオッツ、QBガロポロのトレードは来年に持ち越しか

2017年03月08日(水) 10:27

ニューイングランド・ペイトリオッツのジミー・ガロポロ【AP Photo/Charles Krupa】

ニューイングランド・ペイトリオッツはバックアップのクオーターバック(QB)ジミー・ガロポロをどのように扱うのだろう。交渉期間が残り2日間となった今、ペイトリオッツが同選手を放出するかどうかを各チームは固唾を飲んで見守っている。

『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートは先週、絶対的エースQBであるトム・ブレイディが仮に負傷した場合、そのバックアップとして2016年ドラフト3巡目指名のジャコビー・ブリセットを起用することはペイトリオッツの望みではないと報じた。

結局のところ、ヘッドコーチ(HC)であるビル・ベリチックはガロポロをドラフト指名権獲得のためのトレード要因としてみなしているのではなく、チームの核となる重要なピースとして構想に入れているということだ。

それでは、どうしたらベリチックのそのスタンスを変えることができるだろうか。

内部関係者からの情報を得たNFLネットワークのマイク・ガラフォロは現地7日、『Free Agency Frenzy(フリーエージェント・フレンジー)』の中で、ベリチックがガロポロのトレードを容認するためにはおそらく、2017年のドラフト1巡目指名権と、それに加えて2018年の1巡目指名権も必要になるのではないかと伝えている。

ガラフォロは「かなりの額を支払う必要がある。フランチャイズタグ並みの金額になるだろう。そのような不利な交渉を望む球団があるとは誰も思っていないはず。2年連続の1巡目指名権――あるいは、それに相当な何か――を手放すことは本当にあり得るのだろうか。答えはイエス。もちろん、その可能性は否定できない」とコメントした。

続けてガラフォロは「しかし、現段階でガロポロは今シーズンもペイトリオッツでプレーすることが予想されている」とも述べた。

ガロポロの新人契約が2017年シーズン後に期限切れとなるのであれば、なぜベリチックはその処遇について焦っていないのだろうか。

誰に聞いても、ベリチックはガロポロをただの将来性あるスター選手として見ているだけではなく、スーパーボウル連覇のために必要な最高の2番手選手として考えていると答える。

世論とは裏腹に、ガラフォロはペイトリオッツが今年をガロポロのトレード期限であるとは見ていないことを強調し、「ペイトリオッツは来年がその年だと考えている。来年であればチームが彼にタグを付けられるし、そうした後でトレード可能だ。だからチームはまだ、“今が1番高値で売れるから急げ”という感じにはなっていない」と説明した。

たとえブレイディが衰えを見せず、少なくともあと3年から5年でこれまでと変わらない成績を収めたとしても、チームは常に主力選手の突然の負傷を考慮している。ペイトリオッツは理想的なバックアップQBが手札にいることでかなりの満足感を得ているのだ。2017年もブレイディが無傷でシーズンを終えた場合、その時になればようやく未来のQBプランについて話し合いが行われるだろう。

あまり深くまでNFLを知らない者の中にはガロポロが他チームのバックアップQBとほぼ変わらない選手ではないかと思う者も多いようだが、2014年ドラフト2巡目指名のガロポロが若かりしトニー・ロモ(ダラス・カウボーイズ)にも引けを取らない能力を備えた、他のQBとは一線を画すプレーヤーであることは間違いない。

昨年の11月、ブレイディに代わってガロポロが1番手としてファーストチームの練習に参加した際、ベリチックはその変更について“完璧”だったと述べている。

ベリチックは「ジミーが素晴らしいQBであることは明らかだろう。トムと同等のプレーが可能。われわれはそれが事実であると知っている」と語った。

ガロポロの初先発試合はメディアの扱いも一段と違う2016年のシーズン開幕戦だった。ガロポロはそこで、リーグを代表するタイトエンドの助けも借りず、見事にチームを勝利に導いている。2度目の先発試合では試合中に肩を負傷して離脱したものの、負傷前まではその試合のベストプレーヤーであったと言っても過言ではなかった。

当時はマイアミ・ドルフィンズでコーディネーターを務め、現在はデンバー・ブロンコスHCに就任したバンス・ジョセフは先週、スカウティング・コンバインの中で先シーズンの第2週で対戦した時のガロポロを「自信に満ち溢れていた。彼の判断力は素晴らしかったし、スローも見事なものだった。ドルフィンズ戦で見せた彼の能力の高さには驚いた」と評価。

ジョセフだけではない。2016年の開幕戦でガロポロ率いるペイトリオッツに黒星を喫したアリゾナ・カーディナルスのヘッドコーチ(HC)ブルース・エリアンスもまた、ガロポロのパフォーマンスには驚きを隠せなかった。また、現サンフランシスコ・49ersのHCカイル・シャナハンもクリーブランド・ブラウンズに所属していた当時はガロポロを絶賛していたようだ。

また、コーチ陣だけがガロポロの実力を認めているわけでもない。チームメイトのワイドレシーバー(WR)ジュリアン・エデルマンは先月、『NFL Total Access(NFLトータル・アクセス)』の中で、ガロポロを“QBとしての自信の塊”だと称賛。ブレット・ファーブやアーロン・ロジャースにも匹敵する能力を備えていると語った。

WRクリス・ホーガンもまた、『Good Morning Football(グッドモーニング・フットボール)』の中で同様のコメントを残している。

ホーガンは「ジミーの肩は並外れている。身体能力の高さは天下一品。プレーも安定している。チャンスをつかめば、絶対に成功するはずだ」と話した。

ガロポロが将来的なスター性を秘めていることはほぼ間違いないだろう。残念ながら、ガロポロのトレードにおいてペイトリオッツの絶対的優位性は変えようがない。ブレイディの保険としてチームがガロポロを手放すことはなさそうだが、もし本当にガロポロの将来性に懸けるチームが現れるとすれば、そのチームはベリチックの考えを変えるほどの莫大な代償を支払うことになるであろう。